業務を効率化するためには、業務の脱属人化が求められます。教育にかかる時間的なコスト削減のため、まずあげられるのが業務手順などをまとめたマニュアルの作成です。
しかし実際に業務手順マニュアルをどのように作成すれば良いのか悩まれている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、業務標準化のためにマニュアルを作成するメリットやコツ、具体的な手順について解説します。
業務標準化とは、手順が異なる業務を整理し、組織として最適な手順を定めて徹底させることを指します。
つまり、社内の誰でも同じ業務を一定のスピード・成果で対応できるようにすることとも言えます。
業務標準化によって業務が最適化されていないと、業務の効率が落ちてしまいます。例えば、電話営業を実施する際、顧客との接し方やセールスの方法、アポイント獲得の仕方など、教育が行き渡っていない場合は従業員によって結果に大きくばらつきが出てしまうでしょう。そのため、「Aさんはテレアポの獲得件数が多く、Bさんは常にテレアポの獲得件数が少ない」などの状況が発生してしまいます。
一人の社員が成果を出すことに問題はありませんが、会社全体の視点から見ると、同じ業務に対して従業員ごとに成果の良し悪しが大幅に異なってしまう結果になります。
このようなケースで役立つのがマニュアルです。以下からは具体的にマニュアル作成を行うことで享受できるメリットについて解説します。
業務効率を向上させる業務標準化では、マニュアルを作成して管理する方法が効果的です。
業務の手順・方法をマニュアルとして残すことで、新入社員や中途採用などの従業員でも、業務の流れが定着しやすくなります。対応したことのない業務であっても、マニュアルを見ることで、何が正解なのかを把握できるため、一定のクオリティが保たれたまま業務が進められます。
また、マニュアルに従わずに従業員が個人判断で業務を進めるリスクが削減できます。
マニュアルには業務の詳細が記載されているため、教育する側は最初から最後までつきっきりで説明する必要がなくなります。つまり教育にかかる時間的コストの削減が可能になり、全体の業務効率が向上します。
業務の属人化を防ぐことができるのもマニュアルを作成するメリットの1つ。
業務の属人化とは、特定の従業員しか対応できない業務が存在することを指します。例えば、一人の従業員のみが特定の企業と連絡を取り合っていて、他の社員はその企業の連絡先・担当者名を知らない、などの状態です。
このような場合、特定の企業をいつも担当している従業員は効率的に業務を進められますが、万が一その従業員が休暇・退職した場合、他の従業員でリカバリーできなくなるケースが発生します。社内で情報共有ができていないことから、最悪の場合、顧客との関係が築きにくくなってしまう恐れがあるでしょう。
マニュアルを作成・共有することにより、業務の属人化を無くし、どの従業員でもすぐに対応できる環境を構築できるのです。
マニュアル作成のコツを掴むことで、効果的な業務標準化が可能です。続いては、マニュアルを作成するためのコツを3つ解説します。
業務標準化のためにマニュアルを作成する際は、あらかじめターゲットを設定しておきましょう。新卒、転職、社内など、マニュアルを手にする人間によって、盛り込むべき内容なども変わってきます。
また起きうるトラブルなどが想定しやすくなることに加え、マニュアルを読んだ従業員が仕事の全体像を把握しやすくなり、次の行動を起こしやすくなります。
マニュアルを手に取るのは、これから着手する業務が初めての人がほとんど。部署によってはフローが分かりにくかったりする場合もあります。
そのため、マニュアル作成時は見出しやタイトルを設定して、読み手がスムーズに内容を把握できるようにしましょう。
見出しやタイトルに加え、目次などを記載しておくと、マニュアルを手に取った担当者が業務の振り返りがしやすくなります。
見出しやタイトルを確認すれば、おおまかな記載内容は理解できますが、複雑な内容であればあるほど、理解に時間がかかります。また部署や担当によっては専門用語が行き交う場合も想定されます。
業務の内容が定着しやすくなるように、マニュアルにはテキストだけではなく、図やイラストを用いて分かりやすくしておくこともポイントです。
例えば、過去10年間の売上データを紹介する場合、一つ一つ数字を列挙するのではなく、グラフや表でまとめます。視覚的にも伝わりやすくなり、スムーズに内容を把握できます。
文字以外の図や表を積極的に活用して、誰が見ても理解できるようにマニュアルを作成しましょう。
マニュアルを作成するメリットやコツは把握できたでしょうか。それでは実際に以下の手順をもとに、マニュアルを作成しましょう。
上述した通り、マニュアルを作成する際は「誰に・何を伝えたいか」という目的を設定した上で、関連する情報を収集することから始めましょう。
これらの情報やデータはマニュアル作成の基礎となるため、長年在籍している社員〜まだ入社して日の浅い社員など、様々な現場の声を聞いておく必要があります。
必要な情報を集めた後は、業務フローを整理します。従来の業務フローを客観的に確認し、「どこが非効率的なのか」および「属人化が発生しているのか」を把握します。
いきなりマニュアルを作成し始めると、伝えたいことがぶれる可能性が高くなります。
そこで、課題や目的、業務フローの整理が完了した後は、マニュアルの目次・構成案を練り、大枠を作成します。
タイトルや見出し・目次から作成を始めて、中身を詳しく解説していけば、わかりやすいマニュアルを作成できるようになります。
全体的な構成を作った後は、実際にマニュアルを作成していきます。
見出しや目次に沿って中身を解説し、複雑な部分の解説では表や図・イラストを活用しましょう。
作成が完了した後は、実際にチームで共有して運用を始めます。なおマニュアルは定期的にアップデートが必要です。
実際にマニュアルに沿って運用を開始し、再現性の低い部分や誤った情報は適宜修正するようにします。
このようにアップデートを行なっていくことで、より現場に最適化されたマニュアルが完成します。
本記事では、業務標準化のためにマニュアルを作成するメリットやコツ、具体的な手順について解説しました。
マニュアルを作成することで、業務の属人化を防ぎ、業務効率の向上が見込めます。
またマニュアルを作成しておけば、未経験の従業員でも業務内容を把握しやすくなります。業務標準化のため、これを機会にマニュアルの作成にチャレンジしてはいかがでしょうか。
なお、マニュアル作成ツールなどについては以下の記事をご覧ください。