「自社の利益を上げるためにコスト削減に取り組みたいが、何から始めていいのかわからない」そんな悩みをお持ちではありませんか?
コスト削減は企業の利益を上げる有効な手段ですが、間違ったやり方をしてしまうと、社員を不安にさせたり、膨大な費用を無駄にしてしまったりと思わぬ不利益につながりかねません。
本記事ではコスト削減の基本を解説し、その中でも業務の中で発生する業務コストに着目して具体的な削減方法を解説します。
コスト削減を行う際には、成果の見込める適切な方法で取り組む必要があります。そのため、コストに対する理解やコスト削減の基本を知っておくことが重要です。ここでは、コストとは何か、そしてコスト削減の基本的な流れを解説します。
コストとは企業活動を行う上で発生する経費です。製品やサービスを生産するために必要な費用だけでなく、人件費や水道・光熱費などもコストに含まれます。コストは企業の利益に大きく影響します。企業の利益は売上から経費を差し引いて算出するため、コストを削減すればその分企業の利益につながります。
また、成果を予想しづらい売上と比較して、利益へとつながる見込みが立てやすいのもコスト削減の優れた点といえるでしょう。
コスト削減を始めるにあたって最初に行うべきは、現状を把握することです。
マニュアル、数字、グラフなどを使って、業務内容や各種費用などを「見える化」します。これにより、今まで曖昧だった業務フローやブラックボックス化していた経費が明確にわかるようになります。
改善すべき問題点を確実に特定するためにも、まずは現状の把握から始めましょう。
現状を把握したら、次に改善すべき問題点を特定しましょう。そして、特定した問題の中から、優先して改善すべき問題点を厳選します。
全ての問題点を改善しようとすると膨大な手間と時間を要してしまいます。実現可能な範囲で最も成果の見込める問題点を優先してピックアップしましょう。この時、見える化したデータや現場の声を参考にすることも大切です。というのも、コスト削減には社員の理解と協力が必要不可欠だからです。
経営陣だけで決定するのではなく、現場の声も聞いて改善すべき点を判断することも大切です。
改善すべき問題点が判明したら、次に問題の解決方法を検討して改善計画と目標を立てます。
この際、現場の社員の理解を得られる内容を設定します。無理のある計画を策定してしまうと、その設定によって変化した労働環境によって社員のモチベーションが低下したり、商品の品質が低下したりするかもしれません。その結果、売上減少につながりかねません。
また実際に改善を開始した後、定期的にその成果を検証することも大切です。検証結果を参照して、必要があればさらなる改善策を検討し続けることが重要なのです。
企業活動では様々なコストが発生します。今回は代表的なコスト「採用コスト」「育成コスト」「業務コスト」の3つを紹介し、そのうちの一つである業務コストを深掘りして解説します。
採用コストとは、企業が人材を採用する際に必要となる費用です。採用コストはさらに内部コストと外部コストに分けられます。
採用コストを抑えるには、採用人数の見直しや採用フローの変更などが有効です。
また、採用コストは、採用した社員が定着し、成果を上げて初めて企業の利益へと組み込まれます。よって、採用した社員が離職してしまうのは避けたいところです。採用活動における事前説明を丁寧に行うことで、入社後に社員が感じるギャップを最小限に留め、社員が離職しないような環境づくりも大切です。
育成コストとは、企業が人材を育成する際にかかる費用です。人材があってこそ企業の組織が成り立つため、育成コストは企業の体制を左右する重要なコストといえるでしょう。
育成コストを削減する際には教育方法の見直しが有効です。eラーニングの導入を検討するなど、効率的な教育体制を整備することがコストの削減のための有効な手段といえるでしょう。ただし、コスト削減を重視しすぎるあまり教育体制の悪化を招いてしまう状況は避けるようにしましょう。
育成した人材が離職した場合に大きな損失となってしまう点にも採用コストと同様に注意が必要です。
業務コストとは、企業活動における業務に必要な費用全般を指します。代表的なものとしてオフィスコスト、エネルギーコスト、オペレーションコストが挙げられます
ここからは先述したコストの中から企業及び社員に与える影響の大きい業務コストに焦点をあて、業務コスト削減に有効な業務改善の具体例をいくつか紹介します。
いずれの具体例でも、先述したコスト改善の基本的な流れに従って、現状把握→問題点の特定→問題点の改善という順序で行っていきます。
現在の業務の内容を洗い出し、必要のない業務がないかチェックします。残業をはじめとした不要な労働時間を削減することで、人件費の削減や社員のモチベーションの向上につながります。
また、業務内容を洗い出したときの内容を明確にして、流れをマニュアル化しておくことも大切です。業務をわかりやすくまとめておくことで、新入社員が仕事に取り組みやすくなります。
IT技術を利用した業務改善も有効な手段です。例えば、単純作業をIT技術で自動化して必要な人員を削減する方法、社内のデータ管理をクラウド化してペーパーレス化につなげる方法などが考えられます。ただし、IT技術を利用して改善を検討する場合、ポイントを見定めて適切なツールを導入することが重要になります。
ITツールを導入するために膨大な費用や時間が必要となる事例が少なくないからです。IT技術によって業務内容を改善する際にはツールを慎重に選択しましょう。
テレワークを導入することも業務改善の一環といえます。社員一人一人への適切な労働環境の提供、交通費の削減、残業代の削減などのメリットが見込めます。
テレワークはその他、オフィスの賃料や光熱費の削減といったオフィスコストを削減できるという側面でも注目されています。
ただし、ITツール導入の際と同じく、テレワークを導入するための準備には多大な費用や時間が必要となります。自社の業務内容がテレワークに適しているのか、また、テレワークの導入でコスト削減の効果が期待できるのか、しっかり検討した上で決定しましょう。
本記事ではコスト削減の基本的な知識、その中でも特に業務コストの削減に着目して解説を行いました。
業務改善を進めるためには、社員の理解と協力が必要不可欠です。特に、人件費の削減などは社員に不安を与えることもあるため、業務改善の目的やメリットを全社的に共有することが重要です。
またコスト削減による最終的な目標は、企業の利益の向上です。その本来の目的を忘れてしまい、コスト削減の手段を使うことが目的とならないように注意が必要です。
これらの注意点も考慮しつつ、自社に適した業務コストの削減方法を検討していきましょう。