中国ではインターネットが急速に普及し、ネットユーザーも爆発的に増加しました。
その一方、中国ではネットが遅いことが懸念点として挙げられます。
本記事では、中国のネットが遅い理由と、改善方法について解説します。
ネットが遅いと集客がうまくいかないのはなぜなのでしょうか。
理由を本項で解説します。
Webサイトの表示速度が遅いと、閲覧しているユーザーは離脱しやすくなります。
Googleによると、モバイルサイトの読み込みに3秒以上かかると、53%以上のユーザーが離脱するそうです。
ネット社会となった現代では、昔よりも受け取る情報が多くなりました。
情報過多となったため、Webサイトを見ているユーザーは、時間を無駄にせず効率的に情報を得たいと考える傾向にあります。
サイトの表示速度が遅いと、ユーザーが消費する時間の効率が悪くなるので、他のサイトに行ってしまう可能性が高くなります。
例えばECサイトの場合、表示速度が多いと、ユーザーがサイトを閲覧する前に他サイトに移動してしまうため、商品が購入される可能性はなくなります。
Webサイトの表示速度が遅いと、検索順位が下がります。
前述したように、Webサイトのユーザーは、ページの表示速度が遅いと離脱しやすくなります。
サイトの離脱率が高いということは、ユーザー体験が悪いということです。
そのため、百度(バイドゥ)などの中国の検索エンジンは、ユーザー体験の最適化のために、表示速度の遅いページの検索順位を下げるようにアルゴリズムを設定しました。
中国のインターネットが遅い理由は主に3つあります。
ネットが遅くなる原因の一つとして、金盾(グレートファイアウォール)と呼ばれる、中国独自のネット規制が挙げられます。
このネット規制では、様々なWebサイトが検閲されており、場合によっては、TouTubeやFacebookなど閲覧できないサイトもあります。
金盾の検閲で、一つ一つのサイトコンテンツがチェックされることにより、ページの読み込みに時間がかかると言われています。
金盾の詳細は後述しています。
中国インターネット情報センター(CNNIC)によれば、2020年12月時点の中国のネットユーザー数は9億8900万人います。
画像出典元:中国インターネット情報センター(CNNIC)
ネットユーザーが飽和している状況で、海外へのデータ通信量の制限などに加えて、検閲システムも動いています。
ユーザーの求める通信量に設備が不足しているので、帯域幅が枯渇し、レスポンスの遅延であったり、途中で通信が途切れたりなどで、アップロード・ダウンロード共に時間がかかります。
南北問題と言われる、中国国内の通信回線の分割が、ネットを遅くしている一因となっています。
中国のオフィスでインターネット回線を利用するためには、中国の2大キャリアである中国電信(China Telecom)または中国聯通(China UNICOM)との契約が必要です。
二社のサービスは、南北で主な提供エリアが分割されていて、中国電信は上海を含む南側、中国聯通は北京を含む北側がサービスエリアとなっております。
画像出典元:BOHAN-IT
この2大キャリアの関係は悪く、国内の通信事業の覇権争いをしています。
それに伴い、この両キャリアの間のアクセスは、低速かつ不安定です。
南北問題は、中国国内の通信速度低下だけでなく、日本のサイトへのアクセスにも影響します。
中国の南と北でパフォーマンスが異なる可能性は極めて高く、日本のWebサイトへのアクセススピードにも影響が及びます。
監視対象のサイトは非常に多岐にわたっています。
具体的に監視されているWebサイトは下記です。
これらのサイトはすべて監視され、内容が検閲されています。
サイトにアクセスを試みても、アクセスが遮断・ブロックされてしまいます
金盾でアクセスが遮断される仕組みについて解説します。
しかし、その接続先が金盾のブロック対象の場合、IPアドレスは返されません。
したがって、アクセスすることが出来ません。
IPアドレスがブロック対象として登録されていた際は、その段階で接続が遮断されます。
具体的にあげると、政権に批判的な単語や、天安門事件などの中国当局が情報を広めたくないと考えている事件に関するキーワードなどが入力され、検索をかけると、アクセスは遮断されます。
金盾の精密なチェックで、政府にとって問題のない情報であることが確認されることで、サイトの閲覧が出来ます。
改善のためにはどうすればいいでしょうか。
5つの方法を解説します。
帯域保証された回線を使えば、通信速度は速くなります。
コストは高額ですが、安定的な通信環境や速度が保証されます。
基本的に、中国のサーバーを使うにはICPライセンスという許可証が必要になり、中国の国内企業しか取得できません。
しかし、帯域保証された回線を使えば、中国の国内企業ではなくても、中国向けに高速なウェブサイトを提供することが可能になります。
例えば中国電信では10MBを専用帯域としていて、VPNと併せることでかなりサイトが高速化することが実証されています。
適切なVPNの利用が、ページ表示の高速化につながります。
VPNとは、バーチャルプライベートネットワークの略称で、「仮想ネットワーク空間」を意味します。
インターネット上に仮想の専用回線を設けることで、検閲を受けずに、データの送受信を安全に行えます。
VPNを使えば、金盾の影響がなく、日本と同じWebサービスを利用することが可能です。
日本のWebサイトでは、様々な外部サービスが使われていますが、これらを排除すれば表示速度は上がります。
Google Fontsを使用していたり、商品の紹介にYouTubeの動画を埋め込んだりなどといったことは、日本のWebサイトでは多く行われています。
しかし、これらのサービスは金盾によって検閲され、ブロックの対象になりWebサイトが開けなくなる、もしくは監査により表示が遅延することがあります。
中国本土のサーバーを使えばネット回線の速度が上がります。
日本のサーバーだと、中国のユーザーからすれば国外のサーバーなので、サイトの表示速度も遅くなります。
しかし、中国のサーバーを契約すれば、国内のサーバーのサイトへのアクセスなので、ページ表示速度は速くなります。
ただ、中国本土のサーバを使うにはICPライセンスが必要で、ICPライセンスは実在の中国法人でないと取得でません。
中国に支店を出すような施策が打ち出せればICPライセンスが獲得できます。
中国本土のCDNを使えば、日本のサイトへのアクセス速度が上がります。
CDNとは、ウェブコンテンツを効率的配信できるように工夫されたネットワークです。
CDNを使えば、オリジナルのサーバーではなく、各所に配置されたサーバーからアクセスが可能になります。
人口が集中する主な地域にサーバーが配置されており、ユーザーに最適な中国本土のサーバーが自動的に割り当てられ、快適な通信速度が提供されます。
こちらもサーバーと同じようにICPライセンスが必要なので、中国に支店を構えるなど中国法人として活躍できる準備を整えることが必要です。
中国には多くのネットユーザーがいるので、中国向けにネットを活用してビジネスをするのは、非常に有効な手段です。
しかし、ネットが遅いことを理由に、サイトを閲覧してもらえなければ、購買行動につながりません。
サイトの表示速度を改善して離脱率を下げ、効率的な集客をしましょう。