製造業で働いていて、資格を取ることを検討しているものの、どの資格を取ればいいのかわからない、という悩みをお持ちではありませんか?
製造業の業務内容は多岐にわたるため、とるべき資格は人によって異なります。
今回は製造業において資格を取得するメリットと、おすすめの資格をご紹介します。資格の取得を考えている方は、どれを選ぶかご参考にしてください。
製造業で資格を取ると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
代表的な3つのメリットはこちらです。
収入アップにつながる
スキルアップができる
自身の市場価値の上昇につながる
一つずつ解説していきます。
資格を取得することで、収入アップにつながる可能性があります。
会社員として働いている場合には、資格手当の出る会社も多いでしょう。月収1万円の資格手当を受けられれば、年間で12万円の収入アップが期待できる計算になり、向こう何年も恩恵を受けられることを加味すれば、大きなメリットとなります。
複数の資格を保有すれば、その分の手当を加算する、という会社もあるため、複数の資格を目指して積極的に挑戦するのもよいでしょう。
資格の取得を通じて、その分野のスキルアップが期待できます。
資格の取得に際しては幅広い知識を正確に身につける必要があります。資格の勉強で身につけたスキルは、試験で使用したら終わりではなく、日常的な業務の効率や、生産性の向上にもつながることでしょう。また、会社への貢献や向上心が評価されて昇進につながることも期待できます。
資格を保有することは、自身の市場価値の向上にもつながります。
周囲の人材との差別化を図れるため、転職活動などをする際にも有利に働くでしょう。国家資格をはじめとした難度の高い資格であれば、さらに高い評価につながります。
自身がとるべき資格を選ぶ際には、どのようなポイントで判断すべきでしょうか。
ポイントは大きく2つです。
自身の仕事に役立つかで選択する
資格の種類で選択する
一つずつ解説します。
資格を選ぶ際には、自身の業務内容に適した資格を選択しましょう。
資格獲得のために学んだ内容が、そのまま業務に活かせるため、業務の質も上がって社内評価の向上につながるでしょう。
また、モチベーションが維持しやすいこともメリットです。
製造業の資格は大きく国家資格・技能講習・特別教育に区分されます。
種類によって難易度や取得方法が異なり、作業可能な範囲も異なるため、自身の業務内容に適した資格を選択しましょう。
国家資格はその名の通り、国の法律で規定されている資格で、他の資格と比較しても取得の難度が高くなっています。
取得するには国家試験に合格するか、もしくは国の認可を受けた養成施設で認定要件を達成する必要があります。「危険物取扱者」「電子機器組立技能士」といった、専門性の高い資格ばかりのため、取得には相応の時間と努力が必要となります。
その分、取得した際の需要は高く、専門性の高いスキルを活かした仕事やキャリアアップにつながることでしょう。
技能講習は外部機関で行われる講習に参加することによって認められる資格です。
学科や実技の講習を受講したうえで、修了試験での合格が認められる必要があります。
技能講習終了証明書が発行されるため、国家資格と同じくスキルの証明としての効果が期待できます。
特別教育は外部機関もしくは自社内で特別教育を実施することで認められる資格です。
技能講習と同じく学科や実技を受講しますが、修了試験はないため、比較的取得が容易な資格といえるでしょう。その分、認められる業務内容は限られるため、より広範な業務を行いたい場合には技能講習や国家資格の取得が必要になることもあります。
ここからは、製造業での業務におすすめの資格を7つ紹介します。
危険物取扱者
衛生管理者
電気工事士
機械保全技能士
フォークリフト運転技能者
玉掛技能者
クレーン運転士
一つずつ資格の概要について解説します。
危険物取扱者は、危険物の使用や現場に立ち会う際に必要となる資格です。
危険物に関する知識や正しい取り扱いができることの証明になるため、現場で該当する危険物を扱う場合には取得すべき資格です。甲種、乙種第1類~第6類、丙種に区分されており、甲種はすべての種類の危険物、乙種は1~6類でそれぞれ取り扱える危険物が異なり、丙種は乙種第4類のうちの一部の引火性液体のみ取り扱いが可能です。
乙種、丙種は誰でも受験できますが、甲種については、受験するために一定の条件が必要となります。
甲種に必要な条件は以下です。
〔1〕大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
〔2〕大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
〔3-1〕乙種危険物取扱者免状を有する者(実務経験2年以上)
〔3-2〕乙種危険物取扱者免状を有する者
〔4〕修士・博士の学位を有する者
引用:危険物取扱者試験 受験資格
衛生管理者は、職場の衛生状態や労働環境を、健全な状態に保つ業務に関する資格です。
職場の疾病予防やメンタルヘルスケアは、製造業に限らずあらゆる職場で必要とされるため、幅広く需要のある資格といえるでしょう。50人以上の従業員が働く事業所では、1人以上の衛生管理者の配置が法律で義務付けられており、大人数で現場作業をすることの多い製造業においても欠かせない資格となっています。
第一種衛生管理者と第二種衛生管理者に分かれており、第一種は全業種で業務可能、第二種は金融業やサービス業といった危険度が低い業種でのみ業務が可能となっています。製造業での業務は第一種が要件となっているため、取得の際にはこちらを目指すことをおすすめします。
電気工事士は、建物の電機関連設備の工事を行うための資格です。
電気設備の管理やメンテナンス業務などで活躍します。工場で多くの電気設備を使用する製造業においては、特に需要の高い資格といえるでしょう。第一種電気工事士と第二種電気工事士に分かれており、それぞれ担当できる施設の規模が異なります。
第二種は一般住宅や店舗といった小規模施設の工事に限られている一方、第一種はビルや工場といった最大電力の大きい大規模施設の工事も担当可能です。大規模な製造業の現場で業務を行っている場合には、第一種の取得を目指すことになるでしょう。
機械保全技能士は、工場の機械設備の保守管理やメンテナンスといった、機械の保全に関する業務を担当するための資格です。機械を扱う現場で汎用的に使える技能が多く、製造業においても需要の高い資格となっています。
受験者の知識や実務経験によって1~3級、特級に分かれていて、2級以上に関しては、受験に際して試験内容に設備診断作業が追加され、特定の年数の実務経験が要求されます。
具体的な実務経験年数ですが、特級は1級合格後5年以上の実務経験、1級は7年以上の実務経験、2級は2年以上の実務経験が必要になります。
フォークリフト運転技能者は、工場や倉庫で荷物の移動に使用される、フォークリフトを運転するための資格です。自動車学校をはじめとした労働局指定の教育機関で取得できます。1トン以上の荷物を扱うか、1トン未満の荷物を扱うかで、取得方法が異なります。
最大積載荷重量1トン以上の荷物を扱う場合には、「技能講習」を受講した後、学科・実技試験を受験します。1トン未満の場合には、運転業務についての「特別教育」を受講すれば試験は不要のため、比較的容易に取得できますが、公道での作業ができないといった制限も伴います。自身の業務の必要に応じて、どちらを取得するかを決定しましょう。
玉掛けとは、クレーンなどに荷物を掛けたり外したりする作業のことで、玉掛技能者はこれらの作業を行うために必要な資格です。玉掛けがしっかり行われないと、製品が破損する可能性があることはもちろん、最悪の場合には落下事故などにつながりかねません。
工場をはじめとした現場作業では玉掛け業務が発生することが多いため、製造業においても需要は高いといえます。技能講習と特別教育で可能な業務範囲が異なり、技能講習ではつり上げ荷重1トン以上のクレーンの作業が可能な一方、特別教育ではつり上げ荷重1トン未満のクレーンに限られます。
クレーン運転士は、工場をはじめとした現場作業で、クレーンを運転するための資格です。
クレーン・デリック運転士免許、 移動式クレーン運転士免許、技能講習、特別教育に分かれるため、自身の必要に応じた資格を選択しましょう。免許の種類によって運転できる重機が異なり、機能講習と特別教育では、それぞれつり上げ荷重に制限が設けられています。
ここから管理職に必要な資格をいくつか紹介します。
簿記は、企業や事業者にとって必須の帳簿を、ルールに沿って適切に作成・管理し、経営に関する情報を記録するためのスキルです。
簿記は初級、3級、2級、1級がありますが、まずは3級を取得することを目標としましょう。
簿記3級では、商業簿記に関する知識が問われます。商業簿記とは、商品の仕入れから販売までの流れを帳簿にまとめたり、決算書を作成したりするために必要な技術です。3級に合格すると、確定申告の青色申告書類を作成するためのスキルや、企業経理の基礎知識を身につけられ、就職や転職でも評価される可能性が高まります。
中小企業診断士が行う仕事は、企業の診断及び経営の助言です。 まず、企業から依頼を受けてヒアリングや文書などの調査します。 そして、依頼を受けた企業の現状を把握して課題を見つけ、今後課題をどのように解消していくかや今後の成長戦略などについてアドバイスを行います。
経営資源を横断的に見る力が身につくので、管理職の立場から経営の助言を行うことができるようになります。
MBAは資格試験ではなく学位です。取得するには大学院に通う必要があります。
組織行動・リーダーシップ、人材管理、マーケティング、経営戦略、アカウンティング、ファイナンスなどを学ぶことが出来るので、将来的に経営者になりたい人やキャリアアップを目指す方にオススメです。
MBAについては以下の記事を参考にしてください。
今回は製造業で資格を取得するメリットと、おすすめの資格を7つご紹介しました。
資格はどんな業界でも有用なものですが、機械の操作や専門知識が必要になる製造業では、特に取得の恩恵が大きくなっています。
まずは現在の仕事と今後のライフプランを考慮して取得する資格を選択してみましょう。多くの資格を保有していると、それだけ働き口も多くなります。
日常業務に役立つことはもちろん、将来的に転職を考えている際にも、他の人材との差別化に役立つでしょう。本記事を、資格の取得を検討する際のご参考にしてください。