若輩者の下積みアップデート

パールル さんのブログ記事

ある日、6年生の娘が社会科の授業で国民の三大義務を習って帰ってきました。
娘曰く、義務だから私は学校に行って当たり前だし、大人ならパパもママも働くのも消費税とか払うのも当たり前だ、という理解をしたそう。
税金は払うけど、払いすぎないようにみんな注意して生活しているんだよ、と伝えると「税金は国民の生活がよくなるように使われているんだよ」とたしなめられてしまいました。
正しい理解をする娘に感無量です。

さて、納税の話ではなく、今回は勤労が当たり前という概念に触れて、でも「当たり前だから」という動機で日々働いていないなと思い、いままでの仕事人生を振り返ってみました。
まだまだ短い道のりですが、いまの道を進めているのはなぜかということを考えると、20代半ばの「あの仕事」が下積みとして効いているなと…。

下積みのあの仕事

あの仕事とは、前職でしていたWebデザイナーのこと。
現在は営業職として働いておりますが、かつては別会社で制作として働いておりました。

勤務していた2010年前後は、装飾がtableレイアウトからcssに切り替わって一般的になったころ、SEOが盛んで、リッチコンテンツはFlashでデザインされていたような時代でした。

装飾がtableレイアウトの例:阿部寛さんのホームページ

また、スマートフォン向けのサイト設計がはじまり、かつガラケー用のページも別で用意していた背景もあり、Webサイト作成の工程は肥大化していました。
私もそんな環境の中、SEOに適したサイト設計、コーディング、ガラケー版の制作などの大量に降ってくる仕事と、追われる納期、次々出てくる新しい技術とデザインにもみくちゃにされていました。

それでも、働くのは「当たり前」ですから、その環境に適応できるように身についた考え方、仕事の仕方がいまの下積みとなっていると考えています。

考え方と仕事の仕方

考え方の根底となったのは電通の鬼十則でした。
電通で働いていたわけではありませんが、一つの学びとして前職で紹介されたのがきっかけで鬼十則を知りました。
その中でも、以下2つの項目がもみくちゃだった私を鍛えてくれたと感じています。

  • 難しい仕事を狙え。そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
  • 摩擦を怖れるな。摩擦は進歩の母。積極の肥料だ。でないと君は卑屈未練になる。

吉田 秀雄 鬼十則 抜粋
注意:本記事では鬼十則の評価はしません。あくまで過去に私を支えた金言だったという主旨で挙げさせていただきました。

膨大な作業量、タイトな納期をこなすうえでこの言葉を軸に頑張っていた記憶があります。
デザインに行き詰まる、完成までの必要工程と納期のバランスが取れないシーンに多くぶち当たりましたが、その都度頭の中の鬼十則が「やってみよう」「できるんじゃない?」「オラがやらなきゃ誰がやる?」と囁きかけてきて、前に進むことができました。

ただし、鬼十則で培った精神力だけでは業務は回らないため、実務での手の速さも必須でした。

クライアントとの折衝では十分な時間を確保することは難しいうえ、クライアントが明確に自分の欲しいWebサイトをイメージしていることはありません。
一般的に制作において、着手前に要件を固めるための時間を使うか、要件がふんわりでも前に進めるかの2択を迫られます。

前職の受注するWebサイト制作案件は、小中規模サイトがメインだったため更新改訂が容易な性質上、後者の手段を取らざるを得ませんでした。
つまり、仕事の仕方としては、高速でPDCAを回して最適解に近づけるということを延々と続けていたというイメージです。

クライアントの要望はこれだけ?絞り切れてないよ。それなのに短納期?よし、四の五の言わずに間違っていない方向性のデザインを明日出してクライアントに選択してもらおう。
といった仕事を繰り返すうちに、鬼十則の精神とデザインの高速PDCAが下積みとして身になっていきました。

正直言うと、苦労しています。

この下積み、末端の作業者だった頃のものです。
いま私が置かれたポジション的に下積み通りの仕事の仕方では無駄が多いのです。

かつては末端の作業者で資材は自分でした。それと比べて、いまは仕事の上流の営業職で資材は自分以外のためです。
ただ、せっかくの下積みなので正しくいまの仕事に活かしたいところです。
そのために、仕事環境の変化に合わせた自身のアップデートが必要で、そのアップデートする元データの一つは「下積みの用法」であるべきと考えています。

下積みは「やった」だけではなくて「用法のアップデート」が必要

環境は変わるので下積みはそのまま通用しない、下積みがあるだけでは価値に結び付かないことは、短い仕事人生の中でも身をもって学ばせていただきました。
いま、営業職としてかつての下積みを「引き出しの一つ」として活用しようと考えています。
鬼十則の精神は業務遂行の手段としてとらえ(アップデート)、高速PDCAはデザインだけに限った手法ではなく多用できるものと再認識(アップデート)して、自身の引き出しにできればと考えています。
三大義務の一つ「勤労」は、ぼーっと生きてるだけではできないですね。これを娘に伝えると、きっと正論が返ってくるのだろうな。

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