日々の業務をこなしていく中で、めんどうなビジネスプロセスを自動化したいと考えている方も多いでしょう。Windows10を搭載したパソコンを業務で使用している場合「Power Automate Desktop」を利用することで、ルーティン作業の自動化・効率化が可能です。
本記事では、Power Automate Desktop(以降本文のみPADと表記)の概要やPADによってできることを解説していきます。企業がPADを導入するメリットや注意点も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Power Automate Desktopは、Microsoftが提供しているWindows10専用のRPAツール・ソフトウェアです。
RPAとは「Robotic Process Automation」の略であり、日本語訳すると仮想知的労働者です。
キーボードとマウスからの入力で実施される作業を登録することによって、いままで人間が対応していた作業をPADが代わりに実行してくれるため、コードを書くことなく作業を自動化できます。
また、PADは無償版と3種類の有料版が提供されています。自社の状況に合わせてどちらかのプランを選択すると良いでしょう。
まず、PADの利用によって実現できることについて解説します。
PADによって400種類以上のアクションを自動化できるため、基本的にはデスクトップ上の手作業をほぼすべて自動化できます。
例えば、通知したメッセージを自動で表示する、指定したWEBサイトをcsvでダウンロードする、といった作業を設定できます。PADを使うために必要な操作は、自動化したいアクションの設定をフローに組み込むことだけです。
作業に必要なアクションを設定した後、ドラッグ&ドロップで自動化を実行できます。そのため、比較的シンプルな操作で設定できます。また、プログラミングを用いる設定によってアクションを追加することで、さらに細かい作業も設定できます。
PADでは、特定のアクションをトリガーに設定することで、単一作業だけではなく、業務フロー自体を自動化できます。例えば、特定のWEBサイトを表示させるというアクションをきっかけにして「csvファイルをダウンロードして、指定のファイルにデータを移動する」というフローも可能です。
これまで手作業で対応していた作業が自動化されるため、大幅に作業工数が削減されるのです。また、PADには、作成した作業フローが問題なく実行されているかを確認する機能が搭載されています。万が一エラーによって作業フローが中断した場合、画面に表示されているエラー内容をスクリーンショットしてくれます。
そのため、業務フローを効率化してくれるだけでなく、発生してしまった問題もスムーズに解決できるのです。
PADには、あらかじめアクションを作成して設定する方法、および、デスクトップレコーダーを活用してアクションを記録する方法があります。
後者の方法では、例えば、デスクトップレコーダーを起動させた後「指定のファイルを開き、特定のファイルからデータを移動させる」アクションを実行することで、操作をまるごと記録させることができます。
上記のような操作を記録したアクションを全て表示および編集できるため、1つ1つアクションを作成する必要がありません。
よって、アクションを自分で作成できない方でも、比較的簡単に操作を記録できます。
続いて、PADを導入することで得られる3つのメリットについて解説します。
基本的にPADは、Windows10ユーザーであれば無料で使えるソフトウェアです。多くのRPAツールは初期費用や月額費用が必要ですが、PADにはそれらのコストが必要ありません。
また、一部の機能は制限されていますが、細かい業務フローを設定しないのであれば、使える範囲の機能だけでも十分に利用できます。
そのため、コストをあまりかけずに、人為的なミスを減少させたり、業務効率を向上させることができるのです。
エクセルを使用して、毎日同じ日報や報告書を作成している企業は多いのではないでしょうか。しかし、エクセルのマクロ機能を使用しても、自動化できない作業フローはあります。
このようにMicrosoftに搭載されているマクロ機能では対応しきれない作業フローでもPADによって自動化できます。
エクセルを使用する上述したような作業フローは、PADの非アテンド型を利用することで自動化が可能です。例えば、指定したエクセルファイルを開くと、日報や報告書の作成を自動的に開始させることができるのです。
これまで面倒な作業フローに費やしていた時間を別の作業に回せるため、生産性の向上が期待できます。
何かしらのツールを導入する場合、コストや機能性を複数のツールと比較した上で導入を決定することになります。また導入するためには予算も必要になります。
一方、PADはWindows10ユーザーであれば、無料ですぐに導入できます。利用者の最低数も定められていません。従業員のだれか一人に試用してもらい、操作の簡便さを確認することも可能です。
以上のように、PADは周囲からの理解を得られやすいソフトウェアと言えるでしょう。
PADの導入にメリットだけがあるわけではありません。続いては、PADを導入する際の注意点を解説します。
Windows10ユーザーであっても、PADに搭載されている機能の全てを利用できるわけではありません。一部の機能に関しては、有償版ユーザーしか利用できないため注意しましょう。
例えば、設定しておいた時間でアクションが実行される「スケジュール実行機能」や「トリガー機能」は、有償版だけに限定された機能です。特殊な設定が必要なアクションなどは、無料版で利用できないケースが多いのです。また、Windows10のエディションによっても利用できる機能が異なるため、適合するエディションについても合わせて確認しておくことをおすすめします。
MAC OSやタブレットといったWindows10以外の環境では、PADを自動化できません。使用環境がWindows10以外であれば、PADの導入は困難です。
また、MicrosoftのOSを使用していても、Windows10以外のユーザーは、PADを導入しても上手く機能しないため注意が必要です。
PADを活用したいと考えている場合は、試験的にWindows10搭載のPCを用いて使用の可否をあらかじめ確認すると良いでしょう。
PADを導入して活用するためには、ある程度アルゴリズムについての知識や理解が必要です。アルゴリズムについての理解や知識がなければ、設定したフローが正しく実行されているのか確認できないからです。
また、同じアクションでも使用する環境によって、PADで発生するエラーが異なります。例えば、AさんのPCでは正しく実行されたアクションでも、CさんのPCでは上手く実行されないことがあります。
問題を改善するためには、発生したエラーの箇所を確認し、アクションを正しい定義へと修正する必要があります。そのため、PADを活用するためには、アルゴリズムについて最低限の知識や理解が求められます。
本記事では、PADの概要、PADでできること、導入するメリット、注意点を解説しました。PADは、手作業では面倒な日々のルーティンワークを自動化してくれます。また、Windows10ユーザーであればコストをかけることなく導入できます。
作業を自動化することで、人的なミスをなくして作業効率を高められます。さらに、業務を自動化した分、別の業務に時間を使えるため、全体的な生産性を向上できるのです。
メインの作業環境がWindows10である場合、PADを導入して、業務フローを自動化してみてはいかがでしょうか。