RPA導入でよくある失敗例5選。原因と対処法もあわせて解説

2021年9月27日・ライフハック・RPA 原因失敗導入・147views ・影響度：26.1%

うまく使えば業務効率化の強力なツールとなるRPA。一方で、その特性をよく理解して導入しないと思わぬ失敗を招きます。
今回は、RPA導入でよくある失敗例を5つ紹介。また、失敗を引き起こす原因と対処法もあわせて解説します。

RPAの導入を検討中の方は、ぜひ本記事から失敗しないためのポイントを学んでくださいね。

RPAとは？

RPAとは、Robotic Process Automationの略語であり、デスクトップ上の定型作業を自動化するソフトウエアのことです。
人手不足や働き方改革などの課題に対応する「業務効率化ツール」として近年注目を集め、企業での導入が進んでいます。

RPAによって自動化される業務として、主に以下が挙げられます。

請求書発行や経理処理
顧客属性情報の業務システムへの登録
データ収集と定型的なレポート作成

ではExcelのマクロやAI（人工知能）など、他にも業務を自動化するためのツールがあるなかで、なぜRPAに注目が集まっているのでしょうか。RPAが持つ特徴を解説します。

専門的なプログラミングスキルが不要

ツールにあらかじめ用意されたパーツを組み合わせていくことで、作業を自動化するロボットがつくれます。
専門的なプログラミングスキルが必須ではないため、現場のユーザーが自ら扱えることが特徴です。

アプリケーションをまたがった自動化が容易

複数のアプリケーションを行き来する作業の自動化が容易です。例えば、Webページや社内の業務システムからデータを収集し、Excelのレポートにまとめるといった作業など。
もしExcelのマクロを使って自動化する場合はExcelで行う作業しか基本的に自動化できず、他のツールも組み合わせる必要があります。

自律的な判断はできない

RPAには、状況に応じて自律的に判断できる能力はありません。あくまで、自動化の範囲はRPAの設計者がシナリオに組み込んだ動作パターンに限られます。その点は、データをもとに学習し、判断の精度を上げていくAIとは明確に異なるところです。

RPAの導入でよくある失敗の原因と対処法5選

うまく使えば定型作業を大幅に削減し、生産性向上に役立つRPAですが、思わぬ落とし穴もあります。

以下では、よくある失敗例を原因と対処法もあわせて5つご紹介します。

失敗①：RPAのメンテナンスに手間がかかる

1つめは、作業手順の変更やシステムの仕様変更によるRPAの修正が何度も発生し、多くの手間がかかってしまうケースです。
これではRPAでせっかく作業時間を削減できても、修正のたびにかなりの時間が取られ、効率化したとは言えません。

失敗の原因

2つの原因が考えられます。1つはRPAの得意・不得意を十分に理解しておらず、RPAでの自動化に適していない業務を選んでしまっていること。もう1つは業務の手順を詰めきれていないこと。そうするとRPAで自動化した後に、フローの変更が多発し、RPAを修正せざるを得なくなるのです。

対処法

RPAで自動化するのに適切な業務なのか見極める必要があります。

RPAで自動化するのに適切な業務とは、手順が決まっていて、定期的に繰り返すデスクトップ上のオペレーションです。

一方、文章の読解など、人間の判断が必要となる業務や、定型業務であっても、頻繁に手順が更新される作業はRPAでの自動化には向きません。なぜなら、RPAには状況を自律的に判断する能力はなく、事前に設計したシナリオ通りにしか動かないためです。
同様の理由で、RPAがかかわるシステムのインターフェイスが定期的に変更されるケースも、RPA導入には適しません。
自動化する業務を選定する段階で、RPAでの自動化に適している業務なのか、そうでない業務なのかを適切に見極めることが重要となります。

失敗②：思ったほど効果の実感が得られない

2つ目に、RPAを導入し現場で運用したものの、期待するほど労働時間や残業時間が減らない、生産性があまり上がらないというケースです。

失敗の原因

RPAを導入する際に、投資対効果が適切に見積もれていないおそれがあります。かけた費用の割に高い効果を見積ってしまっていたり、そもそもRPA導入によって何が変わるのか理解をしていなかったり。
導入時にしっかりと投資対効果を把握しておけなければ、導入後に適切な効果測定はできません。

対処法

RPAで自動化する投資対効果を試算し、関係者で合意したうえで導入しましょう。投資対効果を試算するには、まずはRPAによる自動化で削減できる年間の作業時間や人件費を見積ります。それらの効果が、投資額を上回るものとなるかを検証するのです。

また投資対効果の試算は、ベンダーなどに丸投げしないことも重要です。あくまで導入部署のメンバーや責任者が、試算し、納得した上で導入することがポイントとなります。
そうすれば、導入後に「思ったより効果がでない…」と感じるケースは少なくなるでしょう。

失敗③：RPAの中身がブラックボックス化

3つ目にRPAの中身がブラックボックス化していて、メンテナンスができないケースです。参照先システムの画面仕様が変わったときや、アウトプットのフォーマットを変えたいときは、RPAのシナリオをメンテナンスする必要があります。
しかし、ベンダーの保守サポート切れや、社員の退職などの理由で、対応できる人が誰もいないという問題が起こりえます。

失敗の原因

組織の中でRPAについて引き継ぐ体制ができていないことが原因です。そのため、修正したくても影響範囲が分からず手を付けられない、必要以上に工数がかかるなどメンテナンスに苦労してしまうのです。

対処法

RPAのメンテナンス体制をリリース前までに想定しておくことが重要です。ベンダーが自社を去った後のこと、あるいは開発した社員が退職・異動した後のことを見据えて計画を立てましょう。

基本的には、RPAをメンテナンスできる社員を社内で育成しておくことがおすすめです。RPAは通常のプログラミング言語と比較すると、習得の難易度はそれほど高くありません。そのため、PRAの簡単なメンテナンスであれば、エンジニアでない現場の社員でも実施できることが多いのです。

もしそれも難しければ、ベンダーの保守サポートをつけましょう。RPAが安定稼働するまでは、ベンダーに自社に常駐してもらうことも重要です。また、保守サポートをつける場合は、その保守費用も当初の導入計画に織り込んでおく必要があります。

失敗④：RPAへの依存度が高まり業務停止

4つ目に、システム障害時に業務が停止してしまうというケースです。RPAへの依存度が高まれば高まるほど、このおそれは高まります。

失敗の原因

RPAが障害により停止したときの対応計画を、事前に立てていないことが原因です。

RPAもシステムである以上、障害とは無縁ではありません。多くの業務をRPAに頼っているにもかかわらず、障害発生時の対応を想定できていない場合は要注意です。

対処法

RPAの障害発生時の対応を、あらかじめマニュアル化しておくことが重要です。コンティンジェンシープランとよばれる、不測の事態が発生した場合の緊急対応計画を用意しておきましょう。

例えば、RPAが停止した場合の連絡ルートや、RPAを使わない人手による作業方法などを共有しておくことが有効です。障害発生時に速やかにしかるべき部署に連絡をとり、復旧まで社員の手作業に切り替えられれば、業務は停止せずにすみます。

失敗⑤：RPAの増加に管理体制が追いつかない

5つ目に、RPAの増加に管理体制が追いつかないことが挙げられます。

いわゆる、野良ロボの問題です。野良ロボとは、RPA設計者の退職や異動などにより、管理者が不在となったRPAのことです。野良ロボのなかには、不必要な動作を繰り返しシステムに負荷をかけるものも出てきます。
最悪の場合、情報セキュリティポリシーに違反する動作が行われているのに気づくことができない、といったことも起こり得るのです。