CAEとは?CAE解析のメリットをご紹介

ものづくりにはさまざまな技術検討が行われます。その過程には設計・開発があり製品が完成する前に性能を評価しなければなりません。ものづくりではよく知られているシステムとして、CAD/CAM/CAEがあります。本記事ではCAEについて解説していきます。

CAEとは?

CAE(Computer Aided Engineering)の略で製品の設計・開発工程で性能上に問題がないかコンピュータ上でシミュレーションします。設計段階では問題が頻繁に発生します。具体的には、荷重・振動といった強度の問題や熱による材料の影響などが挙げられます。このような技術的な問題を設計・開発の段階からコンピュータ上でシミュレーションを行うことで、製品開発に大きく貢献できる解析ツールです。

CAE解析の主な種類

CAE解析にはさまざまな種類があり、現在では10種類以上あるといわれています。

ここでは10種類以上ある中から、代表的な解析の種類や特徴について解説します。

構造解析

構造物に力や荷重が加わった際に、構造物がどのように変形して、どの部分に応力が集中し壊れるかを実物を製作する前段階で定量的に検討します。

有限要素法(FEM:Finite Element Method)という手法を用いて、プラント機器・架構・配管などの設計、長期間使用されている機械の健全性評価、故障や損傷が生じた時の原因解明などに使用されます。

熱伝導解析

熱伝導解析は物体の温度、熱の移動現象を解析します。

条件には熱量、初期温度、機械物性(熱伝導率、比熱、比重)などがあり数値解析を行うことで温度分布を数値化します。適用される分野は材料分析やプラスチックなどの射出成形に用いられます。

流体解析

機械工学には、4力学と呼ばれてる分野があります。

  • 機械力学
  • 熱力学
  • 材料力学
  • 流体力学

その中で、流体力学を応用した流体解析はさまざまな産業に活用されています。

例えば、わたしたちの暮らしに欠かせない水道やガスなどの流体輸送、火力発電や水力発電といった流体エネルギーの変換も流体力学によって解析されています。

電磁解析

電磁場解析では低周波領域を対象としています。算出できる項目は以下の通りです。

  • 電界・磁界の可視化
  • 電流の分布、電磁力
  • トルク力の計算、回路系パラーメータ(静電容量・インダクタンス)

その他にも絶縁破壊、表皮効果、渦電流といったトラブルにも対応できます。

CAE解析のメリット

CAE解析は機械設計にかかるコストやプロセスの効率化できるメリットがあります。

加えて高い精度のシミュレーションも可能です。CAE解析にはどのようなメリットがあるのでしょうか。それでは、メリットについて解説します。

製造に関わるコスト削減やプロセス短縮の期待ができる

CAE解析は開発や設計段階で、製品の性能を事前に評価することができます。そのため、試作品や実験回数を大幅に削減することが可能です。

テストピースなど開発にかかる材料費を削減することも期待できます。もしCAE解析を十分に行わなかった場合、製品が完成した後に性能上の問題が発生します。その場合、設計の見直しや原因解明に膨大な時間を使いロスにつながります。
しかし、CAE解析を十分に行うことで上述したロスを防ぎプロセスの短縮を図ることが可能です。

高精度な分析・解析が行える

コンピューターのスペックやハードウェアの解析技術の進歩により、CAEでさまざまな条件でシミュレーションができるようになりました。

従来ではコンピューターが処理できなかった大規模で複雑な解析も近年ではできるようになっています。CAEで十分に解析やシミュレーションを行い、試作品で最終確認を行うというプロセスが確立されています。

再現困難な条件でシミュレーションができる

CAE解析では、実験を行うことが難しい特殊な環境下の解析も容易となりました。

例えば、数千度の熱を加えた場合や無重力空間の再現のなど三次元の解析ツールを使用することで行えます。今後は次世代の研究や開発に使用されるといわれています。

CAE解析のデメリット

CAE解析にはさまざまなメリットがありますが、残念ながら課題もあります。では、どのようなデメリットが挙げられるのでしょう。

解析にはエンジニアが必要

CAE解析を行なっても、解析結果に基づいた技術検討をしなければなりません。そのためには、さまざまな専門的知識が高いレベルで求められます。具体的には以下の3つ知識が求められます。

  • 工学に関連する知識
  • 有限要素法の知識
  • 解析ソフトを使用するための知識

このような知識や技術を持ったエンジニアは残念ながら少ないです。さらにこれらを習得するにはかなりの時間がかかります。

ライセンス費用が掛かる

CAEソフトにはライセンス費用が発生します。どのような用途、規模または目的で使用するかにもよりますが、10万円〜300万円はイニシャルコストとしてかかると考慮しておきましょう。
また、ソフトを安定的に動かすためにはコンピュータもある程度のスペック必要です。

さらに、データや解析結果の情報漏洩はコンプライアンスにも関わるためセキュリティーソフトも必須となります。

解析結果の妥当性確認が必要

CAE解析の技術進歩により、あらゆるシミュレーションが可能となりました。

とはいっても、コンピュータ上のシュミレーション結果となるため100%解析通りとはなりません。残念ながら、完全にCAEに頼ることはできないです。実験を行なって明確になる課題もあることから、試作品の実験データと解析データの妥当性があるか確認は必要になります。

CAE解析の導入事例

CAEはどのような企業に導入されているか理解しておくことで、イメージがしやすくなります。ここでは、身近なものとして自動車メーカに焦点をあて事例をご紹介します。

本田技研工業株式会社

本田技研工業株式会社では自動車事故による人間の体へのダメージをCAE分析を行いました。

種別は構造、荷重最適化、傷害値、強度です。実事故の解析結果から、死亡事故や重傷事故のパターンをデータ化し原因解明に貢献しています。CEA解析によって原因解明されたデータに基づいて歩行者保護を目的としたボティーの形状やデザインを開発しました。

トヨタ自動車

トヨタ自動車では、2002年のF1参戦以前からレースエンジンの開発にCAE解析が用いられていました。

しかし当時は、ハードウェア性能が低くCAE解析が開発スケジュールにマッチすることができない状況でした。そのため、解析者も実験に立ち会い物理現象を観察し、設計や実験担当者との綿密な打ち合わせを行いました。その結果、解析精度向上を継続的に実現ができました。CAE解析やシミュレーションは、車両性能やコンポーネント性能を高めるために欠かせない技術です。現在では設計プロセスに完全に組み込まれています。

三菱自動車工業株式会社

三菱自動車工業株式会社では、国産車の課題でもある中周波数帯域の騒音改善に流体解析を用いられました。これまで自動車の空力騒音に関する数値解析の多くはアミラー周辺で行われています。そのため、発生のメカニズムや車室内の伝達メカニズムはおおむね解明されています。

しかし空力騒音に関するの国産車の課題は、中周波数帯域であると報告されています。三菱自動車は床下空力騒音や伝達メカニズムを解明するためCEA解析(流体・振動・音響)を行いました。その結果、床下空力騒音の低減策として、エンジンアンダーカバーを装着することで騒音を約2db低減できるという結果を得ました。

CAE解析の将来性

昨今、製造のデジタル化が活発になりCAE解析の材料となるデータが増え質も向上しつつあります。なぜならIoTやAIによるデータ収集、データの最適化がされているためです。さらに高度なシミュレーションが可能になり、適用される分野も拡大しています。今後は5G・IoT・AIといった先端技術との融合でCAE解析のテクノロジーは発展していくと予想されています。

まとめ

本記事では、CAE解析の概要、メリット•デメリットなど解析しました。CAE解析はものづくりには欠かせないツールです。さらに最先端のテクノロジーによって需要が高いといえます。CAE解析の導入を検討してみてはいかがでしょう。

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