コロナ禍の影響で、世界でリモートワーク化が加速しています。もともと電子印鑑は、IT業界を中心に使われていました。しかし、紙文化の根付いている日本では、効力があるのかがいまいちわかりづらかったり、電子印鑑の画像ファイルの運用が億劫だったり、と敬遠する方も多いでしょう。
「何でもかんでも電子化すれば良いものではない!」
「信憑性の薄い電子印鑑なんて使えるわけがない!」
そのような声も少なからずあるかと思います。
『足で仕事をとる』と自ら行動し、紙ベースで最前線で契約関連書類や事務書類を捌いてきた方であれば尚更です。
コロナ禍の第一波が落ち着きを見せた今※、仕事をされているすべての方がやはり考えなければならないのは、「また同様な状況は必ずくる。その時のためにどのような蓄えをし、どのような仕組み作りをしなければならないのか」ということです。
(※ 執筆時現在)
この度強制的にリモートワークを進めた際に、
というメリットとは裏腹に、以下のようなさまざまな問題を感じた方は多いかと思います。
今後、再度何らかの原因で外出が制限される自体に陥った時に備え、今のうちに可能な限り効率良く、しっかりと業務を回すことができる環境作りは重要です。
そのような思いから、まずは「承認業務や契約に関連する業務」の一部分を切り取り、『電子印鑑』に関する記事を作成させていただきました。
今後の参考としてぜひご利用ください。
導入を懸念されている方の中で、最も多い疑問の一つは、『電子印鑑の効力』についてです。
その電子印鑑の効力について語る前に、事前知識として印鑑の効力についてご説明致します。
印鑑は大きく分けて三つに分類されます。『シャチハタ印』と『認印』と『実印』です。
その使い勝手の良さから、使用頻度はとても高いです。ゴム印で、朱肉を使わないで済むことから、ささっと印鑑を押したい時に使用する方が多いでしょう。社内での例をあげると、回覧文書を押印する際などが一般的です。
正確に言えばシャチハタ印も認印の分類となりますが、印鑑としての信頼度は低く、押し加減でインクがうまく付かないことなどから、今回紹介する三つの分類の中で最も信頼度が低い印鑑です。
役所に登録がされていない印鑑を差し、実印以外は全て認印の分類に分けられます。実印を使用しないで済む場合に多く使用されます。
請求書や領収書に押印する際や、会社へ提出する書類などに使用するケースが主です。
実印は役所に登録されている印鑑を差し、印鑑としての信用度が一番高いものになります。
そもそも印鑑とは、『本人が印鑑を押す書類に対して、きちんと確認をしました。』
という事を表しており、主に高額な取引を行う際や、裁判などの重要な場面において使用されます。
こちらも役所に登録をされていない分、『認印』に分類されます。前述したとおり、請求書や領収書を押印する際に広く使用されている認印。会社間での合意は必要かもしれませんが、そういった場面において使用する機会も今後増えていくでしょう。
オンラインでのやりとりが増えた今、認印と同等な効果を発揮する電子印鑑は、良質なツールとして捉えることができます。
さらに電子印鑑を使用した文書も、法的効力を高める方法があります。
『電子署名』という技術を用いて、データ化された電子の紙を復元不可能な状態にすることにより、改ざんされたかどうかの確認をすることができるのです。
こちらは今後記事にさせて頂きます。
何といってもパソコンで作成した書類を印刷するという手間を省くことができます。もともと電子印鑑が導入されることになったきっかけは、このペーパーレスを目的としています。
通常、社内で配布する書類を作成する際も、印鑑を使用する事で下記の手間が必要となります。
電子印鑑を使用する事で、パソコンで書類を作成すると同時に押印をすることができ、そのままPDFでメールを送信することが可能になります。
さらに、送った相手がそれを確認した事を知らせる際も、同じように電子印鑑を使用しそのままメール返信をする事で、ほぼ全ての業務をデジタルの世界で行うことができます。
紙を何十枚、何百枚と印刷をすると紙にかかる費用はもちろん、印刷をする際のインク代といったコストがかかります。
電子印鑑を導入することで、仕事の効率化もさることながら、コストの削減にも一役買う存在になるでしょう。
ここからは電子印鑑を導入されたいと考えている方に、おすすめの電子印鑑ソフトウェアをご紹介いたします。
何といっても魅力的なのは、会員登録の必要がなく、自身のパソコンへのインストール、ダウンロードすらも不要というお手軽さです。日本人の苗字の上位10,000姓が登録されている点も魅力の一つでしょう。
一般的な苗字の方であれば、このサイトから始めてみるのがおすすめです。作成方法も非常にシンプルで、自身の苗字を入力し、書体、大きさ、色を選択、あとは作成ボタンを押すだけです。
登録されていない苗字の作成ができない点と、用意されている印鑑のデザインは1種類のみなので、幅広く使用したいという方より、「お手軽でとりあえず電子印鑑を導入してみたい」という方にマッチしています。
対応OS | Webブラウザ |
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所要時間 | 1分以内 |
手軽さ | ログイン不要/設定項目4つ |
発行されるファイル形式 | PDFファイル |
印鑑の種類 | 丸印 |
サイトURL | http://www.hakusyu.com/webmtm/ |
ソフトウェアをダウンロードしパソコンにインストールする事で使用が可能な電子印鑑です。こちらも操作は簡単で、ダウンロードしたZipファイルを解凍し、『ClickStamper.exe』を実行するだけ。
丸印だけでなく、角印を選択することも可能で、複数行にすることで日付入りの印鑑として使用することも可能です。
ある程度デザインをすることもでき、苗字・名前ともに入力された印鑑や、社外秘といった角印にすることも。作成後はコピーをして貼り付けるだけなので、こちらも非常にお手軽です。
対応OS | Windowsのみ |
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所要時間 | 1分以内 |
手軽さ | ログイン不要/ソフトウェアインストール/わかりやすい設定項目 |
発行されるファイル形式 | PNG/JPEG/BMP/GIFファイル |
印鑑の種類 | 三文判・マル秘印・回覧印・名前 | 丸印や角印、複数行からなる印 |
サイトURL | https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/clickstam/ |
その名のとおり、Excelをベースに使用することが可能です。窓の杜からダウンロードしたzipファイルを解凍し、「アドインインストール用.xls」を実行。
Excelで使用する際も非常にお手軽で、セル内で右クリックをすると『Excel電子印鑑』と表示でるようになります。あとは自身の名前や、印鑑の種類も丸印、角印とあるので選択していき、押印したい場所にペーストするだけ。
Excelでの作業が多い方におすすめの電子印鑑です。
対応OS | Windowsのみ |
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所要時間 | 5分以内 |
手軽さ | ログイン不要/アドオンインストール/豊富な設定項目/様々な印鑑の種類に対応 |
発行されるファイル形式 | Excelファイル上に画像配置 |
印鑑の種類 | 丸型・小判型、角型、データネーム印、ビジネス印、自分でデザインした画像を判子として挿入できる“ユーザー印” |
サイトURL | https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/excelstamp/ |
Excelではもちろん、Wordでも使用することが可能なクリックスタンプ。
こちらもダウンロードしたファイルを、自身のパソコンにインストールすることで使用可能です。
ダウンロード完了後、印鑑を作成することができます。
印鑑の種類も6種類あり、普段日常的に使用している印鑑はこちらでカバーできます。Wordを使用した書類作成や、日常業務が多い方におすすめです。
対応OS | Windowsのみ |
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所要時間 | 5分以内 |
手軽さ | ログイン不要/ソフトウェアインストール/豊富な設定項目/様々な印鑑の種類に対応 |
発行されるファイル形式 | BMP/JPG形式 |
印鑑の種類 | 日付印、日付印(代理)、三文判、丸判、角印、分割印など |
サイトURL | https://clip-stamp.softonic.jp/ |
こちらは無料版と有料版がありますが、無料版でも基本的な機能は備わっています。印鑑の種類も丸形、小判形、角形と選べ、文字の大きさの調整も可能です。
非常に便利な点は、デスクトップ上に常駐させ、ドラッグ&ドロップで簡単に押印することができる点です。
無料版をダウンロードし、setup.exeを実行。プログラムを起動後、ユーザー登録を求められます。あとは自身の印鑑を作成することができます。
※Free版に使用期限はありません。
※Free版には以下の機能制限があります。
1.作成できる印鑑は4種類のみ
2.印章用フォントは同梱されておりません。
(ただしWindowsに搭載されているフォントは利用できます。)
3.プラグインソフト「PDFスタンパー」利用不可
4.「専用フォントマネージャー」利用不可
対応OS | Windowsのみ |
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所要時間 | 10分以内 |
手軽さ | 要ユーザー登録/ソフトウェアインストール/豊富な機能/豊富な設定項目/様々な印鑑の種類に対応/有料版あり |
発行されるファイル形式 | あらゆる画像形式/ドラッグ&ドロップで押印 など |
印鑑の種類 | 三文判、データネーム印、ビジネス印、ユーザー印、住所印、会社印、イラスト印、スキャナ印 |
サイトURL | https://ging.co.jp/product/useful/estamp.html |
無料で作成できる電子印鑑は、今後さらに増えるかと思います。テクノロジーの進化によって、身の回りで様々なことがより便利になっていく時代。
アフターコロナ時代の今、業務効率化に、リモートワークに、そして業務停止リスクの回避に、本記事で紹介した「電子印鑑」を含めた業務のオンライン化を進めていきましょう。