【実例付き】数値が含む資料を魅力的に作るための6つのコツ

資料を作成するにあたり「数値」は非常に大きな意味を持ちます。具体的に数値を出して説明することで、資料の信頼感や説得力を高められるからです。

数値にをより理化しやすくするためには、「数値の見せ方」を工夫しなければなりません。今回は資料の数値を「誰が見ても同じように理解できるようにする」ための「コツ」について解説します。

数値は資料の中心を担う要素

資料において「数値」は信頼性を高めるのに重要な要素です。なぜなら具体的に数値を出すと、納得できる理由が増えるからです。そのため最も重要だと言っても過言ではありません。

そのような重要な要素ですので、表現を間違ってしまうと「意図が伝わらない」「誤った数値として伝わってしまう」などの問題を引き起こす可能性があります。以下では、そのような事態を引き起こさないために、資料作りで意識してもらいたいポイントを以下で実例とともにご説明します。

数値資料を人に伝えるときの6つのコツ

今回はそれぞれのポイントを解説するために、公開されているメディア資料などを引用しています。それぞれの引用元を記載していますので、必要に応じて原本も参照してみてください。

ポイント1:必要な数値だけを強調する

グラフや表において全てに色を付けるのではなく「伝えたい情報にだけ」色を付けるなどの強調をします。強調方法には「カラー変更」「文字変更(フォント・太さ)」「四角で囲む」などが挙げられます。

また、数値を直接強調するだけではなく、グラフなで「数値に該当する部分」を強調する方法もあります。グラフは視覚的に数値を伝えるのに便利ですので、工夫することで「より伝わりやすく」資料を作れます。

具体的にグラフを工夫して数値を分かりやすく伝えている資料の例をご紹介します。

出典元:adv.yomiuri

こちらの資料では、「女性のアクセスが7割弱」という数値を伝えやすくするため、女性の色は明るく申請の高いものとし、男性の色はグレーアウトするように目立たなくしています。ひと目で女性を示すピンク色が目に入り、「7割程度が女性である」という事実が資料を細かく読まなくとも見て取れます。

逆に適切な強調ができていない例として以下の資料を確認しましょう。

出典元:adv.yomiuri

こちらの例では「約半分」「7割ほど」などの数値情報があるにも関わらず、色が変更されたり四角で囲われたりするなどの強調がありません。そのため資料の中で「どの数値が伝えたい部分なのか」が、分かりにくくなっています。一目で多くの情報が入ってしまいますので、意識して読み取り理解に努めなければなりません。

この資料の場合、改善ポイントとして「必要な部分以外はグレーにして目立たなくする」「同じ色を利用する場合は四角などの図形で囲み強調する」などが挙げられます。色合いにメリハリをつけるのがおすすめですが、変更できない場合は図形を利用してメリハリをつけましょう。

ポイント2:ブランドカラーを利用する

資料で数値を強調したりグラフを作ったりする際には、利用する色を決定しなければなりません。この色の選択肢として「ブランドカラー」の利用がおすすめです。

ブランドカラーを利用すれば、「どのブランドが作った資料であるのか」が伝わりやすくなります。また提案資料など他社向けの数値資料の場合、「どこのブランドがこの数値を公表していたか」を印象付けやすくできます。ブランドカラーが広く知れ渡っている場合は、これを積極的に利用してみましょう。

実際にブランドカラーを数値資料に取り込み、印象を強くしている例を2つご紹介します。

出典元:LINE株式会社

1つめのこちらの例は通話アプリなどを提供する「LINE」が公開したものです。LINEといえば、スマホのアプリアイコンが「緑色」であり、ブランドカラーとして緑色が定着しています。そのため、資料では「強調部分」「グラフ」など各所にブランドカラーが利用され、「LINEが公開している数値」ということを自然と認識できるように考えられています。

緑色は視認性が悪いものではなく、また奇抜な色でもありません。そのため、「ブランドカラーによる強調」との観点では良いですが、「色合いで大きく際立たせる」との観点ではやや弱い印象は受けます。

続いて以下をご紹介します。

出典元:Yahoo! JAPAN

こちらは検索サイトなどを提供するYahoo! JAPANが公表している資料です。数値の強調にロゴマークにも利用されている赤色が利用されています。

ブランドカラーかつ赤色ですので、数値を強調するには十分です。赤色は目立ちますし、ブランドカラーとして定着していますので一石二鳥です。ただ、赤色は日頃から強調に利用されたりブランドアイコンに利用されていたりします。そのため「赤・青・黄色など利用機会の多いものはブランドカラーとしての認識が薄れるかもしれない」と頭の隅に留めておくと、代替案も含めより良い表現を検討できます。

ポイント3:数値を大きさに置き換える

視覚的に伝えやすくするために「値に応じた大きさ」に置き換えます。完璧に比例した大きさにする必要はなく、2段階~4段階の大きさで表現すれば良いでしょう。「もっとも伝えたい数値を大きく表現する」ことを意識し、大きさのバランスや段階を決定します。

実際に数値を大きさに置き換えて分かりやすくした例をご紹介します。

出典元:Yahoo! Japan

この例では「大サイズ:関東」「中サイズ:近畿」「小サイズ:その他」と3つの大きさで表現されています。資料としては「全国をカバーできている」と特定の地域だけを強調するものではないですが、円が大サイズであることから「関東」はよりカバーできていると伝えられるように作られています。

また、「関東」は大サイズにするだけではなく、塗りつぶし色が異なります。つまり、「サイズへの置き換え」「カラーの変更」の2つのアプローチで目立たせています。必要に応じて、このように複数のアプローチを組み合わせるのも伝えやすくするコツです。

ポイント4:数値は右で揃える

数値を右で揃えておくと視認性が高まります。数値を読み取る「始点」が常に固定されるため、「どこから数値を読み取ればよいのか」との疑問を与えにくくなります。また、桁数の多い資料でも「桁数の読み間違いが減る」「桁数を比較しやすくなる」などの効果を生み出します。

そのため、表など多くの数値をひとまとめにした資料では、数値の右揃えを心がけましょう。

実際に数値を右揃えにしている例をご紹介します。

出典元:Yahoo! Japan

こちらの資料では「金額」「リーチ数」「単価」「期間」「imps」と、異なった単位の数値が1つにまとめられています。桁数もバラバラであり、項目によって単位が異なっていたり単位の付与されていないものがあったりします。

しかし、表の「数値項目」は全て右揃えとなっています。結果「どこから数値を読み取ればよいのか」が明確となり、視認性が高まっています。

それに対して、数値が右揃えではなく中央揃えになっている例をご紹介します。

出典元:LINE株式会社

この資料では、数値が中央に寄ってしまっているため桁数の読み取り・比較がやや難しい印象を受けます。5桁や6桁であれば読み取りできるかもしれませんが、これが10桁と11桁であれば読み取りはできても比較は間違えてしまう可能性があります。

こちらの資料も数値を右揃えにすれば、5桁の数値と6桁の数値をそれぞれ一目で判断できるようになります。「桁数の認識」「比較のしやすさ」からの観点から、数値は右揃えにするのがコツです。

ポイント5:アイコンで視覚的に伝える

数値だけではなくアイコンを利用してみましょう。「項目」「上昇や減少」「数値の強調」などは、アイコンを組み合わせると視覚的に伝えやすくなります。

今回は「数値項目が何を示しているか」をアイコンで伝えている例をご紹介します。

出典元:LINE株式会社

こちらでは数値にアイコンを添えられていますので、「示されている数値が何を意味するか」を視覚的に判断しやすくなっています。数値自体が強調されているわけではありませんが、項目を視覚的に伝えることで興味を持ってもらい、その部分を意識的に読んでもらえるように考えられています。

アイコンを利用する場合「数値に色を付けるなどの強調」とは併用しないほうが良いです。色で強調されていたりアイコンがあったりの状態は、目に入る情報が多くなりすぎてしまう可能性があります。

なお、「アイコンを利用するにしても自分では作れない」という人が大半でしょう。そのような人に向けて、商用利用できるアイコンダウンロードサイトをご紹介しておきます。

ポイント6:表は「フォント」「余白」「罫線」に注目する

数値資料で利用する機会が多いものに「表」があります。こちらは作り方にコツがあり、主に「フォント(カラー)」「余白」「罫線」注目します。

表は分かりやすく説明するために、コツに注目して作ったものを例に出しながらご説明します。下記は「適度に余白を取り必要以上に罫線を引かずに作成した表」です。赤い四角で囲っている部分が意識的に設けた余白です。

まず、余白に注目しましょう。余白には「情報の区切り」「視認性の向上」などの効果があります。適度な余白を設けると、気切りが明確となり一目で分かる伝わりやすい数値資料となります。そのため、「余白は無駄なスペースだ」などと考えず、積極的に余白を取るべきです。

試しに上記の数値資料から余白を可能な限り減らしてみましょう。

必要な情報は揃っていますので、表としては何ら問題がありません。計算間違いがあるわけでもなく、伝えたい情報が詰め込まれています。

ただ、それぞれの数値が意味する内容が分かりにくいのではないでしょうか。例えば「経費\1,700,000」はどの数値を合計したものか判断しにくいはずです。上から資料を読み進めると「Xシステム」「Y機器販売」「Zサポート対応」の合計のように見え「経費\2,000,000が正しいのではないか?」と思われてしまいます。

続いて罫線です。罫線には「情報を区切る」効果があります。ただ、このような効果があることで「情報が区切られすぎてしまう」との弊害を生み出します。

こちらも最初に示した表に罫線を引いてみましょう。

情報が区切られすぎてしまい「どの情報がひとまとまりなのか」がやや分かりにくくなってしまいました。罫線は情報の区切りとしては便利ですが、必ずしも利用しなくても良いです。

数値資料を伝えやすくするには「余白」「罫線」の使い方が重要です。特に「余白」を上手に利用できれば、罫線を引かなくとも情報のまとまりを伝えられます。罫線を多用するのではなく、余白を活用するのがコツです。

まとめ

人に伝わりやすい数値資料を作るためのコツを実例を踏まえてご説明しました。数値の強調・数値の大小を図形の大小に置き換える・数値だけではなくアイコンを利用するなど、6つのコツをご紹介しましたので、実践してみてください。

また、実例の中には「数値資料作成にあたり改善したいポイントがあるもの」も含めています。これらに該当する資料を作らないように、「やってはいけない例」も理解しておきましょう。

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