企業にとって情報が資本となる今、情報の取り扱いや管理手法はこれまで以上に重要性を増しています。きたるAIの時代においても、その基礎となる情報の管理は避けては通れません。
情報管理体制の改善が組織の成長に直結することは往々にしてあります。逆に言えば、ずさんな情報管理体制が組織の成長やビジネスチャンスを奪ってしまう恐れもあるのです。
本記事では、情報管理体制を改善するソリューションであるPIM/MDMをご紹介します。
PIM/DAMとはどのような概念で、組織にどのような変化をもたらすのでしょうか。以下で解説していきます。
PIMとは、Product Information Managementの略称で、日本語では「商品情報管理」と呼ばれます。これは商品や製品の情報を一元管理し、組織が持つ商品カタログやWebサイトなどの多様な媒体と情報を共有できるようにするものです。
商品の価格や規格などの膨大な情報を組織内でリアルタイムで共有できるため、部署間の情報共有にかかるタイムロスが減り、顧客へ最新の情報をスピーディーに提供できるなど大きなメリットがあります。
MDMとは、Master Data Managementの略称で、日本語では「マスターデータ管理」と呼ばれています。マスターデータとは組織が業務を行う上で共通して必要となる基本的なデータのことで、製品情報や顧客情報、組織の財務状況などがこれにあたります。
よってMDMで取り扱うデータはPIMで取り扱う商品情報にとどまらず、製品の仕様、メタデータなど、その範囲が非常に広いのが特徴です。部署ごとに別々のシステムやアプリケーションで管理され、分散された情報を一元管理し、組織内でマスターデータを共有するなど、PIMよりもさらに広範なデータを管理し、組織内データの包括的な管理を目指すソリューションがMDMです。
PIM/MDMを導入することで得られるメリットは、以下のようなものが挙げられます。
PIM/MDMを導入し、クラウドを利用したリアルタイムな情報の一元化を実現すれば、これらのリスク回避の力となります。
PIMが商品を展開するための情報管理手法だとすれば、MDMは企業全体の運営を円滑に進め、組織の発展を後押しするための情報管理手法だといえます。それは、後述する取り扱う情報領域の範囲を参照していただければ明らかです。ここからは「PIM/MDMの違いとは?」について、より詳しく見ていきましょう。
PIMとMDMの大きな違いは、扱う情報の領域です。PIMが取り扱う情報の範囲は、商品に付随する情報に限られます。
対してMDMで扱うのは商品に関する情報にとどまらず、企業の基本的なデータや顧客・企業関係者の情報など広範に及びます。その観点からPIMはMDMの一部ということもできるでしょう。
またPIMは管理する情報が限られているため、MDMと比較すると比較的導入コストが少ないのも特徴です。自社にとってどの範囲の情報管理が必要なのか、コスト面も鑑みて検討する必要があるでしょう。
PIMの目的は商品に関する情報を一元管理し、部署間で共有することで、顧客への情報提供をスピーディーかつ正確に行うことにあります。
対してMDMの目的は、商品管理や顧客への商品情報提供の迅速化にとどまりません。確かなデータを土台とした顧客との関係強化、組織内における情報共有や意思決定のスピード向上、コンプライアンスを意識した徹底した情報管理など、MDMは企業全体の変革を図ることを目的としたソリューションであるといえます。
PIMを導入すべき事例は、以下のような課題を抱えている時といえるでしょう。
MDMを導入すべき事例は、以下のような課題を抱えている時といえるでしょう。
PIM/MDMそれぞれの特徴を加味して、双方を採用するというのも選択肢の一つです。PIMのメリットはMDMよりもコストやリソースを割かずに導入できる点にありますが、取り扱う範囲ではMDMに大きく劣ります。
まずは比較的ローコストなPIMを導入し、商品情報に関する情報管理体制をピンポイントで強化し、より広範な情報管理体制を整備する必要性があるという判断に至った場合は、社内の情報管理体制を整えるという課題に合ったMDMの追加導入を検討するといった選択も考えられます。
自社サービスや部署に応じて適切な選択を行うようにしましょう。
本記事では、PIM/MDMの概要とその違いについて解説しました。
改めてPIM/MDMの違いについて以下でまとめます。
PIM:商品の価格や規格などの膨大な情報を組織内でリアルタイムで共有でき、顧客へ最新の情報を迅速に提供できる
MDM:製品の仕様、メタデータなど取り扱える範囲が非常に広く、PIMよりもさらに広範なデータを管理できる
情報資本の価値が高まる現代社会において、情報の管理手法は今後ますます重要なものとなっていくことが予想されます。
企業にとって情報をどのように管理・運用するかで、発揮できる力は大きく変わります。
今回の記事を参考に、組織内の情報管理体制の改良を検討してみてはいかがでしょうか?