プロコンとはなにか?ビジネスでの活用例と合わせて徹底解説

組織内の意思決定がなかなかスムーズに進まない、という悩みをお持ちではありませんか?

そこで活躍するのがプロコンと呼ばれる思考のフレームワークです。プロコンの思考法を実践すると、物事のプラス面とマイナス面を把握して、より正確な意思決定を行えるようになります。

今回はプロコンの詳細を解説したうえで、実際にプロコン表を利用した意思決定の手法についてご紹介します。

考え方を知るだけで、日常のさまざまなシーンでも活用できる、便利なプロコンの思考を学びましょう。

プロコンとは?

「プロコン」の意味

プロコンとは、ものごとのプラス面とマイナス面を明らかにすることで、比較を簡単かつ正確に行えるようにする分析方法です。

Pros and Consが語源となっており、それぞれラテン語で「pros(賛成の)」と「cons(反対の)」という意味を持っています。

プロコン表を使ってメリット・デメリットを明確にする

プロコンを実践する際には、上記画像のようなプロコン表を使用すると便利です。

テーマを決定したうえで、事柄に関するメリット・デメリットを書き出し、意思決定の材料として使用します。

例えば、下の表は自社のシステムにクラウド型を採用するか、オンプレミス型を採用するか、というテーマのプロコン表です。このように内容を書き出して、会議などで議論を行う際の材料とします。

プロコン表を用いた例

【テーマ】自社システムにクラウド型・オンプレミス型のどちらを採用するか
メリット デメリット
クラウド型 導入費が比較的安価:3

保守管理の負担が少ない:5

常に最新バージョンのシステムを利用できる:2

システムの自由度が低い:1

自社に適したシステムにアレンジすることは難しい:3

オンプレミス型 システムを構築する際の自由度が高い:3

自社の業務体制に適したシステムを構築できる:4

多くの導入費用や期間を必要とする:3

保守管理の負担が大きい:5

システムが自動でアップデートされない:2

 

プロコン表のメリット

プロコン表を使うことによるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的なメリットをご紹介します。

事柄の特徴をより正確に把握する

プロコン表を使うことにより、テーマについての特徴やメリット・デメリットをより正確に把握できます。

決定することによるメリットだけに目を引かれるのではなく、デメリットまで深く考えることも重要です。

これまで、決定を行う際に、ぼんやりとしたイメージで判断を行っていた場合には、プロコン表を利用し、テーマについて深く検討したうえで決定を行う習慣をつけましょう。

多人数で意思決定を行う際に有効

プロコン表は、多人数での意思決定を行う際に、特に有効です。

自身と他人の考え方の相違点が明確になるほか、テーマに関する意思決定の理由が組織内ではっきりするため、選択に対する妥当性や納得感を得られます。

議論の際に、意見の対立によって膠着してしまう場合などは、プロコン表を使って、対立している点や意見が一致している点を模索することにより、進展につながるでしょう。

一人で考えを整理したいときにも

プロコンの思考法は多人数での議論だけではなく、一人で考えをまとめたいときにも有効です。

ビジネスの場面以外でも、日常的にこの思考法を取り入れることで思考が整理しやすくなります。

「徒歩で移動するか電車で移動するか」「気になる新商品を購入するか否か」といった、なにげない日常での判断にも、プロコンを意識することで、この思考法が自然と習慣になるでしょう。

プラス面とマイナス面を考える習慣がつく

プロコンの思考を繰り返すことで、物事のプラス面とマイナス面を考える習慣が身に付きます。

より正確に合理的な判断ができるようになることはもちろん、判断に要するスピードも向上します。判断を素早く的確にできるようになれば、人生のあらゆるシーンに変化が生じるでしょう。

プロコン表を利用する手順

プロコン表を使って議論を行う際には、以下のような手順で議論を行います。

ここでは、本記事前半で使用した「自社システムにクラウド型・オンプレミス型のどちらを採用するか」というテーマを例に解説します。

【テーマ】自社システムにクラウド型・オンプレミス型のどちらを採用するか
メリット デメリット
クラウド型 導入費が比較的安価:3

保守管理の負担が少ない:5

常に最新バージョンのシステムを利用できる:2

システムの自由度が低い:1

自社に適したシステムにアレンジすることは難しい:3

オンプレミス型 システムを構築する際の自由度が高い:3

自社の業務体制に適したシステムを構築できる:4

多くの導入費用や期間を必要とする:3

保守管理の負担が大きい:5

システムが自動でアップデートされない:2

①検討する内容を明確にする

まずは、プロコン表を使ってどのようなテーマを検討するかを明確にします。

「自社システムにクラウド型・オンプレミス型のどちらを採用するか」がこれにあたります。検討内容が曖昧だと、メリット・デメリットが正確に把握できなくなってしまうため注意しましょう。

②意見を可能な限り挙げていく

テーマが決まったら、テーマに関する意見を可能な限り多く挙げていきます。

出てきた意見は、議論に参加している全員が網羅的に確認できることが理想です。ホワイトボードを使ったり、ITツールで画面共有を行ったりするとよいでしょう。また、賛成派と反対派の立場になりきって、ロールプレイで意見を述べていくことも効果的です。本来の自分の意見とは異なる視点に立つことで、新しい気づきを得ることができるでしょう。

③出た意見の重要性を評価する

意見が出そろったら、それぞれの意見の重要性を評価します。意見の右側に1~5くらいの範囲で重要度の数字を記載していくとよいでしょう。

注意点として、この数値の合計値で意思決定を行うのではなく、あくまでも議論の材料にとどめます。クラウド型のメリットの重要度が高いからといって、すぐにクラウド型システムの採用を決定する、といったことがないように、議論を深めるよう注意が必要です。

④重要度が高い項目を中心に議論を行う

それぞれの意見の重要度が出そろったら、重要度の高い項目を中心に議論を行います。例えば、クラウド型システムの「保守管理の負担が少ない」というメリットの重要度が5の場合には、この意見を中心に議論を進めます。重要度が高いとみなされた意見は、決定が組織に大きな影響を与えるケースも多くなります。

この例では、「保守管理がメイン業務だった情報システム部門の業務体制が、根本から変更される」というような影響が考えられます。このように、決定が大きな影響をもたらす意見に対しては、重点的に議論を行う必要があることを忘れないようにしましょう。

プロコンを実践する際のポイント

それでは、プロコンを実践する際には、どのような点に気をつければよいのでしょうか。

できるだけ大人数で行う

プロコン表を使って議論を行う際には、できるだけ大人数で行いましょう。人数が多ければ、より多くの意見や発想が生まれるため、精度の高い意思決定が可能になります。

また、組織内の多くの人が議論に参加することで、「自身も意思決定に携わっている」という意識が向上するため、モチベーションにもつながります。

議論の内容や意思決定の理由を参加者全体で共有できるのも、大きなメリットといえるでしょう。

意見やアイデアをたくさん出す

プロコン表を作成する際には、とにかく意見をたくさん出しましょう。こんなこと言っても関係ないだろう、といった気持ちで遠慮しないよう注意が必要です。

自分としては取るに足らないことだとしても、他人にとっては新鮮な意見だった、ということはよくあるケースです。どんなに小さな意見でもプロコン表に書き記し、議論すべきか否かはのちに重要度を決める際に判断しましょう。

また、このように気軽に意見を出せる環境や雰囲気作りも大切です。全員が遠慮することなく意見を出せる環境を整えることが、プロコン表を有効活用できるかどうかの重要なポイントです。

全ての意見について議論しない

プロコン表について議論をする際には、出てきた意見全てについては取り上げないようにしましょう。

前述のとおり、プロコン表を作る際には小さな意見もくみ取ることが大切です。しかし、これらの意見全てについて議論をしていたら、時間がかかりすぎてしまいます。

決定した重要度を参考に、検討すべきテーマを厳選してから議論に入るようにしましょう。

プロコン表を有効活用して納得の意思決定を

今回はプロコンの詳細を解説したうえで、実際にプロコン表を利用した意思決定の手法についてご紹介しました。ビジネスの現場では毎日さまざまな判断が求められます。プロコン表を有効活用することで、これらの判断を正確かつ迅速に行えるようになるでしょう。

また、プロコンの思考を繰り返し活用すれば、物事のプラス面とマイナス面を考える習慣も身に付きます。日常の中でプロコンの思考を意識して、ビジネスはもちろん、人生のさまざまな場面でもよりよい意思決定を行うようにしましょう。

この記事はさんが執筆しました

プロコンとはなにか?ビジネスでの活用例と合わせて徹底解説

関連記事