中国では、SNSを使ってのプロモーションが主流となっています。
日本でも、多くの企業が参入しています。
しかし、自社でも中国でビジネスのためにSNSを使って施策を打ちたいけど、どうすればいいかわからない管理職の方は多いのではないでしょうか。
本記事では、ビジネスSNSの活用法や、目的に合ったおすすめのSNSについて解説します。
中国でプロモーションを行う際は、SNSに力を入れることがカギとなります。
2020年に発表されたeMarketerの記事によると、SNSを利用する中国人は8億1,990万人を超えました。
顧客になりうるユーザーが数多くいるので、SNSでプロモーションを行うことは効果的な施策です。
また、中国人は企業の広告よりも、口コミを重視しています。
2007年にあった中国国内企業の食品偽装問題や、政府の言論統制による情報規制などの影響で、公の情報を信用しない文化があります。
そのため、他の人が発信した情報を頼りに意思決定をしています。
圧倒的なSNS人口の多さと、口コミを重視する中国人の国民性により、多くの企業がビジネスSNSを活用しています。
中国のSNS事情は、少し特殊です。
まずは中国のSNS事情について説明していきます。
中国では政府によって、インターネット規制がかけられています。
「金盾」(グレート・ファイアウォール)という中国独自のインターネット検閲システムにより、不適切な内容に中国国民がアクセスできないようになっています。
規制がかかる不適切な内容というのは、アダルトサイトや暴力的なサイトだけではなく、政府にとって不利益な情報も対象です。
民主主義を促進する政治的な資料であったり、中国共産党に批判的な情報であったりが、不利益な情報に当たります。
中国国外の動画サイトや、国外のSNSは、不利益な情報が掲載されている可能性が高いため、中国国内では利用できません。
金盾の制限により、以下のような、他の国では一般的に使えるSNSは、中国では利用できません。
その他にも、SNSではありませんが、世界最大の検索エンジンとして名高いGoogleも利用できません。
これらのSNSが使えない分、中国では代わりとなる独自のSNSが生み出され、広く普及しています。
他国で使われてるメジャーなSNSが使えない分、中国独自のSNSを使って施策を打つ必要があります。
それでは、中国でSNSプロモーションを成功させる方法を解説します。
プロモーションを成功に導くには、中国のネットユーザーの特徴を理解しておかなければなりません。
前述したように、中国人は情報に対する警戒心が強いため、基本的に広告などをあまり信用しない傾向があります。
例えば日本であれば、企業のブランドに対する信頼から、商品を購入している消費者も数多くいます。
一方中国人は、企業のブランドよりも、商品自体の品質が良いか悪いかを判断して購入します。
ネットでの購入の場合、自分で品質を確かめる方法は限られているため、SNSなどのツールを使って、他のユーザーの口コミ情報を参考に購入します。
画像出典元:中国トレンドEXPRESS
実際に購入時の口コミ利用比率は各国に比較するとかなり高いことがわかります。
商品やサービスを販売するターゲットを決めましょう。
年齢・性別など、顧客の属性をまず設定し、想定される人物にどのような趣味があるかや、悩みを抱えているかなどを洗い出しましょう。
また、中国は世界で4番目に国土が広く、多民族国家なので、地域ごとに民族性は違います。
民族性が違えば、必要とする商品やサービスも違ってきます。
効果的なプロモーションをするために、顧客の属性や趣向・住んでいる地域などの、ターゲットの情報を明確にしなければなりません。
ターゲットの人物像が定まったら、ターゲットが日常的に使うSNSを選択しましょう。
せっかくターゲットを決めたのに、ターゲットが普段使わないSNSでプロモーションを打っても、効果はありません。
例えば、20代の女性がターゲットであれば、REDを使うと良いでしょう。
REDは若い女性を中心として人気を集めているSNSなので、ターゲットに効果的に刺さりやすくなります。
REDについては後ほど詳しく解説しているので、こちらも参照ください。
このように、ターゲット像が見えてくれば、SNSの選定は容易にできます。
SNSで大きな影響力を持つインフルエンサーを活用し、消費者の購買活動を促すインフルエンサーマーケティングは世界でも一般的なマーケティング手法です。
特に口コミを重視する中国人にとって、インフルエンサーを起用したプロモーションはより効果的です。
ネットユーザーから信用を得ている中国人インフルエンサーに、商品やサービスを紹介してもらえれば、ユーザーの購買活動を促進できます。
例えば、中国のアパレルブランド「Semir(セミル)」は、流行に敏感な若い女性がターゲットのブランドです。
Semirは、ブランドの認知度向上を図り、Weiboで「#明天穿什么(明日何着る?)」というハッシュタグを使ったキャンペーンで中国のSNSマーケティングに成功しています。
このキャンペーンでSemirは、単純なフォロワーの多さでインフルエンサーを選ぶのではなく、ブランドコンセプトに合致したインフルエンサーを起用したことがポイントです。
ハッシュタグのインプレッション数は5億を超え、ハッシュタグを引用した投稿は約120万件となり、ブランドの認知度向上につながりました。
現在でも8億2000万を超えるインプレッションを記録しており、このハッシュタグが中国内で「当たり前」に浸透していることがわかります。
ここからは、中国で利用できるSNSの種類を解説します。
ターゲットを決めた後のSNS選定の参考にしてください。
WeChatは中国版LINEとも評される、チャットが主体の無料中心アプリです。
若年層から高齢層までのほとんどの中国人が、WeChatを介してコミュニケーションをとっています。
アクティブユーザー数は、2018年時点で9億37万人に達します。
企業アカウントも多く開設されており、アカウントをフォローすることで、興味のある情報を簡単に手に入れることができます。
ビジネスの場面においても、名刺がわりに利用するシーンも増え、PDFなどの資料を取引先と共有することもできます。
Weiboは、全世界に7億人以上のユーザーがいる、中国最大のソーシャル・メディアです。
中国におけるTwitterという位置付けで、基本的には個人が多数に向けて情報を発信するSNSです。
ファッションや学習、社会情勢に対する論評など、様々なジャンルの情報が発信されています。
木村拓哉さんなどの日本の著名なタレントや、日系企業もアカウントを保有しています。
中国人向けにプロモーションを考えている場合、Weiboの公式アカウント開設は必須です。
REDは20〜30代の女性を中心に、中国で1.2億人以上のユーザーを持つ、写真投稿を主体としたSNSです。
アプリにEC機能が搭載されており、商品名を検索すると商品を実際に使用した写真とともに口コミの投稿を見ることができます。
アプリ内ECで商品の購入も可能です。
写真を投稿でき、EC機能もあるため、AmazonとInstagramを足したようなアプリと言われています。
インフルエンサーを活用して商品紹介するプロモーションが、多く行われています。
日本でも大人気の動画プラットフォームである、TikTok。
ユーザー層は、10代が多いのですが、近年は30代以上のユーザーも増えています。
中国では約3億人のユーザーが利用しています。
中国版ではショッピングカート機能もついています。
次に、中国でのビジネスSNSの活用例を紹介します。
現代では、地方自治体もSNSで情報を発信する時代です。
「北海道」も、Weiboにアカウントがあり、フォロワー19万人以上を抱えるほどの人気を誇ります。
同アカウントでは、日本人にとって日常的な風景や、食べ物の画像が投稿されていますが、中国人の視点から見たら違う文化の興味深い投稿なので、興味を十分に惹けます。
こういった情報発信が功を奏し、Weiboアカウント開始前と比較して約6倍の訪日中国人観光客を迎え入れることになりました。
「ドン・キホーテ」は、訪日した中国人から絶大な人気を誇ります。
WECHATの公式アカウントでクーポンを配ったり、ECでの販売も行なっています。
また、WeChatの決済サービスである、WeChat Payも導入して、訪日中国人観光客の商品の購入も促しています。
化粧品メーカーの「資生堂」は、RED上で公式アカウントと免税店版用のアカウントを展開しています。
公式アカウントには180万人を超えるフォロワーが存在し、主に商品説明や店舗での展開情報などを発信しています。
気になった商品は、RED内で購入できるので、いちいち他のECサイトにアクセスせずとも、商品を購入できます。
本記事では、中国で活用できるビジネスSNSについて解説しました。
SNS大国の中国において、SNSを使って消費者の購買活動を刺激することは、効果的なプロモーションです。
ただ、中国では他の国と違い、独自のSNSが発達しているので、そのSNSに合った打ち出し方をしなければいけません。
今回ご紹介した事例を、自社のプロモーション時の参考にしてみてください。