DXに対して、個人・従業員はどのように感じているのか – 27人の意見を基にした解決へのヒント

2022年4月、『Pimlus』では製造業に従事する27人に対し、アンケートを実施しました。

アンケートの内容は以下の通りです。

  1. 社内において、どのようなDXが進められていますか?
  2. DXが進められる上で、どのようなメリットを感じましたか?
  3. DXが進められる上で、弊害はありましたか?
  4. 3であったとお答えいただいた方、具体的にどのような弊害でしたか?
  5. DXが進められる上で、自社にって、どのような点が課題だと思いますか?

■ アンケートについて
【アンケートの目的】DXの取り組みによる意識調査
【 調査期間と方法 】2022年4月20日~4月25日、インターネット・モバイル回答方式
【調査対象と回収数】製造業に従事する全国の正社員

各アンケート結果

項目1:社内において、どのようなDXが進められていますか?

調査回答者の属性(n=553) ※製造業に従事する全国の正社員27人

アンケートの結果、最も導入が容易である「オンライン会議」「ペーパーレス化」が同率で1位となりました。

以下の記事でも解説していますが、ペーパーレス化を進める際には、取引先との連携、ペーパーレス化のための設備不足、社内規定がない、紙媒体の書類を従来通り承認するために出社せざるを得ないといった、解決すべき課題が多くあります。

実際に回答者の中には「得意先から受けた仕事を工場に手配する際、工場がまだまだアナログで、各工程の手配書をプリントアウトしなければならない。それだけでも非常に時間がかかり、効率が悪い。」という意見も見られました。

項目2:DXが進められる上で、どのようなメリットを感じましたか?

項目1でのアンケートの通り、製造業でもDXに向けた様々な取り組みが実施されていますが、実際に従業員はこれらの施策に対してどのような点に効果を感じているのか、具体的な意見と共に見てみましょう。

「DXが進められる上で、どのようなメリットを感じましたか?」という回答に対して、「業務効率化」が一番に挙げられました。以下では具体的な意見を紹介します。

電子契約や電子印の導入により、ペーパーレス化、作業の効率化を図ることができた。またリモート会議の導入により、出張や遠方訪問の回数が抑えられ、在宅勤務などの新しい働き方が実現でき、社内のエンゲージメントも高まった。(年齢:42歳 職種:機械関連 役職:所長)

現場が終わってから、報告書を作成するまでに時間がかかり、客先への対応が遅くなっていた。しかしモバイル報告書を運用することによって、報告書作成速度が上がり、上司のサインもスムーズに貰えるようになった(年齢:38歳 職種:機械関連 役職:一般社員)

また中には以下のように、属人化防止という視点からの意見もありました。

人の力量によって作業の質が左右されなくなった。また年齢を重ねても、今後身体に負担をかけない作業が構築できるようになると予想される(老眼などで視力に影響を及ぼす作業)。(年齢:38歳 職種:機械関連 役職:一般社員)

このようにDXが推進されることによって、DXの大きなメリットである、業務効率化のメリットを感じていることが判明しました。

項目3:DXが進められる上で、弊害はありましたか?

様々なメリットをもたらすDXですが、製造業に関わらず、DXのように、新たなものを導入する際に生まれるのが、熟練者や上層部との軋轢です。

またシステムを導入しても、それを使いこなさなければ意味がありません。

Pimlusではその点に着目して、「DXが進められる上で、弊害はありましたか?」というアンケート項目も設置。

結果は6割が「あった」との回答になりました。

下記からはどのような点を弊害に感じたのか、具体的な意見を紹介します。

項目4:3であったとお答えいただいた方、具体的にどのような内容でしたか?

DXを進める中で不完全な部分が多く、不具合が多発。人は倍のコストをかけて生産している。修復できる見込みは無し。残業・休出もたくさん要請され、人も辞めてしまっているような状態。どこかで見切りをつけて軌道修正をしてもらいたい。(年齢:38歳 職種:機械関連 役職:一般社員)

気軽にできるからなのか、オンライン会議が増えた気がする。またペーパーレス化が進んではいるものの、図面を使う仕事のため、中々進んでいない部分も多い。(年齢:40歳 職種:建築・住宅関連 役職:主任)

ペーパーレス化を推進していたが、デジタル承認を運用したのみで手間だけかかり、原紙は書類のまま。末端の社員にはメリットが感じられなかった。(年齢:38歳 職種:機械関連 役職:一般社員)

リモート会議が中心となり、face to face で会う機会が減り、人間関係の希薄化につながっている。(年齢:42歳 職種:機械関連 役職:所長)

項目5:DXが進められる上で、自社にって、どのような点が課題だと思いますか?

項目4に関連して、最後に、会社全体という視点から、どのような点が課題だと感じているのかを回答してもらいました。

これらの意見を参考に「従業員が会社に対して考える悩みや不安から、自社にとってどのような施策が必要なのか」のヒントにつなげましょう。

デジタルツールや技術を導入することは決して目的にはなりえない。本来解決すべきビジネス課題があって、そこでツールなり技術が生きると思う。リモートワークではこのような悩みの雑談等をする場所がなく、アクションを取りづらいケースがある。(年齢:48歳 職種:食品関連 役職:次長)

会社の規模が大きい場合、全体を統括して取り組むトップダウンが無ければ”部門最適”となり、全社的最適に辿り着けず、DXの失敗となる。全体統括の部署の設置と強力なイニシアチブが必要である。またその活動を後押しする全社的風土の育成が必要。(年齢:59歳 職種:機械関連 役職:部長相当職)

報告書のモバイル化によって、データの管理や現場用のタブレット管理が必要となり、ツール管理者の業務負担がかかった結果、作業の平滑化が無くなってきている。(38歳 職種:機械関連 役職:一般社員)

食品関連の倉庫で、今までの帳票による棚卸から、端末機器での棚卸へと移行。しかしマニュアルだけではエラーに対応できない事案が発生し、問い合わせに対応する情報システム部の人員が少なく大変苦慮した。このような状況を踏まえ、システム関連の人員育成が必要だと思う。(年齢:45歳 職種:食品関連 役職:主任)

DXを取り入れる部分と、人が関わる必要がある部分を住み分けすることが大事。現在はとにかくDXを取り入れることが目的となってしまっており、本質である「業務効率化」からかけ離れてしまっている。(年齢:38歳 職種:機械関連 役職:一般社員)

まとめ

DXが実施される上で、現場の従業員はどのように感じているのか、本音を探るべく本アンケートを実施しました。

寄せられた意見の通り、DXを目的としてしまうことで、その場しのぎの対策となり、形骸化してしまう恐れも出てくるでしょう。

会社にとって何が重要なのかを見極めた上で、経営に役立てることが重要です。

以下の記事も参考にしつつ、適切なDXを図りましょう。

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