オペレーション戦略とは何か、事例を使って基礎から解説!【企業を支える屋台骨】

「ビジョンや戦略を適切に設定しているはずなのに自社の業績がどうにも振るわない。」こんな悩みをお持ちではありませんか?

そんな時には組織内のオペレーション、すなわち業務フローに問題があるのかもしれません。変化の激しい現代ビジネスにおいて、企業間の競争を勝ち残るためには組織構造を常に改善していくことが求められます。本記事では、オペレーション戦略を見直すメリットと、実際にオペレーション戦略によって成功を収めた企業の事例を紹介していきます。

オペレーション戦略とは何か


一言でオペレーション戦略といっても、具体的にイメージするのは困難です。以下の項目では「オペレーション」の意味の説明、そして次に基本的な事項を解説していきます。

「オペレーション」の意味

「オペレーション」は職業や業界によって様々な意味を持つ言葉ですが、「業務の管理、実行」を指しているという点で共通しています。

例えば、ビジネスの現場では人員調整やスケジュールの管理などをオペレーションと呼びます。一方、飲食の現場ではオーダーの手順や調理手順のことをオペレーションと呼びます。このように、オペレーションという用語の意味および内容は様々です。よって、大きな概念としてオペレーションをとらえることがオペレーションを理解するための近道です。

オペレーションは場合によって企業の「体」に例えられます。いくら頭で素晴らしい戦略やビジョンを考えても、それを実行できる「体」がなければ企業体制が成り立たないからです。良い商品を生み出しても、その商品を顧客に届けるまでのフローで問題が発生してしまったら台無しですよね。その対応に逐一リソースを割いてしまうと、企業の成長を阻害してしまう場合もあります。

このように、オペレーション戦略の見直しは企業の根幹の見直しであると言ってもよいでしょう。

オペレーション戦略を見直すメリット


オペレーション戦略を見直すことで、以下のようなメリットが見込めます。

業務の効率化

オペレーション戦略を見直すことで、無駄な業務の排除や業務の自動化が可能となるため、業務全体の効率化を図ることができます。

残業の常態化や業務フローの遅さといった問題の原因は、従業員の作業効率にあるのではなく、組織の業務オペレーションにある場合もあります。この問題を改善することで、従業員の労働環境の改善につながり、これまで無駄に消費していたマンパワーを確保することも可能になります。

オペレーションの改善を通して企業文化を形成できる

オペレーション戦略を改善し、効率化を実現することによって企業全体の効率が向上します。さらに業務を効率化させようというマインドが従業員個人にも生まれ、自分の業務だけでなく、社内の業務全体を改善しようというマインドも身に付きます。

後に成功事例で紹介する企業の中にも、業務改善の文化が根付いているがゆえに成功を収めている企業が多数あります。従業員が業務改善を実感することで従業員のマインドが変革し、さらに企業文化の改善につながることでしょう。

一度改善すれば持続的な利益が見込める

オペレーション戦略は、一度改善してしまえば持続的に利益を生み出します。

上述した通り、オペレーション戦略は余計なコストを削減することにもつながります。その結果、売り上げによって利益を追求するよりも、効率よく利益を生み出せる場合もるのです。このようにオペレーション戦略を見直して業務を効率化すれば、企業の生産性を底上げすることが可能になるのです。

DX時代に求められるオペレーション戦略

現代はDX(デジタルトランスフォーメーション)時代と言われ、デジタル技術による生活環境の変化、ビジネスにおいては体制の変革が迫られています。DX時代において求められるオペレーション戦略について見ていきましょう。

「2025年の崖」問題

「2025年の崖」とは、経済産業省が提唱している言葉です。

この言葉には、DXに対応できなかった企業がデジタル競争に敗れ、2025年以降その格差の拡大によって莫大な損失を被るという予想が含まれます。特に問題視されているのは、レガシーシステムと呼ばれる老朽化・ブラックボックス化したシステムが日本企業の多くに残っている点です。これらの古いシステムの保守・運用にマンパワーを使ってしまうがゆえに貴重なIT人材が浪費されている、という指摘があります。老朽化したシステムなどを見直すことで、DX時代におけるオペレーション戦略はガラリと変わる可能性は大いにあります。

オペレーションのみに注視するのではなく、オペレーションを行う上で障壁となっている問題などをシステムも含めて洗い出すことでより適切な戦略を立てられるようになるでしょう。

コロナ禍が与えた影響

新型コロナウイルスの流行によってワークスタイルは大きく変容し、リモートワークが当たり前の時代となりました。

この急激な環境の変化に対してオペレーション戦略やDX推進度といった企業の対応が試されたといえます。以前からDXを推進していた企業としていない企業では、コロナ禍への対応に大きな差が生まれました。今後、リモートワークがさらに普及するなかで、DXを推進した業務オペレーションは必須になってくるといえるでしょう。

 

上述した通り、DX時代にはITやデジタル技術を活用したオペレーション戦略が求められます。これらの技術を有効活用して業務を効率化できるか否かで企業の生産性は大きく変化し、企業価値も大きく変わってきます。以下からは実際にDXを活用したオペレーション戦略など、数々の企業のオペレーション戦略事例を見ていきましょう。

企業のオペレーション戦略事例

トヨタ


大手自動車メーカーであるトヨタは、「トヨタ生産方式」というオペレーション戦略で世界的に有名な企業です。「必要なものを、必要なときに必要な量だけ」を掲げるジャストインタイムという考え方は特に有名です。トヨタ生産方式の源流には、「手作業」を原点として改善を続け、徐々に作業を効率化し、最終的には人の手がいらなくなるレベルにまで改善するという文化や精神が流れています。

業務手順を改善していくことはもちろん、「TOYOTA WAY」と称されるモノづくりの精神、そして「徹底したムダの排除」「日々改善」というトヨタ生産方式のルーツである思想が全社的に共有されることで、組織全体で共有することを実現し、社員一人一人にその精神が根付いているのです。

今や全世界的に知られるトヨタ生産方式の根底にあるものは、企業の掲げる精神が組織全体に浸透する土台作りにあったのです。

マクドナルド


大手ハンバーガーチェーン・マクドナルドもオペレーション戦略で成功している企業の一つです。マクドナルドの強みは、企業文化を組織全体にいきわたらせるための教育体制です。アルバイトを大半とするクルー全員への教育は、簡単には実現できません。マクドナルドではクルーに教育を浸透させるために、多言語対応のタブレット型教材を開発し、常に変化を続ける最新のビジョンをクルーの間で共有させています。

また、教育機関「ハンバーガー大学」を設置するなど、徹底的に教育に力を入れて、いつでも変化できる企業文化をつくり上げています。マクドナルドでは、他飲食店が苦しんだコロナ禍において見事な対応を見せています。アプリを使ったオーダー、電子クーポンをはじめとして、需要が上がったドライブスルーをより便利に利用できるサービス「パーク&ゴー」など、デジタルを駆使し、迅速な対応を行いました。このように徹底した教育体制に加え、デジタル戦略も取り入れたことでコロナ禍を乗り切ることに成功しました。

大きな変化が求められる中で、的確な対応が実現できた理由は、いつでも変化を生み出せるようにオペレーション戦略を整備していたからといえるでしょう。

SGホールディングス


SGホールディングスは、東京証券取引所に上場している企業の中から選出される「DX銘柄2021」に選定されるほど、物流業界屈指のDX推進をしている企業です。

人員不足や従業員への負担の大きさが課題とされる物流業界のなかで、SGホールディングスはデジタルの力を利用した業務オペレーションの改善に努めています。

  • AIを活用し、手作業で行っていた配送伝票入力を自動化して業務を効率化
  • 顧客データを利用した配送ルートの最適化によって不在再配達を削減し、従業員、顧客共に状況を改善
  • デジタル技術を利用して協力会社間のネットワークを強化し、顧客の状況や要望に適したソリューションを提供できる環境作り

など、デジタル技術を活用し、オペレーション戦略を改善するだけでなく、業界の課題の改善にも挑戦し続けている企業といえるでしょう。

まとめ


本記事では、オペレーション戦略を見直すメリットと、実際にオペレーション戦略で成功している企業の事例を紹介しました。

オペレーション戦略は企業の屋台骨であり、全ての基礎でもあります。企業の事例でもご説明したとおり、オペレーション自体が企業の価値に直結することもあります。

「ビジョンや企業戦略はうまくいっているはずなのに、なぜか業績が上向かない…」そのような場合、基礎の基礎であるオペレーション戦略の見直しが、企業の成長を促すカギになるかもしれません。

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