自社製品を海外に販売する際に、取引の仲人となる「販売代理店」。自社製品の海外進出によって、自社製品を海外に販売してさらなる事業展開に繋がり、新たなビジネスチャンスが舞い降りてきたり、広い視野を持って展開することができる可能性が高まります。本記事では、販売代理店の概要と目的、販売代理店のメリットとデメリットについて解説します。さらに後半では、販売代理店の探し方やポイントを紹介します。
まず販売代理店の概要や販売代理店を利用する目的を説明します。その後に、販売代理店のメリットとデメリットについて解説します。
海外でビジネスを取引する場合には、直接貿易形態、間接貿易形態、代理店・販売店取引形態などの形態があります。直接貿易形態は、商社などの仲介に業務を委託せずに取引をすることになります。対して間接貿易形態は、商社が輸出入の契約などの仲立ちをして、海外の企業と取引をする形態です。今回紹介する販売代理店は、代理店・販売店取引形態の1つの取引になります。代理店・販売店取引形態は、海外の代理店や販売店と契約を行った後に、自社製品を海外に販売するために取引することです。そのため、販売代理店を利用する目的としては、自社製品の海外進出や自社製品を海外に販売してさらなる展開を図ることといえます。
では、海外での販売代理店のメリットとデメリットはどのようなことが挙げられるでしょうか。
まず海外での販売代理店のメリットから解説します。メリットは、目的でも記載しましたが、海外進出ができる、つまりビジネスチャンスが広がるという事です。また現地の販売代理店の場合は、販売代理店と顧客との信頼関係を築きやすく、顧客に近い業務の整理が任せやすいというメリットもあります。他にも、新たに物理的に会社を設立しないという点で、人員投資や設備投資などの販売の初期投資を抑えられます。さらに、海外販売代理店によって在庫の管理や在庫の貯蔵などの物の流れを一元化しやすいという点もメリットとして挙げることができます。
しかし、販売範囲が広がると共に伴って発生するデメリットも理解しておく必要があります。販売代理店に依存しすぎると、海外という日本とは全く違う言語、ルールの基での販売になるため、把握できないまま海外の法律、販売ルールに反した方法で取引をしてしまうというリスクが挙げられます。海外での品質管理、生産管理などが販売代理店を通しての管理になるため、ビジネスを構築できるまでは、想定外の時間と人手がかかるなどのデメリットもあります。
海外で、代理店・販売店取引形態で取引を行う際は、販売代理店選びが肝となってきます。ここからは、海外販売代理店の探し方や探し方のポイントを解説します。
まずは、海外販売代理店を探す方法の例を紹介します。
独立行政法人である、日本貿易振興機構(ジェトロ)は、日本の貿易の拡大を目的として日本の中小企業をはじめとする日本の企業の海外展開を支援しています。ジェトロは国外に70以上の事務所を持ち、多数の企業の支援経験からの実績があるため、サポートとしては信頼がおける法人です。
海外で調査をする「海外ミニ調査サービス」や海外の生産や販売パートナーを探すための「TTPP(国際ビジネスマッチングサイト)」などのサービスも提供しています。販売代理店支援の実績や経験が豊富なので、漠然として悩んでいる場合は、無料で受けられるカウンセリングで相談することがいいかもしれません。
取引先の国が明確に決まっており、日本と国交のある国である場合は、対象国の駐日大使館に行くことも販売代理店を見つけるための方法の一つです。
代理店経由で販売拠点を設けたい旨を伝えると、相談に乗ってもらえる場合があります。反対に、対象国にある日本国大使館に相談することも1つの方法です。
大使館によっては、担当部署から販売代理店リストなどを貰える場合もあります。尚、在日の外国大使館情報は、外務省のサイトから確認することができます。
なるべく費用を抑えて探したい場合や、大使館やジェトロに気軽に相談に行くことが困難な場合は、Webサイトを利用した販売代理店探しの方法があります。
一例としてビジネスマッチングサイトなどを利用すると、条件にマッチする仲立ちとなる会社を探すことができるかもしれません。
ビジネスマッチングサイトの他にも、英語や取引先の言語が堪能な方は、英語や取引先のサイトで販売代理店を探すこともお勧めします。
例えば、英語で検索する際は、「Agent」(代理店)と「Distributor」(販売店)をキーワードとして検索します。
では、海外で販売代理店を探す際にはどのようなポイントがあるのでしょうか。
特にWebサイトなどを利用して販売代理店を探す際には、予めポイントを絞ってから探すとより効率的に探している像に近い販売代理店が見つかるかもしれません。
海外の販売代理店を探す際の主なポイントは、事業内容はもちろん、対象拠点、展開先国での実績、経験や言語能力などが挙げられます。
対象言語に関しては、認識の祖語を減らすために語学力に自信がない場合は、販売代理店の日本語力があることが望ましいでしょう。または、日本の商社などに依頼することも可能です。
次に、販売代理店の事業範囲や経験も重要なポイントです。海外での販売にあたり、様々な契約や締結したり、商談などを実施したりすることが予想されるため、販売したい製品に特化した販売代理店や、経験が豊富な代理店を探す必要があります。
最後に、販売店契約と代理店契約の2つの契約について解説します。それぞれ契約の概要と双方の違い、販売代理店の契約で注意すべき点について説明します。
海外の販売代理店と取引する際の形態である代理店・販売店取引とは、先述の通り海外の代理店や販売店と契約を行った後に、自社商品を海外に販売するために取引することでした。代理店・販売店取引には、販売店契約と代理店契約があります。
販売店契約では企業(依頼元)と顧客の間に販売店が、代理店契約では代理店が存在します。販売店契約では中間の販売店が直接顧客に商品を販売し、販売店と企業(依頼元)は売買契約を締結します。一方で代理店契約では、代理店はあくまでも「企業(依頼元)と顧客を結ぶ仲人」であり、商品を販売せずに営業活動のみ実施するため代理店と企業(依頼元)は売買契約を締結しません。
販売代理店と代理店契約を締結する場合は、先述の通り企業(依頼主)と代理店と売買契約を締結しないため、販売店契約と比べて企業(依頼主)が責任や損失を受けることになります。
価格選定ができるなどの大きなメリットもありますが、代理店に依存しすぎることがないようにするように常に注意する必要があります。
販売代理店は、「企業(依頼元)と顧客を結ぶ仲人」であり、商品を販売せずに営業活動のみ実施するため、企業(依頼元)とは直接的に売買契約を締結しないことが分かりました。
販売代理店のメリット・デメリットを理解した上で、求める像にマッチした販売代理店を見つけることができると、ビジネスの成功に繋がり自社製品の海外進出の可能性も広がる可能性もあります。
ビジネスを海外へ展開を検討している企業は、海外の販売代理店を視野に入れてみてはいかがでしょうか。