新たなデジタル技術や社会情勢の影響を受けながら、常に変化を続ける製造業を取り巻くビジネスの現場。
製造業界をさらに発展させるシステムや製品に関する発表は、各社から頻繁に行われています。
そこで今回は、製造業に関連する最新のニュースや発言を2022年5月のトピックを中心に、製品関連のニュースと時事ニュースに分けてご紹介します。
社会の動向や製造業における注目トピックスを把握して、経営判断や商談で有効活用しましょう。
ここでは、製造業に関連する新システムや製品に関するニューストピックスをお届けします。
最新のデジタル技術を中心に、製造業で今後ニーズが拡大するであろう製品情報を集めました。
2022年5月12日、ネクストシステムがAIによる作業解析システム「VP-Motion」のリリースを発表しました。
最先端システムの研究開発を手掛けるネクストシステムは、自社開発の姿勢推定AIを利用して本システムを開発。
対象の骨格情報をもとに、検出対象がどのような行動・作業を行っているか判別することを可能としました。
工場などの現場で利用することで、事前に学習させたモーションと異なる動きをカメラが検知し、作業ミスや事故防止につなげることを目的としたシステムとなっています。
また、異変を検知したデータが蓄積すれば、ミスやトラブルが発生しやすい業務工程を見直して改善するといった用途でも運用が可能であると言及されています。
製造業における現場作業の改善をさらに推進することが期待される、今後も要注目のシステムといえるでしょう。
製造・生産現場での業務改善に!AIで高度な作業解析が可能なシステム「VP-Motion」を2022年5月12日より販売開始
2022年5月20日、NECとトヨタテクニカルディベロップメントは、車をはじめとした移動体と安定した接続をおこなうことができる無線接続システムを開発したことを発表しました。
NECの通信安定化技術を利用することで通信不良の発生を防ぎ、無線通信の課題である物理干渉等による不安定さを改善。より汎用性の高い技術となりました。
さらに、本技術を利用した小型の無線通信モジュールの開発も並行して行われ、設置スペースが限定された移動体への装着も可能となっています。
本システムは現在トヨタ自動車元町工場で先行導入されており、両社は今後、ロボット等の無線制御やデータの収集での利用も可能になるシステムの提供を目指しています。
さらなる利便性を持つDX工場の実現に活用できるシステムゆえに、自社のDX化を推進している企業にとっては今後も目を離せないトピックといえるでしょう。
NECとトヨタテクニカルディベロップメント、工場内で自動車などの移動体と安定的な無線接続を実現する無線制御システムを開発
2022年5月25日、LeapMindが超低消費電力AI推論アクセラレータIPの新モデル「Efficiera 異常検知モデル」を6月にリリースすると発表しました。
ハードウェア等の研究開発を行うLeapMindは従来モデルである「Efficiera」の技術を流用し、さらに進化したディープラーニングモデルとなる本製品を開発しました。
本モデルは製造業における商品の外観検査に特化したモデルで、従業員の不足や人的リスクの軽減効果が期待されています。
学習・推論ともに小型デバイス上で完結することが特徴で、従来のクラウドを利用するモデルのように画像データを外部に送信する必要がないため、情報漏洩リスクやクラウドサービスの利用コスト削減につながる点がメリットです。
学習は正常データのみで実行されるため、不良品の特徴を記録させる、といったアノテーション作業が不要な点も強みとしています。
不良品サンプルを用意する手間がかからないことに加え、アノテーションしたパターン以外の不良を検知出来ないというリスクも抑えることにつながります。
人材不足や生産管理体制の改善策として期待されており、これらの問題が発生している現場においては採用を検討したい注目製品といえるでしょう。
ここでは、デジタルが関連する分野の時事ニュースをお届けします。
市場の動きや各企業の動向を探ることで、変化する情勢の中で自社がとるべきアクションを見定めましょう。
4月22日、日立産機システムがドイツの「PHOTON ENERGY」の株式を100%取得し、買収したことを発表しました。
PHOTON ENERGYは電子機器や医療器具といった特殊な用途に使用するレーザー印字装置に強みを持ち、同製品にも採用されたレーザー装置関連の高い技術力が評価されている企業です。
一方で、買収に動いた日立産機システムは電子機器やIoT機器、各種システムを利用した様々なソリューションを展開しており、インクジェットプリンタを用いて食品や電子部品などにロット番号等を印字する事業を長年展開しています。
市場に目を移すと、近年では精細かつ消えることのない印字方法への注目が集まっており、レーザーを利用した印字やプリントの市場は拡大中です。
今回買収に成功したことで、日立産機システムは自社で培った従来のビジネスモデルにPHOTON ENERGYの技術やノウハウを連携し、さらなる技術力の向上をもって市場での競争力を上げることを狙いとしています。
変化する市場のニーズにいち早く対応し、激しい競争を勝ち抜くための手段を準備した好例といえるでしょう。
牧島かれんデジタル大臣は2022年5月25日、シンガポール共和国・プットゥチェリーGovTech担当大臣と意見交換ののち、デジタル分野における協力覚書の署名を行いました。
牧島大臣からは高いデジタル技術を有していると評されるシンガポールの先進性を認めたうえで、日本もシンガポールの事例から学び、シンガポールとの協力関係を強化したいという旨の発言がされました。
これに対してプットゥチェリー大臣は日本とシンガポールの協力の歴史、テクノロジーを利用した社会の変革への共通の価値観に触れたうえで、デジタル分野でもさらに協力関係を強めていきたいと発言。
両者の発言を踏まえて、日本とシンガポールのデジタル分野での協力体制をさらに強めていくという内容で意見が一致し、協力覚書の締結に至りました。
デジタル分野で後れを取っているとされる日本企業への良い影響にも期待したいところです。
シンガポール共和国・プットゥチェリーGovTech担当大臣とデジタル分野における協力覚書(MoC)の署名を行いました
デジタル庁が主導するデジタルの日は2022年は10月2日(日)および10月3日(月)に決定し、2022年5月27日(金)より賛同企業・団体の申請受付を開始しました。
日本企業を中心にデジタルについて考える機会として、2021年より制定された「デジタルの日」。
参加企業はデジタルの日への参加を表明するロゴが使用可能になるほか、企業の取り組みを公式サイトで紹介、オンラインイベント配信の際に企業名の記載などのメリットが用意されています。
2021年のデジタルの日では、各社による限定のセールやキャンペーン、DXセミナーなどの取り組みが行われました。
デジタル技術による企業変革が求められ、DX推進度が社会からの評価にもつながる現代の製造業にとっては注目すべき内容といえるでしょう。
今回は2022年5月のトピックを中心に製品関連のニュースと時事ニュースに分けてご紹介しました。
DXが推進される製造業において、最新のニュースから新技術の情報を得ることは自社をより発展させるために必要不可欠です。
また、話題やトレンドを掴むことで商談や取引の際に、自社商品やアピールポイントをより魅力的に売り込むことができるでしょう。
変化が激しい業界だからこそ、常に最新の情報を取り揃えて自社のさらなる発展に必要な事柄を見極めましょう。