「何度議事録を作成しても、叱られてしまう…」と悩んでいる方はいませんか?叱られない議事録を作成するのに必要なのは、いくつかポイントを押さえることだけで、難しくありません。
本記事では、議事録で叱られる理由や解決法、外資コンサルティング会社出身者に聞いた議事録作成のポイントおよび議事録作成のステップ、構成要素について紹介します。
議事録とは
まず、議事録とはなにか、概念や目的について説明します。
- 会議で起きたことを文字でまとめたもの
議事録は会議における音声情報や視覚情報を文字でまとめたものです。ここで注意したいのは、単なる書き起こしではないということ。文字形式で理解しやすいように再構築したものを議事録と呼ぶのです。
- 過去の出来事の記録
議事録は、過去を記録するオフィシャルな成果物としての側面も持ちます。場合によっては、上席者の承認を経て作成されることもあります。
- 言った、言わない問題を回避するための証拠物
議事録は、言った言わないという問題を回避する証拠としての価値を持ちます。法的効力が発揮されることもあり、訴訟が起きた場合の証拠として採用されることもあります。
議事録作成で叱られる理由
次に議事録を作成して叱られる理由について説明します。叱られる議事録には、以下のような特徴があります。

抜け漏れがある
会議の内容が余すところなく記載されていないと、メモとしては一定の価値があっても、議事録としては不合格です。これを回避するためには、後述するようにひたすらメモをとるか、許可されている場合にはボイスレコーダーを使って音声の記録を取っておくことが有効です。
とはいえ、全てを書き起こせばよいというわけではありません。詳細は後述しますが、議事録に書くべきではない内容もあります。また、単に書きおこしをするだけでは要点がつかみにくくなります。要点を簡潔に表現するには、次項で述べるように構造化が必要となります。
構造化されていない
構造化とは物事の全体を定義し、構成要素と構成要素間の関係を整理することです。例えば、会議の発言内容が羅列されているだけの議事録は、構造化されていない議事録ということになります。
構造化の基本はピラミッドストラクチャーです。ピラミッドストラクチャーとは、主張・結論とその根拠をピラミッド状に図式化するフレームワークのこと。「議論の結論→結論の根拠・補足」といった順序で記載していきます。例えば「オンライン会議システムの導入が必要」→「Covid-19対策が必要」→「従業員・取引先の安全確保のため」といった書き方をすることで、構成要素間の関係が明らかになります。
次回のタスクが記載されていない
会議の結果を踏まえて、次回のタスクを記載するのも重要なポイントです。この点が記載されていないと、議事録を読んでも結局何をすればいいのかが分からないためです。
例えば、「オンライン会議システムの導入が必要」という結論が出た場合、次回のタスクは「オンライン会議システムに関する情報収集」や「オンライン会議システムベンダーへのコンタクト」等になります。会議内で出た次回のタスクは、議事録に必ず残すようにしましょう。
外資コンサルの議事録のポイント
続いて、外資コンサル出身の方の動画を参考に、議事録のポイントについて紹介します。

- 口語調は「だ・である調」に修正する
口語調(です・ます)の発言は、断定調(だ・である)に修正します。断定調にすることにより、引き締まった雰囲気になるほか、論旨がはっきりと表現されます。
- 資料説明や雑談等は省略する
会議中に用いた資料説明や雑談等は議事録には残さないようにしましょう。資料は後から参照できますし、雑談は会議の要点とは関係がないため記録に残す必要はありません。例えば、冒頭で行われる時事的な話や天候の話などは議事録に書く必要はありません。
- 本音や裏話など発言者が議事録に残してもらいたくないであろう内容は省略する
本音や裏話などが会議中に出てくることがありますが、発言者が議事録に残してほしくないであろう発言は議事録に残さないよう配慮しましょう。「ここだけの話なのだけど…」と前置きがあった場合は議事録には残さず、もし判断が難しい場合には議事録を共有する前に上席にチェックを依頼しましょう。
- ToDoや決定事項に関する討議内容を簡潔にまとめる
会議の主なアウトプットはToDoであり、決定事項です。これらが導き出されるまでの討議内容を簡潔に分かりやすくまとめるよう心がけましょう。
- 時系列で作成する
会議の時系列に沿って記載することで会議の流れが把握でき、読みやすい議事録になります。ただし、会議の内容を巻き戻して付け足す場合には、その限りではありません。議題ごとに整理して記載されていることが重要であり、必ずしも整理の際に時系列を維持する必要はありません。
議事録作成のステップ
続いて、議事録作成のステップについて説明します。

- ひたすらメモを取る
とにかくメモを取りましょう。ボイスレコーダーを使える場合でもメモは必須です。パソコンをタイプする音が耳に障るような環境では、手書きでメモを取りましょう。メモに書き漏らすことは議事録に書き漏らすことに直結するので、集中してメモを取ることが必要です。
- すばやくまとめる(サマリの作成)
議事録の冒頭にサマリ(要約)を記載します。サマリでは会議の要点を明らかにすることと、短い時間で読める文章量に収めることを心がけます。
- 関係者に配布する
組織によって異なりますが、会議終了24時間以内に議事録を共有できるように心がけましょう。必要に応じて、共有前に上席にレビューを依頼します。
- 修正の上、最終版を保存する
関係者に回覧し、認識の相違点や誤記などを修正して、最終版を所定のフォルダ等に格納します。
議事録の構成要素

最後に議事録の構成要素について説明します
- 会議名
会議の名前を記載します。会議の目的を簡潔に表現しましょう。
例:「会議名:9月中旬の展示会開催に向けた事前社内会議」
- 日時
会議が行われた日時を記載します。曜日まで書いておくと後々分かりやすいでしょう。
例:「日時:2021年10月11日(月)13:00」
- 場所
会議が行われた場所を記載します。多くの場合、住所までは必要ありません。
例:「場所:株式会社XX自動車 東京本社 会議室」
- 出席者
会議の出席者を全員記載します。リモート会議の場合、名刺交換がなく後から会議参加者を確認するのが困難な場合があるため、冒頭の時点で参加者の名前を書き留めておく必要があります。役職も併せて記載しましょう。
例:「出席者:YY建設株式会社 山田部長、田中課長、鈴木様
ZZコンサルティング株式会社 マネージャー加藤、木村」
- 決定事項
会議の決定事項を記載します。決定事項は簡潔に記載し、併せて時期や期限も記載するようにしましょう。
例:「決定事項:オンライン会議システムの導入(2021年10月稼働予定)」
- ToDo(担当者・期限)
決定事項を実現するための具体的なタスクをToDoとして記載します。ToDoには担当者と期限を記載しましょう。
例:「ToDo:オンライン会議製品調査(ZZコンサルティング木村/9月20日)」
- 次回予定
次回の会議予定を記載します。詳細な時期が決定していない場合は、大まかな時期を記載しておきましょう。時期と会議の趣旨を記載します。
例:「次回予定:調査結果に基づくオンライン会議製品選定(10月上旬予定)」
まとめ

なぜか議事録を作成するたびに叱られてしまうという人は、抜け漏れがある、構造化されていない、次回のタスクが記載されていない等、何か原因があるはずです。今一度自身が作成した議事録を見返してみましょう。
また議事録作成にはいくつかのポイントがあり、それさえ押さえれば分かりやすい議事録を作ることができます。
具体的には口語調は「だ・である調」に修正する、資料説明や雑談等は省略する、本音や裏話など発言者が議事録に残してもらいたくないであろう内容は省略する、ToDoや決定事項に関する討議内容を簡潔にまとめる、時系列で作成する等です。
本記事を参考にして、より良い議事録の作成に役立ててください。