製造業のIT部門の役割|DX時代のIT部門に求められるものとは?

企業のDX推進の必要性が浸透した昨今、製造業においてもIT技術の重要性は増しています。

日本の企業はDXの遅れが指摘されており、それは製造業も例外ではありません。社内のIT技術の変革において重要な役割を担うのがIT部門です。

本記事では、製造業のIT部門がDX時代で求められる役割や指摘されている問題点、その解決策をご紹介します。

今後求められるIT部門の姿を把握して、自社のDX推進を支える力強いIT部門を組織しましょう。

製造業におけるIT部門の役割

製造業にもDX推進が求められている中で、IT部門の役割や社内でのあり方も変化しています。

まずは従来のIT部門の役割と、これからの時代に求められるIT部門の役割の違いを解説します。

クラウド型システムの台頭

近年、従来のオンプレミス型の社内システムから、クラウド型のシステムに移行する企業が増えています。

オンプレミス型のシステムは、社内独自のシステムを構築するには便利なものの、保守管理には専門知識を持つ人材による相応の労力が必要でした。

しかしクラウド型は、提供する業者が管理を行っているシステムを利用するため、自社におけるシステム管理の負担が軽減されます。

クラウド型システムへの移行で、製造業のIT部門の在り方が変わってきています。

従来の製造業IT部門の役割

従来型の製造業のIT部門では、既存の基幹システムの保守管理、自社インフラの管理、社内のITに関するサポートなどが業務の中心となっています。

製造業では特に、管理するデータや独自のシステムが多いため、上記の業務にかかる負担は大きくなる傾向にあります。

従来の製造業IT部門では、社内業務が円滑に回るような保守管理に多くの時間を割いている状況でした。

DX時代の製造業IT部門の役割

それでは、DX時代の製造業のIT部門にはどのような役割が求められるのでしょうか。

DX推進のための新システムの導入・運用

まず挙げられるのは、自社のDXを推進するための新しいシステムの導入・運用です。

DXを進めるためには新しいテクノロジーを利用して、社内業務の円滑化や労働環境の改善を行うことが欠かせません。また、新システムの導入によって変化する事柄を社内で共有し、理解を促すのもIT部門の大切な役割です。

製造業においては特に、現場の業務を大きく変更する可能性もあるため、十分に従業員の理解を得る必要があります。

他部門との協力・コミュニケーション

社内の理解を得るためにも、DX時代のIT部門には、他部門との協力やコミュニケーションも強く求められます。

企業の変革を推進し続けるには、他部門や現場の声を抽出して反映し続けることが極めて重要です。現場と業務課題を共有し、その課題を踏まえてシステムを改良していくことが、業務改善への近道であることは間違いありません。

新システムの導入前はもちろん、導入後も、他部門や現場とのコミュニケーションを密にとり続けることはIT部門の重要な役割といえるでしょう。

社内全体の変革

DX時代のIT部門においては、IT部門が自社を変革するという意識を持つことが大切です。

社内のあらゆる業務でテクノロジーの利用が欠かせない現代では、IT部門のあり方が自社のあり方を大きく変えるといってよいでしょう。従来の保守管理中心のIT部門から、ITを利用して社内変革を積極的に行うという意識改革も求められます。

また、これらの社内改革を推進するためにも、従業員に新システムや労働環境の変革の必要性を訴えかける提案力も必要になるでしょう。

製造業のIT部門の問題点

製造業のIT部門では、多くの企業に共通する課題も存在します。製造業におけるIT部門の問題点には、以下のような点が挙げられます。

人員・人材不足で業務に余裕がない

製造業のIT部門では取り扱うデータやシステムが多岐にわたるため、IT部門の負担が大きくなり、IT人材の業務に余裕がないという問題が発生します。

DX時代のIT部門では、保守管理に加えて変革を推進する業務が求められますが、保守管理業務に注力しすぎるがゆえに、DXの推進がおろそかになってしまうという事態が起こりがちです。

また、IT部門は人材の不足が起こりやすいことも特徴で、求められる専門性の高さ、企業の利益に直接影響しないということなどが、IT部門の軽視につながっているようです。

DX推進を担える人材が育たない

DX推進のための専門的な知識を持つ人材が育ちづらいことも、IT部門の課題として挙げられます。

前述したように、IT部門は保守管理業務で多忙になりがちなため、新システムの導入やそれに関するスキルアップの機会を確保しづらいのが実情です。

IT人材の確保はもちろんのこと、人材を育成できるIT部門の環境整備も今後の大きな課題といえるでしょう。

自社のDXを実現するまでの流れ

自社のDX推進に必要なスキルを持つ人材を確保するには、どのような手順が必要となるのでしょうか。ここではその流れをご紹介します。

既存業務の負担を減らす

まずは、現在IT部門が担当している業務の負担を減らすことができないかを検討しましょう。

既存業務を洗い出し、簡易化・外部委託が可能な業務はないか、見直しを行います。その際には、RPAやクラウド型システムの導入、基幹システムと業務システムを一元管理できるERPの導入などが考えられます。

また、アウトソーシングを行って保守管理業務を外部化するのも一つの方法です。どの方法を選択するにしても相応のコストと体制の変更が必要となるため、事前の精査を入念に行いましょう。

DX推進ができる環境づくり

前述のようにIT部門の業務の変革を行いつつ、DX推進に注力できる環境を作りましょう。

業務負担の削減によるIT人材の時間の捻出はもちろん、新システムの導入に向けて、社内でのコミュニケーションを促進することも大切です。

この行程は長い期間をかけて行う必要があるため、アウトソーシングなどを活用しながら、少しずつ環境を整えましょう。

アウトソーシングを併用しつつ自社でのDX対応を目指す

アウトソーシングを活用する場合、最終的に自社人材だけでDXを推進できる体制を整えることを忘れないようにしましょう。

アウトソーシングをすることにより、IT部門の負担を減らすことはできますが、自社にノウハウがたまりにくくなってしまうことを忘れないようにしましょう。

IT業務のアウトソーシングの注意点

ここからは、IT部門の業務をアウトソーシングする際の注意点について、さらに詳しく解説します。

自社人材の育成も並行して行う

アウトソーシングを行う場合には、自社のIT人材の育成も同時に行うことを忘れないようにしましょう。

業務を委託する中でも、自社のIT人材が学べる環境を提供し、自社でDX推進を行える環境を作る必要があります。

必要な情報をアウトソーシング先から提供をしてもらうなど、自社人材の育成およびノウハウの蓄積を怠らないようにしましょう。

アウトソーシングする業務は慎重に決定する

アウトソーシングで外部委託を行う場合には、外部委託を行う業務の選定を慎重に精査しましょう。

新しいシステムを導入する際は、自社の業務内容に合わせた運用法の確立が必要になるため、最初は自社で運用管理を行った方が柔軟な対応ができる場合もあります。

アウトソーシングすべき業務とそうでない業務は慎重に判断しましょう。

クラウド型のシステム導入も検討する

オンプレミス型システムの管理業務をアウトソーシングしようと考えている場合、クラウド型システムの導入も検討しましょう。

クラウド型システムは保守管理を運営会社が行うため、サービスによっては自社での保守管理業務がほぼ不要なこともあります。

単純作業を自動化するRPAなどの技術も発展しているため、アウトソーシングかシステムによる環境の改善か、どちらがよいかを検討してみましょう。

企業の変革を担う、DX時代における製造業のIT部門

本記事では、製造業のIT部門がDX時代に求められる役割や問題点、その解決策をご紹介しました。

ITによる企業変革が求められる現代において、その中心となるIT部門は企業の未来を担っているといっても過言ではありません。

現場とオフィス業務が並立する製造業のIT部門では、社内の理解や現場の声を聞き取る積極的なコミュニケーションも求められます。従来の保守管理というイメージから脱却し、企業変革の中心となるような積極的なIT部門を目指しましょう。

 

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