ビジネスシーンで必須のフレームワークを解説!【おすすめ本の紹介も】

日々業務に向き合っていれば、課題が出てきたり壁にぶつかったりするもの。そんなときに「この問題の解決方法がわからない…」「課題に向き合っていてもなかなか思考がまとまらない…」なんて経験をしたことはありませんか?

このような問題に解決のヒントを与えてくれるのが、思考や分析の方法を構造化した「フレームワーク」です。

本記事では、フレームワークを利用するメリットと、数あるフレームワークのなかから特に有名なものを紹介していきます。

目次

フレームワークとは?


フレームワークとは、効率よく思考したりアイデアを出したりするための考え方の枠組みのこと。フレームワークは多くの種類があり、有効活用するには一つひとつの特徴を理解することが不可欠です。

ここではフレームワークを利用する際のメリットと注意点を紹介します。

フレームワークを利用するメリット

情報整理がしやすい

フレームワークを利用する最大のメリットは、情報整理がしやすいことです。
日々の業務で扱う情報量は膨大なため、整理するには大変な労力がかかります。

情報整理を行うことで問題解決のために必要な情報を抽出し、ヒントを探し出す助けにもなります。

思考時間が短縮される

フレームワークを使えば、決められた項目や枠組みの中で思考を行うことができます。
1から思考を始めるのと、すでに構造化された形式の中で思考を行うのでは、所要時間は大幅に変わってきます。

フレームワークを活用するときの注意点

万能のフレームワークはない

フレームワークは数多く存在しますが、全ての事象に適用できる万能のフレームワークというものは存在しません。各フレームワークのメリット・デメリットをしっかり把握し、目的に合ったフレームワークを活用しましょう。

繰り返し使って定着を図る

フレームワークは何度も使うことでその思考法が定着していきます。知ったからといってすぐに真価を発揮できるものではありません。
意識せずともフレームワークを使った思考ができるまで、繰り返し使って頭になじませましょう。

目的別フレームワークの紹介

アイデア・思考の整理

MECE|ロジカルシンキングの基礎

MECEはロジカルシンキングのフレームワークのなかで基礎的なものです。

MECE(ミーシー)とは、Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの頭文字をとったもので、簡単に訳すと「モレなく、ダブりなく」となります。

情報を洗い出したりまとめたりする際にMECEになっていないと、その後検討漏れや無駄な検討が発生してしまい、非効率です。

論理的思考に関するフレームワークを利用する際はMECEの思考も併用し、「モレなく、ダブりなく」を意識しましょう。

ロジックツリー|問題の原因を特定

ロジックツリーとは検討したい問題をより細かい要素に枝分かれさせていき、細部の問題を特定する手法です。問題の原因を深く追求したい際に有用なフレームワークといえるでしょう。

ロジックツリーではMECEを意識することが特に重要で、モレなく、ダブりなく、要素を分解していくことでより的確な原因の特定を可能にし、問題解決に近づきます。

ロジックツリーを有効活用するには、問題設定や要素の分解の仕方も重要です。
たとえば自社の労働環境を改善したいときに、「労働環境の改善」という抽象的なテーマからロジックツリーをスタートすると導き出される解決策も抽象的になりがちです。
「残業時間が増えてしまう原因」のような、より具体的なテーマを設定するようにしましょう。

マンダラート|具体的なアクションプランを考える

マンダラートは解決すべき課題を洗い出し、それに対する思考やアクションプランを詳細に考るための手法です。
メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が高校生の頃、夢を叶えるために実践していたことでも有名ですね。

3×3サイズのマンダラートを9つ用意して、中央のマンダラートの中心に課題を設定。周囲にはその課題に関する思考や行動を記入します。
さらに、そこで書き出した思考や行動を周囲に配置したマンダラートの中心に配置して、同様に思考や行動を記入していきます。

計81個と、大量の解決法をひねりださなければならず、自然と課題に対し深く思考することになります。その結果、具体性のある解決策を見つけ出せるのが魅力です。

マトリックス図|情報をわかりやすく可視化して情報整理

マトリックス図は図を用いて情報を可視化し、整理するためのフレームワークです。

頭の中にある考えや文章で書いてある情報は、網羅的に見ることができません。マトリックス図を使えば、情報一つひとつに対する評価や特徴も合わせて、視覚的にわかりやすくまとめることができます。

たとえば最もポピュラーなL型マトリックス図(下図参照)を使う場合、企画中のプロジェクトを横軸に配置して、縦軸に「コスト」「見込み利益」「再現性」といった要素を配置すれば、各プロジェクトの特徴を一目で理解できる形でまとめることができます。

5W1H|過不足なく情報を伝える

5W1Hとは、人に過不足なく情報を伝えるためのフレームワークです。

「Who(だれが)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の頭文字を現した言葉で、この5W1Hにあてはめて情報をまとめていけば、過不足なくわかりやすい情報を提供できます。

マーケティング戦略

3C分析|自社の事業戦略を考えるための分析手法

3C分析とは、自社の事業戦略を考えるための分析手法です。

3Cとは「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の頭文字をとったマーケティング用語です。
自社を取り巻く環境と自社の現状を把握し、適切なアクションを検討するのに役立ちます。

「Customer(市場・顧客)」
→業界の規模や顧客のニーズなどを分析
「Competitor(競合)」
→競合他社の強みやポジションを分析
「Company(自社)」
→自社の強みや資本力を分析

これら3Cの観点から自社の戦略やポジションを検討することで、具体的かつ効果的な選択をできるようになるはずです。

SWOT分析|組織のおかれた立場を見直すための分析

SWOT分析とは、組織のおかれた立場を見直すための手法です。

SWOTは「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字をとったもので、マーケティング用語です。
4つの観点から自社の外部環境・内部環境を客観的に評価し、経営判断や戦略検討に用います。

それぞれの要素を分析した後に、さらに2つの要素を掛け合わせて分析をするのも効果的です。例えば、「弱み」と「脅威」を掛け合わせて自社の状態を評価すると、「自社の脅威の原因となっている弱みを明確にして、その弱みを克服して脅威を避ける」ための分析が可能になります。

PEST分析|自社が市場でとるべき立場を考える

PEST分析とは自社が市場においてどんな立場をとるべきか、世の中の状況や潮流を参考にして検討するための分析手法です。

PESTは「Politics(政治的)」「Economy(経済的)」「Society(社会的)」「Technology(技術的)」の頭文字をとったマーケティング用語です。
これら4つの要素は会社を取り巻く外部環境を表したもの。分析すると、世の中の流れや動向を知ることができ、その中で自社がどんなポジションにいるのか把握することができます。

前述した3C分析やSWOT分析と組み合わせることで、自社が現在の市場でとるべきポジションをより具体的に検討することができます。

ファイブフォース分析|業界分析

ファイブフォース分析とは、業界分析手法です。

「競合他社」「新規参入」「代替品」「買い手」「売り手」という業界の収益性を決める5つの要素を分析して、業界が置かれた状況を分析します。

例えば新規参入という要素で業界を分析すると、電力業界は国の認可や大規模な設備が必要となり事業立ち上げに時間がかかる一方で、IT業界は特別な認可も設備も少なくハードルが低い。
これは新規に参入してくるプレーヤーの数に大きな差を生み出します。

分析の末に参入障壁が低い業界だと分かった場合は、競合と激しい競争が行われることを自覚して、戦略を練る必要があります。

ただしファイブフォース分析は業界分析にとどまるため、ほかの分析と組み合わせてより詳細に自社のことを分析していきましょう。

4P分析|顧客に商品を届ける方法を分析

4P分析とは、どのような戦略で顧客に商品を提供するかを検討するフレームワークです。

4Pは「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」の頭文字をとったマーケティング用語。例えば「Promotion」では、顧客にどんな価値を届けたいのか、どのように宣伝すればその価値を認識してもらえるのかを検討します。

顧客のニーズに合わせて、商品を改善していくために必要なフレームワークです。「製品が思うように売れない」「市場にどう展開するか戦略を立てたい」といった悩みに答えてくれるでしょう。

リーダーシップ、組織マネジメント

PDCA|目標達成に向けての改善プラン


PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(行動)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字をとったもので、上記4点を繰り返すことで継続的に問題の改善を行うためのフレームワークです。「PDCAサイクルを回す」と耳にすることも多いでしょう。

このサイクルを回し続けることで発見した問題点を効率よく改善し、企業の目標や個人の目標を迅速に達成することができます。

PM理論|リーダーの能力を客観的に評価

PM理論は、リーダーの能力を客観的に評価するためのフレームワークです。
PMとは「Performance(目標達成機能)」「Maintenance(集団維持機能)」というリーダーに求められる能力の頭文字で、それぞれ「P機能」「M機能」と略されます。

P機能は成果を上げるために必要な能力を指すもので、組織のルールを部下に教える、納期をきっちり守らせるといった行動がこれにあたります。
M機能は組織をまとめるために必要なリーダーシップのことで、部下の声に耳を傾ける、組織の関係を良好に保つために背中で部下を引っ張るといった行動がこれにあたります。

そして、各機能の評価によって、「PM型(どちらも高水準の理想形)」「Pm型(P機能は高いがM機能は低い)」「pM型(P機能は低いがM機能は高い)」「pm型(どちらの能力も低く要改善)」の4種類の型に分類します。

当然、最終的に目指すべきはPM型のリーダーです。
自分に足りていないのはどの機能か分析し、理想のリーダーに近づくための改善策を講じましょう。

7S|組織改善のために検討すべき要素

7Sとは組織の資源や要素を明らかにし、組織改善に必要な事柄を洗い出すためのフレームワークです。

Strategy(組織構造)
Structure(戦略)
System(システム)

Staff(人材)
Style(スタイル)
Skills(スキル)
Shared value(共通の価値観)

の頭文字をとった用語で、組織の改善を考えるうえで重要な7つの要素を示しており、「組織の7S」と呼ばれることもあります。

上の3つは「ハードのS」と呼ばれ、経営者の意向次第で変更が可能で、即効性のあるものを指します。下の4つは「ソフトのS」と呼ばれ、人の能力や概念を指し、すぐには変えることができません。

そのため、ソフトのSを育てることができるようにハードのSを改善していくことが大切です。

フレームワークに関するおすすめの書籍紹介

グロービスMBAキーワード 図解 基本フレームワーク50

フレームワークの基本を一から学びたい方におすすめしたいのがこちらの書籍。

基本的なフレームワークが網羅されているうえに、使い方のポイントや注意点も書かれており、初心者にも非常に使いやすい一冊となっています。

持ち運び可能なサイズで、持ち歩いて辞書的に使うことも可能です。

ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70

フレームワークをわかりやすく図解で学びたいという方におすすめしたいのがこちらの書籍。

70種類のフレームワークをカラフルな図を用いて解説してくれているほか、フレームワークを実践する中で多くの人が行き詰まるポイントの対処法なども用意されているのが魅力です。

また本書に収録されているフレームワークのテンプレートをダウンロードすることができます。パソコンやタブレットを使用しながらフレームワークを検討したり、チームで共有したいときに便利な機能となっています。

ビジュアルビジネス・フレームワーク

フレームワークを基礎から学び、さらに何度も見返して定着させたいという方におすすめしたいのがこちらの書籍。

カバンに入れて持ち運び、いつでも片手で読めるサイズなのが大きな魅力。
これは繰り返しフレームワークを学ぶ上で非常にうれしいポイントです。

左ページに文章での解説、右ページで図解という見開きページに収まる範囲でフレームワークがまとめられており、スキマ時間でもサッと確認できるような構成となっています。

片手で持って、ページをめくる手間なくフレームワークを確認。このお手軽さが本書最大の魅力といえるでしょう。

ビジネスフレームワーク見るだけノート 仕事のアイデア出し&問題解決にサクっと役立つ!

フレームワークをビジュアル重視で学びたいという方におすすめしたいのがこちらの書籍。

漫画のような図解が印象的で、ほかの書籍と比較しても圧倒的にビジュアル重視の構成となっています。セリフでイメージを膨らませてくれるため、説明文が少なめに収まっているのも文章に抵抗がある方にとってはうれしいポイント。

文章を読むのが苦手で、本への抵抗が強いという方には特におすすめしたい一冊です。

まとめ


本記事では、ビジネスシーンで活躍するフレームワークについて紹介しました。
フレームワークを有効活用することで、日々の業務を効率的に進め、会社の重要な決定を的確に行えるようになります。

しかしフレームワークを使った思考力は一朝一夕には身に付きません。
意識せずともフレームワークを活用できるまで、繰り返し練習をして論理的思考力を鍛え上げましょう。

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