株式会社あかがね 音楽担当のせんちゃんです。
連載「仕事で大切なことはみんな音楽が教えてくれた」第1回目、
「曲のアレンジはスケジュールマネジメントだ」です。
音楽活動でメシを食えるようになりたい!と立志してから早30年弱、、、
最近でもピアノを弾いたり、曲を作ったり、アレンジ(編曲)をしたり、レコーディングしたりを続けています。
ほんのちょっとだけ趣味を超えた趣味、ですかね。
さて、普段の仕事は、カタログや取扱説明書の制作編集マネージャーをしております。
300ページや400ページから、多いもので1500ページといった
ぶ厚いドキュメントを日々制作しておりますが、
そんなマネージャとしての業務の必要スキルの一つに、「スケジュールマネジメント」があります。
制作受注時にまず最初にやることは以下の3つ。
どうやって制作するかのフローを作成し、それに伴うスケジュール/見積もりを作成するところからスタートするわけです。
この「スケジュール作成」は、弊社の場合はこんな感じで作成をします。
いわゆる「ガントチャート」というもので、
横軸が時間(日単位)、縦軸は作業工程のタスク、となります。
日付内のセルの色は誰の作業なのか(編集者?オペレーター?お客様?)を示しています。
これを使って各タスクの進行をお客様と共有しながら、メンテしつつ管理をしていきます。
これに必要なスキルは以下の3つ。
もうちょっとわかりやすく説明すると、
となります。
ほうほう、、、
これって実は、自分自身が音楽で培ってきた「アレンジ(編曲)」の能力が発揮されております。
アレンジに必要な能力は以下の3つ。
同じじゃん!
楽曲を構成するものはメロディ、リズム、音の種類、フレーズなどがあり、これを効果的に重ね合わせることでメロディを際立たせるようにアレンジを施した曲ができあがります。
これをカタログでいうと、製品情報、テキスト、画像、表組などを効果的に重ね合わせて紙面を作成し、ページ内の情報を効果的に見せるように作っていく、ということですね。
近年はDigital Audio Workstation(DAW)という制作の仕方が一般的です。
かいつまんで言うと、PC上で曲作りの「録音」→「編集」→「ミキシング」といった一連の作業を行うことができます。その際に、アレンジを組み立てるにあたって、PCに音楽データを入力していく、いわゆる「打ち込み」という作業があります。
実際の画面はこんな感じ。
これは「ピアノロール」という画面で、
横軸が時間、縦軸が音の位置(音の高さ:高低は左側のピアノの鍵盤で分かります)を示しています。
画面上に横棒がありますが、これは音が発音される位置とその長さのデータ、を表します。
このデータをマウスやPCにつないだ鍵盤を使って、データを打ち込んで曲を作ったりアレンジをしたりしていくので、「打ち込み」と呼ばれます。
これのメリットは、このデータを使って色々な音を鳴らすことができること、です。
例えば、ピアノのコード弾きを想定したデータで、グランドピアノやアップライトピアノという種類の違いだけでなく、ホールに置いてあったり小さなバーに置いてあったりというロケーションの違いも、選択する音(音色と呼びます)によって使い分けることができます。
また、ピアノを想定したデータで、オルガンやバイオリン、トランペットなどの他の楽器の音でも再生ができます。
実際にアレンジをしている画面はこんな感じです。
これは「トラックビュー」という画面で、
横軸は時間、縦軸は音色(1行を「トラック」と呼び、それぞれに1音色が割り当てられています)になります。
画面上で横棒のある部分は、実際に音のデータが入っている部分になります。
画面だけ見ると、まさにガントチャートでのスケジュール構築と同じです。
楽曲のアレンジは各楽器を想像しながら、重ねていく音色のフレーズひとつひとつを構築していき、トラック間を行き来しつつ、アレンジができ上がっていくわけです。
それと比べて、ガントチャートは各タスクを想像しながら、タスクがいつからいつまでで、このタスクとは重ならない/一緒に作業ができる、あっちがずれたらこっちもずれるからここをこうやって調整、といった構築していく。
この一連の作業は、まさに楽曲のアレンジ!
まるでこの仕事のタスク、という音を構築して奏でているかのようです。
実はスケジュールを作成したりメンテナンスしたりしながら、自分自身の頭の中では音楽が鳴っていたのですね、きっと。
この一曲のメロディを、どんなフレーズで、どんな音色で、どんな組み合わせで飾り付けるか。
そんな曲のプロデュースができれば、この一冊の制作プロデュースは可能ですよ。
さて、今日も新曲(新規依頼の冊子)作ろうかな。
次回は「自動演奏ができるんだもん、自動組版だってできるさ」です。