企業の最終的な方針は社長など企業のトップが決めます。
しかし企業規模が大きいと社長が多くの方針を最初から最後まで決めるのは非常に困難です。
その負担を減らすために、多くの企業には経営企画という仕事が存在します。
この記事では、経営企画初心者ではなく、ある程度経験を積んだ経営企画担当者に向けて、経営企画の役割や問題点、改善方法やおすすめの本を紹介します。
会社の根幹を支える経営企画には以下の業務があります。一つずつ確認していきましょう。
経営管理とは会社が掲げた売上目標や予算に対して計画を立て、計画を達成するためにこれまでの活動を評価し、各部署との調整や改善を行うことを指します。
経営企画の仕事は、会社の経営について理解しているだけでは足りず、以下の能力が求められます。
自分自身の業務のみではなく、会社全体を見渡して業務を遂行しなければなりません。そのため、マネジメント能力等も必須になってきます。
各事業の戦略を立て、必要に応じて新規事業の計画を行うことも経営企画担当者の業務です。
その他に以下の業務も遂行することが求められます。
また、企業によっては、自社の株主に投資をお願いしたり、株主総会を運営することも経営企画の仕事になる場合があります。
経営企画の業務を自分自身の思うように遂行できていても、目標達成までの道のりが長いため、達成できるかわからないと、悩んで行き詰っている経営企画担当者は多くいます。
経営企画で抱えがちな問題点は以下の3つです。
経営状況の把握
課題の共有、解決策の決定
戦略、事業方針の決定
一つずつ解説していきます。
問題点の1例として挙げられるのは、現在の経営状況を十分に把握せずに方針を決定している場合です。まずは過去の様々な数値と現在の数値を比べた上で、状況を判断しましょう。また、数値の背景となっている部分(数値が示す意味)も調べた上で、経営状況を把握することも大切です。
課題を共有し解決策を決定するのも経営企画の業務です。基本的に業務内容に関する指示はトップダウンで降りてきます。経営企画では他部署との調整も必要になってくるため、トップダウンの指示内容が他部署へ明確に伝わらず指示が共有されていなければ計画が上手くいくはずもありません。
まずは課題や指示内容を他部署へ明確に伝え、課題解決や目標達成のための案を双方で考えることが必要です。最終的に解決策をお互いに納得できる形で調整できれば、円滑な業務遂行が可能になります。すなわち、課題が共有されていないため具体的指示がわからないということがなくなります。
経営企画では、社長に近い立場で業務を行うことがあり、方針を決めることも業務の一つです。
現在の状況を把握し、最終的な目標を考えなければなりません。しかし、それだけでは経営企画として機能しているとはいえません。
最終的な目標達成のために、競合他社の調査や業界の動向、成果を出すための過程など中期での目標を設定し、達成していくことが必要です。中期的目標の設定を怠れば各事業部がバラバラの方向を向いてしまい、最終的に大きな目標を達成することが困難になります。
最後に経営企画担当者に以下のおすすめの本7選を紹介します。
経営企画の業務と密接に関係している本から、直接的な関係はないが気付きやヒントを与えてくれる本まで、いろいろな本があります。ぜひあなたの悩みに沿った本を見つけましょう。
この本では最初に複数の3択クイズが出題されています。そしてこの3択クイズの正解率がランダムで答えた時よりも正解率が低くなったという結果について指摘したうえで、物事を知らないのではなく、偏った考え方で考えたり誤解をしていたりすると説明されています。
偏った見方の原因である分断本能やネガティブ本能など、多くの人間の本能が列挙されています。それを取り除き現在の状況を正しく見るためにどのような方法を選択すれば良いかが紹介されているので非常におすすめです。
経営企画で行き詰っている方の中には、経営企画とはこういうものであるという思い込みがある可能性が考えられます。その思い込みを取り除いて目標を達成したいと考えている方は読んでみてはいかがでしょうか。
変化が激しい世の中、変化が激しい事業の環境の中で勝ち抜いていくために必要なことが紹介されています。最終的な目標を達成するうえで必要な中期的な経営計画や、不確実性の時代の中で必要な力などについても解説されているため非常に魅力的な本です。
経営企画としてのキャリアを積むと、経営企画とはこういうものであると思い込む経営企画担当者は存在します。固定観念では戦えないということが説明され、また、経営企画で行き詰っている方のために実践例も紹介されているため、悩んでいる方はぜひ一度読んでください。
現場で利用できる交渉学に関して記載されている本です。交渉学の基礎だけでなく、以下のような場面での交渉に関しても説明されています。
小手先だけのノウハウ本の欠点を埋める交渉学の本です。企画、共有までの業務は十分にこなせているものの最終的な方針決定ができない原因は、交渉力が足りないことである可能性があります。何か交渉するさいの一つのツールとして扱ってみましょう。
多くの会社では表面的なデータしか活用されていません。業績を上げるためにデータを見る目を養う必要があり、「データが示す過去の事実を把握し、そこから正しい仮説を導き出す」ことが必要であると、この本では説明されています。
この本では以下の4つのデータの見方を解説しています。
業績アップをするためには現状を把握することが必要不可欠です。そして現状を把握するにはデータを分析することが求められます。業績アップができなくて困っている方はぜひチェックしてみてください。
現在コロナ禍であり、さらに人口減少により、新しい市場を開拓し利益を上げるのが難しくなっています。この本では新しいライフスタイルに対して適した具体例が紹介されています。そのため、新しい市場を創造するためのヒントを得ることが可能です。
今までやってきた方法と異なる方法が紹介されているかもしれない本です。現在行っている方法で行き詰っている方は読んでみると参考になるかもしれません。
事業戦略の立案から各戦術への落とし込みまでのプロセスを描いた本です。
戦略立案を以下の4つのステップに分解しています。
1. 現状分析
2. 戦略オプション策定
3. オプション評価・絞込み
4. 計画・アクションへの落とし込み
経営者、事業部長などのエグゼクティブはもちろん、経営企画や新規事業企画を担当する方も一度は読んでおきたい書籍です。
初版は95年とやや古い書籍ですが、内容は今でも色あせていない普遍的なものが多く、これからも十分活用できる内容です。
以下の5つのポイントの切り口で解説されています。
戦略の定義
分析のためのフレームワーク
PMS(Product Market Strategy)の策定プロセス
マーケティング戦略
それらを支える機能別戦略(技術、生産、販売など)
Amazonのレビューでは、経営企画担当者に読んでもらいたいという声が続出しています。
マッキンゼーやベインアンドカンパニーなどの外資系経営コンサルティング会社に勤務したキャリアを持つ後(うしろ)氏が記した、トップをサポートする経営参謀が戦略を立案する方法を解説した書籍です。
後氏が本書で提唱する5つの戦略策定ステップは以下のとおりです。
課題分野の特定(イシューツリーの作成)
現状分析(事実に基づいた分析、4Cの観点など)
現状の診断(PPMやPMSなど)
解決策の検討(戦略自由度、選択肢のリストアップ、評価軸の設定)
実行プログラム(ロードマップの策定、実行体制)
「軍事モデルと経営モデルの違いを考える」「自社の戦略の理解・確認の仕方」「解決策の検討方法」「課題の把握の仕方」「リーダーシップの型を考える」など、具体事例を豊富に盛り込み、図表で視覚的にもわかりやすいように解説しているので、理解しやすい工夫が盛り込まれています。
経営企画の役割と問題点と改善方法・おすすめの本を紹介しました。経営企画の担当者は、人や事業などを管理し問題点を改善し業績を上げることが求められます。おすすめの本も紹介しているので経営企画を担当している中で行き詰った際は、ぜひ読んでみると良いでしょう。