業務の効率化を考えた時、部下やチームのキャパシティがネックに感じている管理職の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は部下のキャパシティを上手く管理することで、チームの生産性だけでなく部下のモチベーションの向上に繋がります。
キャパオーバーになってしまわないように上手にマネジメントすることは、実は管理職にとってとても重要な役割です。
この記事では部下のキャパシティを管理する重要性や方法まで、詳しく解説します。
「部下の生産性が落ちている」と思ったことはありませんか?自分が管理しているチームの生産性が落ちているなんて思いたくないかもしれません。
しかし、CISIONが報じた人材派遣会社Accountempsの調査によれば半数を超えた52%もの労働者が「職場にストレスを感じている」と回答したことがわかっています。具体的にどのような部分にストレスを感じているのかは以下のとおり。
信じたくないかもしれませんが、チームの生産性が落ちているのは管理職のせい。裏を返せば、チームの生産性UPは管理職の腕にかかっているということなのです。
世界最大の会計事務所であるデロイトトーマツの調査によれば、管理職の64%が「従業員のストレスフルな状態は緊急・重大な問題だ」と捉えています。しかしながら、同調査において管理職の44%が「この対応できない」と回答。多くの管理職が部下をしっかりとマネジメントし、生産性を向上させる方法を知らないというのです。
「管理職が部下をコントロールする必要がある」とわかっているものの、実際はどのようにしたらいいかわからない人がほとんど。そして、この状態を続けてしまえば管理職としての地位を問われる可能性もあるかもしれません。
ここでは、部下のキャパシティを管理することで業務効率化・生産性UPを狙う方法を紹介します。部下のキャパシティ管理できれば、部下はイキイキとして仕事をし始め、生産性の向上を図ることができます。
キャパシティ管理は、IT業界において「システム運用のためのリソースを最適な形で確保・提供すること」という意味でよく使われています。
対して人材においては、「従業員ひとりひとりに適切な仕事量を与え、過負荷または暇にならないようにすること」を示す言葉です。
たとえば、従業員全員に同じ量の仕事を与えた場合、人によってはその仕事量を「過負荷」と捉えてしまったり、はたまた「この程度」と捉えたりします。よって、これではキャパシティ管理ができていることにはなりません。
キャパシティ管理に力を入れてもいいが、コストをかけて管理しているにもかかわらず結果が出ないなんてことは避けたいものですよね。
実際に、前述の人材派遣会社Accountempsの調査をみるとストレスのトップとして「作業負荷と締め切り」があがっていることがわかります。つまり、キャパシティオーバーがストレスを生み出しているのです。
wrikeが発表した「会社員の働き方とストレス・生産性の関係調査」によると「ストレスが原因で仕事が捗らず、生産性が上がらない」との回答が11.4%、「多少のストレスには対処できるが仕事のクオリティが損なわれる」の回答者が33.8%でした。
つまり、キャパシティ管理をすることによってストレスが低減され、それによって生産性の向上が図れることがわかります。
「部下のキャパシティを管理するためには具体的に何をしたらいいんだろう」と思っていませんか?
キャパシティ管理がどれだけ効果的なものなのか理解していても、実際に管理できないのであれば知識をつけた意味がありません。
ここでは部下のキャパシティを管理する5つの方法を紹介します。明日からでも実践できるものもありますので、ぜひ参考にしてください。
部下のキャパシティオーバーが起こってしまう原因のひとつとして「仕事量が偏っている」ことが挙げられます。「あの人は仕事ができるから」といって多くの仕事を任せていたけれど、実はその人は手一杯でパンク寸前だったなんてよくある話。
仕事量の偏りを解消するためには、まずはその偏りに気づく必要があります。そこで必要なのが「見える化」なのです。
誰にどのくらいの仕事が回っているのかをメモなどを使って可視化して、業務の負荷がかかりすぎていないかなどをチェックしましょう。
業務の偏りに気づいたら、その業務を分散させる必要があります。
今まで誰かが抱えていた仕事が急に自分に回ってくるとなると、部下も困惑してしまうかもしれません。しかしながら、そこが管理職の腕のみせどころ。しっかりと心のケアをしつつ、チームで業務量を分散させましょう。
誰かひとりに任せるのではなく、適切な仕事量の分散ができれば、それぞれの部下がやる気になって作業を進めてくれるはずです。
残念なことに、部下のなかには残業代を稼ぐためにわざとダラダラと仕事をしている人がいるかもしれません。つまり、自分のキャパシティをわざと低く見せているのです。
そのような部下は仕事に対するモチベーションも低く、どれだけアドバイスをしても一向に生産性は上がりません。ですので、チームで残業時間の上限を決めることによってやる気を出させましょう。
場合によっては、直接やる気のなさを指摘して、「これから仕事から外すかもしれない」と伝えるのもいいかもしれません。
キャパシティオーバーになってしまうとさまざまなサインが出ることがあります。部下は無意識のうちに管理職であるあなたに「私はキャパオーバーでパンク寸前です」と伝えようとしているのです。
キャパシティオーバーのサインとしては以下のようなことが挙げられます。
これらのサインは部下のことを常日頃からよく見ていないと気づけないこと。管理職として、部下の小さな変化・サインには気付けるようにしておきましょう。
管理職として働いていると、いつのまにか自分が新入社員だった頃のことを忘れてしまう人がいます。その頃の気持ちを忘れてしまうと、部下に対してどのような言葉をかけるべきなのかがわからなくなりがちです。
部下が管理職であるあなたよりも仕事ができないのは当たり前です。あなたは管理職としてたくさんの現場経験や失敗を積み重ねてきたのだから。
自分自身が新入社員だった頃のことを思い出しましょう。「どんな言葉をかけられたらやる気が出たのか?」「いまの自分の指導・管理はあの頃イヤだった上司と同じになっていないだろうか?」これらを突き詰めていくと、部下のキャパシティを管理するのがうまくなるはずです。
キャパシティを管理すること以外にも、業務を効率化させて生産性をUPさせる方法はあります。キャパシティ管理と一緒に取り組むことによって、あなたが管理しているチームの生産性は爆発的に向上することになるかもしれません。
ここでは業務を効率化させる5つの方法を紹介します。
業務効率化はチーム全体でやらないことには意味なし。まずはあなた自身が実践することによって、部下に意見を押し付けるのではなく、部下に推奨するスタンスで取り組むのもいいかもしれません。
「この業務に意味はないのでは?」と仕事中に感じたことはありませんか?実は業務のなかには「ムダ」になってしまうものが隠れている可能性があるのです。
たとえば、新型コロナウイルス感染症対策としてリモートワークが一気に広まりました。そのなかで「会議のための資料印刷」「会議だけのための出社」がムダなのではないかと思った人も多いはずです。
そのほかにもどこかにムダが隠れている可能性があります。これは自分自身の業務・タスクをメモなどに書き起こすことによって気づきやすくなるはずです。
「いったいどの業務から手をつけたらいいんだろう」となってしまうと、業務を選ぶことにエネルギーを使ってしまい、生産性が低下してしまいます。
その問題を解決するためには、業務に優先順位をつけることが大事。
直近のやるべき業務をすべて書き出して、「いつまでにやるべきか」「いつやるか」などを考えていくと優先順位は簡単に決められます。
前回資料と同じ表を作成したり、顧客に同様のメッセージを送るときに最初から作っていたりと同じ業務を何度も繰り返したりしていませんか?
これらすべてはテンプレートを作成することによって解決できるのです。同じ作業の繰り返しになりそうだと思ったら、その時点でテンプレートを作成したり、一度作成したデータなどを取っておくのが吉。
いちいち同じものを0から作っているのは時間の無駄です。残業せずに定時に帰るためにも、テンプレートの作成には力を入れましょう。
「すみません。ここってどうしたらいいですか?」と何度も部下から聞かれている管理職になってはいけません。そのままでは自分の時間が奪われてしまうだけでなく、部下もいつまで経っても作業の流れを覚えないままになってしまいます。
そんなときはデータベースを活用することを部下に伝えましょう。データベースには今まで会社で積み重なってきたノウハウなどが蓄積されているはず。そのデータベースに部下がアクセスして自分で調べられれば、いちいち質問する必要はなくなるのです。
セキュリティ面などに気をつけながらデータベースを活用させるのは、管理職としての大きな仕事にひとつかもしれません。
データに集約するときのツールや考え方についてはこちらの記事も参考になるはずです。
業務の効率化にチャレンジしたら、必ずどれくらい業務が効率化されたのかを分析するようにしましょう。
場合によっては、まだまだ徹底的に効率化を目指すことによって、どんどんと生産性が高まるかもしれません。また違うケースにおいては、業務効率化の施策がうまくいっておらず、むしろ従来の仕事スタイルに戻したほうがいいかもしれないのです。
業務効率化においてもPDCAサイクルを常に回しておくことを意識しましょう。
キャパシティ管理は業務効率化・生産性UPに直結することがデータからわかっています。これらのデータを無視して「チームの生産性が低いのは部下が仕事ができないからだ」なんて言い切ることはできないはずです。
生産性UPは管理職の力のみせどころ。
あなたが管理職としてのスキルをしっかりと磨いていけば、きっと部下はあなたについていくでしょう。
そして、チームとしての生産性もぐんぐんとUPするのです。