シリコンウエハーのシェアは?概要や今後の動向、日本企業との関わり方を解説

「半導体の基となる材料(基盤)」であるシリコンウエハー。

近年、スマートフォンやパソコンにも使用されている半導体の需要が高まると共に、その基盤であるシリコンウエハーの需要も高まっています。

そんな注目が集まっているシリコンウエハーの世界市場売り上げシェア率のNo1とNo2(2020年)が、日本の会社であることをご存知でしょうか。

今回は、シリコンウエハーの概要や製造工程を説明します。さらに後半では、シリコンウエハーの市場シェア率の高い会社、上位5社を紹介します。

シリコンウエハーとは


まずはシリコンウエハーについて、概要や使用されている商品、製造過程について説明します。

シリコンウエハーとは?

シリコンウエハーを一言でいうと、「半導体の基となる材料(基盤)」になります。

シリコンウエハーは、ケイ素(シリコン)から切り出され、円い形をした薄い板(ウエハー)です。ケイ素の別名「シリコン」についてですが、アメリカ西海岸の半導体企業が集中している地域として広く知られている、「シリコンバレー」のシリコンと同じ意味になります。

ウエハー(wafer)はその形の通り、日本語訳では煎餅という訳をされることもあります。

しかしシリコンウエハーの特徴は、とても薄いということから、繊細な作りをしており、その表面は鏡面に磨き上げられています。

シリコンウエハーが使われている製品


私たちが日常生活において、シリコンウエハーを直接的に目にすることはありませんが、実は日常で使っているパソコンのCPUやスマートフォンなどの電化製品や、車や電車などの乗り物、カードのICチップ等もシリコンウエハーが使われています。

上記で共通しているものは、半導体が使用されているということです。

半導体とは、電気を通す導体と電気を通さない絶緑体との中間の性質を備えて、電気を通さない物体に、ある条件を出すことで電気を通すための役割をするものです。

シリコンウエハーは、上記の製品に使用されている半導体の基板材料として、私たちの生活と深く関わりのある材料であることがわかります。

私たちの普段から利用しているパソコンやスマートフォン、エアコンなどをさらにより良いものにする、つまり最先端で品質の高い半導体を作るとなると、シリコンウエハーの品質を向上させることが挙げられます。

シリコンウエハーの製造過程

では、シリコンウエハーはどのように作られるのでしょうか。シリコンとウエハーに用語を分けて解説していきます。

まず、ウエハーは、「ケイ素」が含まれる珪石を原材料にしています。その珪石からとれる金属シリコンを砕き、精留反応を利用して発生した物質を加熱して多結晶シリコンを抽出します。

抽出された多結晶シリコンを石英ルツボの中で溶解して、単結晶シリコンを作り出し、単結晶シリコンを極めて薄くまで切断してから表面を鏡面に研磨してシリコンウエハーは作られます。

シリコンウエハー市場について


次に、シリコンウエハーの市場について解説します。

シリコンウエハーの世界市場シェアは、世界の上位2企業が日本の会社になっています。

ここからは、日本でのシリコンウエハーの高いシェア率を誇る企業と、海外で高いシェア率を誇る企業を紹介します。

日本における高いシリコンウエハーシェアを誇る企業

まずは世界の上位2企業である、日本のシリコンウエハー企業とそのシェア率を説明します。

信越化学工業


信越化学工業は、2020年度のシリコンウエハー業界における売り上げNo1の会社です。

信越化学工業はシリコンウエハーなどの電子材料を扱う事業の他にも、「塩ビ」などの生活環境基盤材料や、シリコーンなどの機能材料、最後に加工・商事・技術としての4つの事業を中心に事業を進める化学メーカーです。

塩ビやシリコーン樹脂などの材料でも世界上位の実績を持つ信越化学工業ですが、シリコンウエハー業界では、2020年度の世界シェアは30%を超える結果になっています。

信越化学工業のシリコンウエハーは、シリコンウエハーの中では大口径である「300mmウエハー」や、高速なのに消費電力を抑えることに成功した「SOI(Silicon on Insulator)ウエハー」を大量生産できる、つまり高品質なシリコンウエハーを大量に生産できるという点に長所があります。

SUMCO


SUMCOは、住友と三菱のシリコンウエハー事業が統合して1999年に創業された会社であり、高純度シリコン事業に特化した会社です。

「技術で世界一の会社」というSUMCOのビジョン通り、シリコンウエハーの材料には最高水準の品質を持つ材料を使用しており、各種製品に万全の品質管理を施しています。

SUMCOの2020年度のシリコンウエハー業界における売り上げは、信越化学工業に次いでNo2の会社で、シェア率は全体の20%を超えています。

世界のシリコンウエハーシェア率

続いて、海外で高いシェア率を誇る企業を紹介します。

グローバルウエハーズ(台湾)


Global Wafers(グローバルウエハーズ、環球晶円)は、台湾のシリコンウエハーメーカーです。グローバルウェーハズは、Sino-American Silicon Products(SAS、シノアメリカン・シリコン・プロダクツ)のグループ会社になります。台湾最大のシリコンウェーハの会社として、直径300mmまでのシリコンウエハーを供給しています。

グローバルウエハーズの市場でのシェア率は、SUMCOに次ぐ3位であり、約17%になっています。

シルトロニック(ドイツ)


Siltronic(シルトロニック)は、ドイツの半導体の化学メーカーです。市場でのシェア率は、ローバルウエハーズに次ぐ4位、約13%になっています。

シルトロニックは、エピタキシャルウエハーを強みとしており、韓国や欧米にも販売範囲を広くもち、売上高につなげています。

尚、シルトロニックはGlobal Wafers(グローバルウエハーズ、環球晶円)による2020年に買収計画の話がありましたが、現在買収計画は事実上不成立という結果になっています。

SKシルトロン(韓国)


SKシルトロンは、石油精製業や通信事業を軸とする韓国の財閥である、SKグループのグループ会社です。SKグループは、石油精製業のSKイノベーションや通信業のSKテレコムなど、様々なグループ会社を持つ韓国大手の財閥です。

市場でのシェア率は、シルトロニックに次ぐ5位、約12%になっています。2019年からシェア率を伸ばして、4位のシルトロニックに近づきました。

シリコンウエハー市場の今後の動向の見通し

シリコンウエハーのデメリットとしては、特徴でもある「薄さ」によって非常に繊細な作りになっており、衝撃に弱いという事が挙げられます。

しかしIoT化、デジタル化という言葉もよく耳にする現在において、半導体のニーズに伴い、その基盤であるシリコンウエハーのニーズも急速に高まっています。

上記からも、今後もシリコンウエハーの需要は下がることはなく、伸び続ける事業であると予測されます。今後は、耐久性に特化した強いシリコンウエハーやより高性能なシリコンウエハーといった、今よりももっと強化したシリコンウエハーが出てくることが期待されます。

まとめ


シリコンウエハーは、上記の製品に使用されている半導体の基板材料として、私たちの生活と深く関わりのある材料であることがわかりました。さらにシリコンウエハーの市場シェアの約半数を日本が占めているため、日本とも、私たちの生活とも深く関わりのある材料です。

半導体不足とも言われている程需要が高まっている半導体の基となるシリコンウエハー、今後の売り上げの動向に目が離せません。

この記事はさんが執筆しました

シリコンウエハーのシェアは?概要や今後の動向、日本企業と...