管理職必見!テレワーク時代のコミュニケーションの課題とは?

コロナウイルスの流行に伴い、テレワークが急速に普及しました。

会社のオフィスには出社せず、自宅にいながらの勤務という、労働環境の大きな変化に、従業員のみならず、会社側も戸惑っているのではないでしょうか。

そこで今回は、テレワークのコミュニケーション上の課題とその解決策を紹介します。

テレワークのコミュニケーションの特徴

まず、テレワークのコミュニケーションの特徴について、説明します。

なんらかのツールを介したやりとり

テレワークのコミュニケーションは、なんらかのツールを介して行われます。

電話、メールはもとより、ビデオ会議、ファイル共有システム、チャットツールなど、多種多様なツールを用いてやりとりをします。

例えば、オフィスに勤務しているときには、デスクまで出向いて一声かけることで済んでいた、「メールを送ったので見ておいて下さい」、「お願いしていた仕事の進捗はどうですか?」といったような、ちょっとしたコミュニケーションを直接行えないため、全てツールを介して行う必要があります。

対面のコミュニケーションと、ツールを介したコミュニケーションにはそれぞれ一長一短があるため、使い分けができる環境が最善ですが、テレワークでは後者一択になります。

コミュニケーションツールは使いこなせば便利ですが、少なくとも慣れるまでは、やりづらさを感じる人も多いのではないでしょうか。

国土交通省の調査によると、テレワークをしている従業員の約19%(同僚・上司と営業・取引先の合計)が、「連絡・意思疎通に苦労した」と回答しています。

物理的距離が遠い

テレワークでは、各々が自宅にいるため、物理的距離が遠いという特徴があります。

例えば、オフィスにいれば容易であった、物品の受け渡し、書類をやりとりをするには、都度郵送が必要です。

実物の郵送には、時間もお金もかかります。

そのため、実物の代わりに、画像や動画などのデータのやりとりをする企業も多いのではないでしょうか。

しかし、あらゆるものがデータ化できるわけではありませんし、セキュリティの都合上、社外持ち出しができない情報もあります。

実際、前出の国土交通省の調査によると、約27%の従業員が、「会社でないと閲覧できない資料・データなどがあった」と回答しています。

タイムラグがある

テレワークでのコミュニケーションには、タイムラグがあります。

そのため、オフィスに出社していた時は、口頭確認で即座に済んだ用件が、テレワークでは、時間を要することがあります。

例えば、メールを受信した人が、いつ返信するかは、受信した人次第であり、送信者には原則としてコントロールできません。

比較的早いレスポンスが期待できるチャットツールであっても、即時にレスポンスが来るとは限りません。

テレワークのコミュニケーションの課題

では、テレワークのコミュニケーションにおける課題とは一体なんでしょうか。

コミュニケーション機会が減る

テレワークでは、コミュニケーションの機会そのものが減少します。

対面では毎日のように挨拶や雑談などの付随的なコミュニケーションをしていましたが、テレワークでは業務連絡に終始して、目的外のコミュニケーションが省略される傾向があるためです。

一見、無駄が省けて効率化されたようにも見えますが、弊害もあります。

まず、相手の発言のニュアンス、人間関係などの背景、現在の体調や感情などを汲み取ることが困難であるため、意思の疎通が難しくなります。

また、雑談がストレス解消の役割を担っていたことを示唆するデータもあり、テレワークによるコミュニケーションの機会の減少が、従業員のストレスを招いている可能性があります。

実際にサイボウズ株式会社がテレワークを実施している3000人を超える社員へ「テレワークのコミュニケーション調査」を実施した結果が大変興味深い内容となっています。

「業務にかかわるコミュニケーション」の時間はアンケート回答者の過半数が「30分以下」と回答しており、その時間数については「適量」という回答が全体の8割で「もっと多くしたい」と回答したのは全体の1割以下でした。

出典:PR TIMES

出典:PR TIMES

一方「業務にかかわらないコミュニケーション」の時間は「0分」「30分以下」が8割以上を占め、その時間数については「もっと多くしたい」という回答が全体の2割以上となり、「業務にかかわるコミュニケーション」に対する回答と比較すると倍以上の人数がコミュニケーション不足を感じている結果が出ております。

出典:PR TIMES

出典:PR TIMES

また「コミュニケーションのしやすさ」については「しにくい」という回答が5割を超え、過半数の方がテレワークでのコミュニケーションに難しさを感じていることも上げられています。

出典:PR TIMES

伝達される情報量が減少する

対面のコミュニケーションと比べて、テレワークのコミュニケーションで伝達される情報量は限定的です。

同僚とのコミュニケーションは、テキストのやりとりの比重が高くなることが多いため、対面でのコミュニケーションのように、相手の声色や表情などからニュアンスを読み取れません。

また、実際にモノを見て、実物を触る、実機を用いて説明する・されることができないため、実物をみたら、思っていたのと違った、ということが生じやすくなります。

動画や画像データからは読み取れない、操作感、大きさ、質感、堅さなど、さまざまな付加情報が実物にはあるからです。

認識の齟齬が生じやすい

対面と比べると、「ちょっとした補足」や、「念のための質問」がしにくいため、認識のギャップを埋めることが困難です。

例えば、Web会議が終わった後に、些細な確認事項が発生し、「たぶんこれで間違いないが、上司に確認すべきだろうか?」という疑問が生じた場合、部下の隣席に上司がいれば一声かけて確認すれば済みます。

テレワークでは、近くに上司はいませんので、メールやチャットをすることになります。

しかし、些細な用件で上司に連絡するのは、心理的ハードルが高いという部下も少なくありません。

そのため、「気になったが、確認せず済ませる」ということも起こりえます。

認識のギャップが放置され、結果として、問題が発生するということになりかねません。

業務にかかわるコミュニケーションでも「しにくい」と感じる理由としては

  • タイミングが難しい
  • 1つの要件に対して対面よりも時間を多くとられる
  • 通話での連絡が取りにくい
  • 相手の顔が見えず状況が分かりずらい

といったことが挙げられるのではないでしょうか。

情報格差が生まれやすい

テレワーク環境では、情報の格差が生まれやすくなります。

というのも、テレワークでは業務における各種ツールへの依存が大きくなります。

そのため、ツールを使いこなしている従業員とそうでない従業員では、入手できる情報の量と質に大きく差が出ます。

IT技術の活用能力に関する情報格差(デジタル・ディバイド)は社会問題となっており、新入社員全員に「ITパスポート試験」の受験を推奨している企業もあります。

ITパスポート試験は、情報技術に関する基礎的な知識を持っていることを証明する資格です。

国家資格でもあるので、様々な企業が受験を導入しています。

活用例も企業ごとに公開されているので参考にしてみてはいかがでしょうか。

また、全社員ではなく、一部従業員限定でテレワークを導入している場合には、別の原因により情報格差が生じます。

出社している社員には周知されている事項が、テレワークの社員には周知されないということが起こりえるからです。

孤独感を持つ傾向が強い

テレワーク環境に移行することで、孤独感を深めてしまう従業員もいます。

「コロナうつ」という言葉も生まれ、テレワークに伴い精神的な不調をきたしてしまう人の増加が社会問題になっています。

実際、株式会社ジャパンイノベーションの調査によると、コロナ禍以降、約52%の人が、うつ病の可能性があると判定されています。

これは、コロナ禍以前の20%未満と比較して、かなり大きな数字です。

実際にコロナ禍の影響でテレワークを推進する企業は増えています。

コロナ禍以前よりテレワークを実施しているパーソルHDの調査によると、社内でのテレワークの実施率は全国平均で約25%であり(2020年11月時点)、緊急事態宣言以前の約13%(2020年3月時点)から、約2倍に増えています。

出典:PR TIMES

テレワークと精神的不調の因果関係を厳密に証明することはできませんが、緊急事態宣言後にテレワークに移行した従業員のうち、孤独感を抱いて、精神的に不調をきたした人が一定数いたとしても不思議ではありません。

テレワークの課題解決策

テレワークについて課題を抱える企業・社員は実際にどのように解決できるのでしょうか。
テレワークの課題解決策を紹介します。

コミュニケーション機会を意図的に作る

コミュニケーションの機会を意図的に創出することで、コミュニケーション量不足を補いまます。

たとえば、チャットツールなどで雑談を推奨するとよいでしょう。

チャットツールであれば、雑談専用チャンネルの利用を促進して、従業員が気軽にコミュニケーションできる環境を作りましょう。

顔文字やスタンプなど人間味のあるコミュニケーションを取り入れる

テキストのメッセージだけでは、感情が伝わりにくく、冷たい印象を与えてしまう傾向があります。

そこで、顔文字、スタンプ、画像や動画を積極的に使いましょう。

メッセージに人間味が生まれ、相手に安心感を与えられます。

業務指示や目標を明確化する

業務指示や目標は意識的に明確化して伝えましょう。

テレワークでは、コミュニケーションの齟齬が生じやすいため、誤解の余地を残さないよう、徹底的に具体化することが重要です。

だれが、いつまでに、何を、どのくらいするのかを明らかにし、数値化できる目標は極力数値化するように心がけましょう。

テレワークで部下を育成する具体的な方法については下記の記事で紹介しています。

社内コミュニケーションのルールを設ける

社内のコミュニケーションにルールを設けましょう。

テレワークでは、相手が何をしているのか、忙しいのかどうか、判断できません。

そのため、「もしかして忙しいのかな?」と思ってチャットを敬遠してしまう人と、気にせずにチャットを送る人が2極化する傾向があります。

チャットの内容を見ないと緊急性や重要度は判断できないため、忙しい時はレスができないのは当然です。

そこで、例えば「チャットを利用する場合には、即時レスを期待せず、緊急の用件は電話する」などのルールを設定して、緊急性や重要度に応じて、コミュニケーション手段を使い分けるようにしましょう。

コミュニケーションツールを導入する

コミュニケーションツールを導入することで、テレワークのコミュニケーションは格段に円滑化します。

多種多様なツールがありますので、次章で詳しく紹介します。

テレワークのコミュニケーションツール5選

Yammer(ヤマー)


Yammer(ヤマー)は、Microsoftが提供する社内SNSで、動画共有やディスカッションに多人数で参加できる機能があります。

最大で1万人まで同時参加できますので、オンサイトでの実施が困難になった全社ミーティングの代替として利用することもできます。

情報格差の是正に役立つアプリとしておすすめです。

Slack(スラック)


Slack(スラック)は、100か国以上で利用され、国内でも50万人以上が利用するビジネスチャットツールです。

チャットだけではなく、ビデオや音声での通話にも対応しています。目的別に「チャンネル」という疑似的な会議室を立ち上げることができ、雑談専用のチャンネルを作ることもできます。

Slackを活用することで、リモートワークで不足しがちなコミュニケーション機会を補えます。

Microsoft Teams(マイクロソフトチームズ)


Microsoft Teams(マイクロソフトチームズ)は、Microsoftが提供するチームコラボレーションツールです。

Office365に含まれているため、導入していなくてもライセンスを持っている方は多いのではないでしょうか。

WordやExcelにシームレスに連携できるため、チームで一つのファイルを共有して作業できます。

リアルタイムに変更の反映を確認できるため、認識の齟齬が生じないよう、作業を進められます。

Talknote(トークノート)


Talknote(トークノート) は、コミュニケーションを活性化させ、社内の情報を資産化し、企業文化醸成に寄与するカルチャーマネジメントツールです。

利用データを解析して、従業員一人ひとりの仕事への積極性、組織への関心度などが分析できるため、従業員の離職意向を早期に把握できます。

オーバーワークの検知機能もあるため、従業員のメンタルヘルスの不調の未然防止にも寄与します。

LINE WORKS(ラインワークス)


LINE WORKS(ラインワークス)は、LINE運営会社の提供するビジネス向けSNSです。

通常のLINEとほとんど同じインターフェイスでメッセージを送ったり、スタンプを利用したりすることができます。

チームで予定を共有したり、クライアントとのやりとりにも活用できるビジネス向けの機能が実装されています。

ユーザーの多いLINE同様の操作感で利用できるため万人向けであり、スタンプや画像・動画共有の機能もあるため、テレワークによるの情報量の少なさを補い、社内のコミュニケーションを活性化することが期待できます。

まとめ


テレワークのコミュニケーションは、対面と比べて、伝達される情報量が少なく、認識の齟齬が生じやすい、情報格差が生まれやすいなどの課題があります。

そのため、コミュニケーションの機会を意図的に増やす、社内の統一ルールを設ける、ツールを導入するなどの対応が必要となります。

コミュニケーションツールの導入は、制度やルールの設計とセットになりますので、全社的に取り組むべき課題といえるでしょう。

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