日々工場内では、コスト削減を行うために様々な工夫が行われています。本記事では、より効率的かつ効果的にコスト削減を行うポイントについてご紹介します。
コスト削減を行う際、目につくコストから手当たり次第に削減する方法はオススメできません。
効率的に、そして大きくコスト削減が行えるよう、計画的なコスト削減が大切です。以下では工場におけるコスト削減のポイント・手順を紹介します。
最初に着手すべきことは、現在発生しているコストの洗い出しです。工場内におけるコストを全て洗い出していきます。
洗い出しの際に留意すべきポイントは、そのコストは固定費なのか、変動費なのかを、ある程度特定することです。その工場が何を取り扱っているかによって変わってきますが、大まかに固定費と変動費を分けると以下のようになります。
毎月決まった金額がコストとなって出ていくのか、変動するコストなのかは重要なポイントです。特に変動費については今後の生産計画とも照らし合わせながらコストカットの計画を立てていく必要があります。
工場において、コストを洗い出す上で「お金、時間、人、どこが無駄なのか、どこが原因なのか」に焦点を当てる必要があります。ここで参考にしたいのはトヨタ生産方式の「7つのムダ」です。
これらの7つのポイントを踏まえてチェックを行うことで、コストだけでなく、何に時間がかかっているのかなども整理できるようになります。
結果的に在庫だけでなく、人件費削減のヒントにもなりえます。
現状のコストを把握できたら、売り上げや利益率などを踏まえ、どれくらいコスト削減ができるのかの目標数値を設定します。
このように数値化することによって、毎月のコストの状況なども把握しやすくなり、結果的に計画的なコスト削減が行えるようになります。
全体のコストの把握、そして目標設定が完了したら、コスト削減ができそうな箇所を1つ1つ見つけて改善していきます。
この際に重要なのは、無理なコスト削減をしないこと、無理にコスト削減を強いることは避けましょう。コスト削減の結果、労働環境が悪化することで、従業員が離職してしまう可能性も出てきます。社員や現場の声にしっかりと声を傾けた上で改善策を講じましょう。
それでは実際に以下では具体的な工場におけるコストカットアイディアについて紹介します。
固定費は少しの工夫で毎月のコストを削減可能な費用のため、目を向けるべきポイントと言えます。
以下では電気代や通信費、水道代のコストカットアイディアを紹介します。
光熱費の中でも、電気代は削減しやすいコストです。電気の配備を見直して間引きする、空調や熱源機の冷水出口などの設定や温度を見直すだけでも電気代は削減できるでしょう。どこに電気が使われているのかを把握するためにも、上記のコストを洗い出す際に、トイレやエレベーターなど、電気が使用されている細かい部分までチェックしておくことが重要です。
また設備を新調することで、長期的なコストカットに繋がります。蛍光灯からLED電球に変える、節電システムを導入し、使用時のみ通電して照明を使うような設定にするなどの対策を講じることで、人手を介さずに無駄なコストを削減できます。
上記の電気代に関連して、コスト削減を機会に、通信費の見直しも行うと良いでしょう。ネット回線をあまり使用していない場合など、上手く使いこなせていないかもしれません。
会社用携帯やパソコンなど含め、現在では各社から様々な料金プランが用意されています。通信プランの根本的な見直しや、ネットワーク環境の整備によって、コスト削減につなげることが可能になります。自社の工場にあった、相応しいプラン内容を見つけていきましょう。
工場によっては毎月の水道代が重荷になっている場合もあるでしょう。従業員に節水をお願いすることはもちろん、システムや認定制度を利用することで大幅なコストカットを狙えます。
例えば、自家水道システムの導入が挙げられます。地下水などをもとにして飲料水や用水を作り出せる装置を設置することで、水道代を節約できるため、大幅なコスト削減に繋がるでしょう。
また、工業用水の余剰分をろ過システムを使用して再利用することで、水道代を節約する方法もあります。この場合、工場によっては年間の水道代を10~30%カットできる場合もあります。
下水道料金は下水道に排出された汚水の量を、水道メーターを元に算出されています。ここではボイラーで蒸発した分や散水した分など、消失した分も金額の中に含まれていることになります。しかし下水道料金を減額する特例措置「下水道使用量減免認定」を受ければ、消失した分も踏まえた上で下水道料金が算出され、コストカットへと繋がります。ただし「下水道使用量減免認定」は自治体によって条件などが異なります。しっかりと調査をした上で申し込みをしましょう。
上述したような費用や工数をかけられない場合、節水弁を取り付けることも効果的です。現在利用している水道蛇口部分に節水用の弁を付けることで、一度に利用する水量を減らすことが可能です。
DX化の推進は、現在、コスト削減のために非常に有効な方法です。
DX化の推進によって、人件費や社員の勤務時間を削減することに繋がります。社員として従業員を雇っていれば、人件費は毎月必ず発生します。また、限られた人材しかいない場合、残業代も増加しますよね。
しかし、DX化を推進し、様々なソフトウェアやシステムを導入することで、在庫管理や監視業務、会計など、これまで人手がかかっていた業務が大幅に削減されます。したがって、残業を減らすことにつながり、人件費を抑えることが可能になります。
確かに、専用ソフトやシステムを導入することになるため、初期投資が必要になります。しかし求人広告・人件費などのバランスを考慮すると、結果として初期費用が大きな費用負担にならないこともあります。自社に合ったシステムを適切に選び、相見積もりを取った上で、一度コストバランスを試算することをオススメします。
DX化を進め、商品管理システムなどを導入することによって、これまで紙や人の経験・カンに頼っていた商品・製造管理がよりスムーズに進みます。
上述した7つのムダのうち、在庫のムダや作りすぎのムダ、不良品・手直しのムダが一気に改善され、結果的に変動費などを効率よくコストカットすることが可能になります。
工場における費用には様々な費用がかかります。その分、なかなかコスト削減を行うことが難しいかもしれません。
しかし、コスト削減は経営や利益率にも大きく関わってくるため、会社全体のチャンスでもあります。まず手軽にできる方法から始め、DX化などを推進して設備投資をして大きく前進していくと良いでしょう。