新時代のオンライン営業手法とは?注目のインサイドセールスのベストプラクティスをご紹介

新型コロナウイルス感染症の流行によって、リモートワークが普及するなど、人々の働き方は大きく変化しました。
営業職も例外ではなく、対面の営業活動から、非対面の営業活動へのシフトが急速に進んでいます。
この記事では、「コロナ禍でのあたらしい営業手法とは?」をテーマとして、今話題のインサイドセールスにも触れつつ「オンライン営業」の手法の数々を紹介します。

オンライン(非対面)営業とは?

「オンライン営業」とは、主にインターネットの技術を用いて、非対面のコミュニケーションにより行う営業活動のことです。「リモート営業」と呼ばれることもあります。

オフライン(対面)営業との違い

顧客のオフィスに訪問して、顔を突き合わせた会話をするのが対面営業のスタイルでした。
オンライン営業では、顧客のオフィスに訪問することも、顧客と会うこともありません。
その代わりに、Web会議システムなどを用いて、顧客とのコミュニケーションを行います。

オンライン営業のメリット


オンライン営業の主なメリットは、以下の3点です。

移動コストが削減できる

顧客訪問のために移動しないため、交通費がかかりません。
さらに、移動コストを考慮する必要がないため、遠隔地の顧客にもリーチしやすくなります。移動コストが削減できるのみならず、顧客創出の機会も増加します。

時間効率が向上する

移動時間がないため、効率よく商談のアポイントを設定できます。
対面の商談は、移動時間を考慮すると、3~4件/日しかセットできませんが、オンラインの商談であれば、6~7件行うこともできます。

感染リスクがない

新型コロナウイル感染予防の観点から、対面での接触は極力避けるべきです。
対面の商談では、いかに予防しても感染リスクはゼロにはできません。オンラインの商談であれば、直接の感染リスクはありません。

オンライン営業のデメリット


オンライン営業の主なデメリットは、以下の3点です。

高速インターネット接続が必須である

Web会議システムを利用するには、一定以上の通信速度が必要となります。通信速度が遅いと、映像や音声の通信に支障をきたします。
そのため、在宅勤務であっても、高速インターネットの常時接続環境が必要です。

実物を見せることができない

商材によっては、実際に見て触ってもらうことが、重要なこともあります。
代表的な例は、自動車や工業機械のような、大型の有形商材です。オンライン営業では、実物の有形商材を見て触ってもらうことはできません。

顧客の心理的障壁が高い

対面の商談と比べて、顧客の心理的障壁が高くなる傾向があります。
とりわけ、新規顧客に警戒感を持たれてしまうのは仕方のないことです。そのため、商談を進めるうえで必要な情報を引き出すことが難しくなります。

オンライン営業手法の紹介

続いて、オンライン営業の代表的な手法を紹介します。

電話

昔ながらの手法ですが、いまだに有効な手法です。
とはいえ、電話だけで完結することはまずありません。電話の目的は、商談を次のステップに進めることです。たとえば、電話でアポイントを取得して、Webデモンストレーション実施につなげます。
コスト削減の観点からIP電話(インターネットを使った音声通話)を導入する企業も増えているようです。

IP電話の例

メール

メールアドレスを知っている相手に対して、有効な手段です。
SNSやコミュニケーションツールが浸透した現代でも、ビジネス上の連絡手段はメールという方が大多数です。
初回電話後のフォローアップ資料送付、Web会議の日程調整や質疑応答など、利用シーンは多岐にわたります。
メールアドレスの汎用性は極めて高く、様々なツールで活用することができます。
たとえば、Wordの「差し込み印刷」機能を利用すれば、メーリングリストが簡単に運用できます。

「電話するほどの用事はないけれど、継続的にコンタクトは取っておきたい!」そんな温度感の顧客へのアプローチには、メーリングリストが最適です。

Web会議

Web会議システムを用いて、プレゼンテーションや質疑応答をする営業手法です。

Web会議システムの種類と機能
Zoom、Microsoft Teams、bellFace、Google Meetなど多種多様なソフトウェアがありますが、基本的な機能は共通しています。

  • 音声・映像共有
  • ファイル共有
  • ホワイトボード
  • デスクトップ共有
  • 録音・録画
  • セキュリティ

機能だけ見れば、営業活動に必要な要素は網羅されているといえます。
しかし、これらを使いこなせるかといえば、話は別です。あまりに操作が拙いと、相手に不快感を与えてしまいかねません。機能や操作方法を十分に理解したうえで、スムーズな操作を行えるようにしましょう。

Web会議システムを指定されたらどうする?
顧客によっては、特定のツールを指定される場合もあります。
社内のセキュリティ要件の都合や単に使い慣れているツールが良いなど、理由はさまざまです。

使ったことのないツールでも、過剰に心配する必要はありません。基本的な機能には違いはないので、操作方法だけ事前確認すれば問題なく使えるでしょう。

無償版と有償版がありますが、ゲストとして参加する分には、無償版で問題ありません。

顧客がWeb会議に慣れていないときは?
自分はWeb会議システムを使いこなしていても、顧客が不慣れなこともあります。
リモートワークの普及によって認知は広まったものの、Web会議システムの利用状況は業界・業種によって大きく異なります。ときには、ソフトウェアのインストールができない、音声が聞こえない、というレベルでサポートが必要になることもあるでしょう。

このような場合、Webブラウザ版での参加してもらうと解決することがあります。使い慣れたWebブラウザのほうが、操作のハードルが低いためです。

一部機能に制限がありますが、このようなケースでは問題にならないことが多いでしょう。念のため、制限される機能を事前に確認しておくことをお勧めします。

インサイドセールスとは?

オンライン営業に近しい概念として、「インサイドセールス」というものがあります。

「インサイドセールスとは、電話、メール、ビデオ会議システム等を用いて顧客とのコミュニケーションを行う役割であり、対義語はフィールドセールス(以下、外勤営業)である。」

インサイドセールスの3つのモデル

インサイドセールスには、3つのモデルがあります。

分業モデル


インサイドセールスが、見込み顧客の獲得から育成、ヒアリング、アポイントまでを担当し、フィールドセールスが、提案とクロージングを行うモデルです。保険営業と集金人の分業がオリジナルといわれる、古くからあるモデルの派生形です。

企業によって考え方は異なりますが、インサイドセールスには経験の浅い担当者、フィールドセールスには経験の長い担当者を配置するのが一般的です。

外資系企業で多くみられる、明確な分業スタイルとなります。

協業モデル


インサイドセールスが、見込み顧客の獲得から育成、ヒアリング、アポイントまでを担当しますが、必要に応じて提案とクロージングもインサイドセールス側で行うモデルです。

フィールドセールスにパスするか否かは、金額、企業規模、案件難易度などにより判断されるのが一般的です。
インサイドセールスの営業活動コストはフィールドセールスよりも低いため、インサイドセールスがクロージングできるのであれば、それに越したことはないという考えに基づいています。

とはいえ、どこまでを基準とするかを明確にしておかないと、失注した際などにトラブルとなりえます。インサイドセールスとフィールドセールスの利害関係を考慮したKPI設定と、両者の信頼関係がキモになります。

独立モデル


インサイドセールスが、見込み顧客の獲得から育成、ヒアリング、アポイント、提案とクロージングまですべてリモートで行うモデルです。

インサイドセールスの理想形といえますが、案件規模、商材や業界慣習によっては、徹底してしまうと逆に非効率になることもあるでしょう。

たとえば、5億円の大型案件があったとしましょう。訪問しなくても十中八九受注できるとしても、訪問することで1%でも受注確度が向上すると期待できるならば、訪問する価値は大いにあるでしょう。ここでインサイドセールスにこだわるのは、悪手です。

一方で、「1%でも受注確度が向上」という前提は、疑う余地があります。訪問するか否かが、受注になんら影響を与えていなことも想定できるからです。とはいえ、訪問と受注の因果関係を厳密に検証することはできません。

そのため、独立モデルを採用する場合には、以下の2パターンが考えられます。

  1. 訪問はしない。コストが低いインサイドセールスに決め打ちする。
  2. 訪問は「例外中の例外」として許容する。
    たとえば、「顧客訪問は承認制として、上長同伴の元行う」くらいの高いハードルを設けます。

2.の採用が現実的であると考えます。

インサイドセールスとフィールドセールスの役割は流動的

これらのモデルからわかるように、インサイドセールスとフィールドセールスの役割は、もともと流動的です。
とりわけ、コロナ禍により外出自粛が呼びかけられている現在の環境では、フィールドセールスとインサイドセールスの区別は益々曖昧になっています。実際、インサイドセールスの「独立モデル」に近い営業スタイルのフィールドセールスはかなり多いのではないでしょうか。

フィールドセールスにも、インサイドセールスと同様にオンライン営業が求められる時代になったと言えます。

事例紹介

最後にオンライン営業の事例を紹介します。

株式会社KR.companyの事例

Web会議システム「bellFace」の導入により、対面営業からオンライン営業にシフトした結果、商圏が拡大し、商談回数も増加しました。
オンラインだからこそ、遠隔地にもリーチできる点がオンライン営業のメリットです。

ドコモ・ヘルスケア株式会社の事例

インサイドセールスのアウトソーシングサービス「BALES」の導入により、休眠顧客の掘り起こしに成功し、案件数が大幅に増加しました。
後回しにしがちな休眠顧客のフォローを、インサイドセールスとの分業モデルで着実に実行して成果を出した事例です。

まとめ

コロナ禍の環境では、従来とは異なる営業手法が求められています。
対面での営業活動が困難となった今、成果を出し続けるには、今までとは違うアプローチが必要です。とはいえ、悪いことばかりではありません。訪問できないという制約が創意工夫を生み、より優れた成果を生むこともあります。
本記事で紹介したオンライン営業やインサイドセールスの手法を活用して、効率よく、そして安全に成果を収めていただけますと幸いです。

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