何千ページとあるDTP(カタログ)を大量に印刷後、記述ミスが見つかってしまうなど、DTPでは少しのミスが莫大な損失に繋がりかねません。
商品番号(型番)、商品名、価格、送料区分など各項目をしっかりとチェックをし、ミスを防ぐことが必要不可欠です。
そこで活躍するのが「カタログ誤記検出プログラミングツール 」です。
今回はDTP作業におけるミスを防ぐカタログ誤記検出プログラミングツールを開発しましたので、その詳細をご紹介します。
※本記事で扱うカタログ誤記検出プログラミングツールで使うデータの説明
〈DTPデータ〉
InDesignで作るカタログ用データのこと。
〈製品マスタデータ〉
Excelで商品管理用として自社で運営しているデータのこと。
お客様の管理形態に合わせてツールを開発できます。
今回開発したのはInDesign中のDTPデータの内容と、Excel中の製品マスタデータの商品情報 (商品番号/商品名/価格/送料区分/廃盤フラグなど)が一致しているかどうかを確認する、プログラミングツールです。
カタログのリニューアル作業中、更新するデータ等は製品マスタデータから手動のコピー&ペーストで行われることが多々あります。その際の校正チェックは”人の目”によって行われるため、カタログに誤情報が掲載されるミスが生じる可能性があります。
このような事態を未然に防ぐため、”人の目”ではなく、”機械”でチェックできるプログラミングツールが必要になるのです。
今回開発したカタログ誤記検出プログラミングツールを使用することで、例えば「製品マスタデータでは廃盤フラグなのに、DTPデータでは記載されている」などの項目もチェックを行うことが可能になります。
本来、社内管理の製品マスタデータが完璧にFIXされた状態でDTP作業に移行することが望ましいですが、商品情報の早期公開が期待される昨今において現実的にはそのような工程で進めることはできません。
また、プロジェクトの途中に製品マスタデータの更新や追加レコードが個別に提供される場合もあります。
以下に誤記が発生しやすいフローを記載しました。
【誤記が発生しやすいフロー】
① 製品マスタデータが頻繁に更新される
↓↑
② DTP作業をその都度作業する
↓
③ InDesignの完了
↓
④ ヒトの目でダブル・トリプルチェック
①と②をひたすら行ったりきたりしてしまい、どの情報が最新なのか、またそれがどこまでデータに反映されているかがわからなくなってしまうこともあります。そのために、何人もの目でチェックをしても誤記を見逃し、ミスプリントが発生してしまうことがあるのです。
それでは上記の【誤記が発生しやすいフロー】を改善する【業務改善後のフロー】とはいったいどのような状態なのでしょうか?
変えられない業務工程(都度更新される製品マスタデータ)において、お客様が作成したDTPデータと製品マスタデータの中からExcel内に商品番号がない、商品番号が重複している、価格の転記間違い(粗利率など異常値の発見)などのミスを探して伝えてくれるような流れを目指します。
※お客様の製品マスタデータ中の定価と原価から算出
【業務改善後のフロー】
① 製品マスタデータが社内状況により都度更新される
↓↑
② DTP作業
↓
③ InDesignの完了
↓
④ プログラミングツールによる誤記チェック
ロボットのチームがデータを自動チェックしているイメージ
上記の業務改善後のフロー、そしてミスを未然に防ぐため、商品番号(型番)、商品名、価格、送料区分のミスや更新に対応するカタログ誤記検出プログラミングツールが必要になります。
今回は以下のプログラミングツールを用いて様々なミスに対応できる仕組みを作りました。
上記のプログラミングツールを用いることで、複数ページにわたる半角・全角などの商品名のゆらぎ、画像のファイル名の差異(日本語のファイル名でもチェック可)まで、様々な項目のミスを精査することができます。
こちらは過去に作成したプログラミングツールです。InDesignから指定したカラムを自動で抽出することができます。
今回は、「商品SKUコード」「商品名」「売価」の3つの項目を抽出しました。
【自動】1のプログラミングツールで指定したカラムを自動で抽出
↓
【自動】SKU順並び替えと差異抽出
抽出しただけでは抽出順、つまりページ順になっているためそれをSKU順に並び替え、加工します。また商品SKUコードをキーに異なった情報をチェックします。
※なお、一つの商品が複数のページにあることは問題ありません。商品SKUコードの重複ではなく、同一の商品SKUコードに差異がないか、をチェックします。
↓
【手動】差異確認と修正
差異を確認し、InDesignデータの修正を行います。
以下は実際にInDesignデータよりページ順に商品情報を抽出したExcel(既存ツールにて)を、商品SKUコード順に並び替え、同一商品SKUコードで内容が異なる箇所の背景色を変えて要確認箇所を可視化した表です。
こちらのプログラミングツールではお客様から提供される製品マスタデータに差異がないかをチェックします。
実際の流れは以下の通りです。
【自動】製品マスタデータの差異を可視化
商品SKUコードが同一にも関わらず価格が異なっている、商品名にスペースが入っているといった文字の揺らぎなどがあります。他にも製品マスタデータ内に存在する利益率などから異常値を検出し、アラートを出すことができます。
↓
【手動】必要レコード(行)をマーク
必要レコードをお客様がマーク列にチェックします。
↓
【自動】不要レコードの削除
お客様のチェック以外のレコード(不要レコード)を削除します。
以下は商品SKUコード順に並び替え、同一商品SKUコードで内容が異なる箇所の背景色を変えて要確認箇所を可視化した表です。「差異」列の「あり」の行を確認し、残す行を確定します。
Excelの製品マスタデータと、InDesignデータを突き合わせてデータの整合性がとれているかどうかのチェックを行います。
このようなフローを経て、チェック結果に問題がなければInDesignデータとExcelの最終チェック結果を納品します。
今回はDTP作業におけるミスを未然に防ぐためのExcelを用いたプログラミングツールについてご紹介しました。
実際に使用して良かったと思えた点は、影響する範囲に対して的確なアウトプットができた点です。
ただし現在、このプログラミングツールを使用するためにはエンジニアでしか分からないようなソースコードの塊のような状態のため、インターフェイスを整えて誰もが使用できる標準的なツールにすることが必要です。
今後ともよりミスが起こりにくく、誰でも簡単に扱えるプログラミングツールの開発を続けて参ります。